創造魔法で想像以上に騒々しい異世界ライフ

埼玉ポテチ

文字の大きさ
88 / 151

第八十八話

しおりを挟む
 翌朝日課を済ませてグラストフへ転移すると、領主邸に久しぶりに訪れた。閑散としていた領主邸だが、それなりに見られる様になっている。

「これは、伯爵様。ようこそおいで下さいました。」

 門番から聞いたのかマードルさんが何時の間にか後ろに居た。気配感じなかったけど?

「えっと、マードルさんだよね?留守の間ありがとうございます。」

「いえいえ、これが私の仕事ですので、お気になさらずに。」

「えーと、指示を出していなかったね。使用人は30人程度集めて下さい。それから、料理人は6人雇って下さい。その他、家具や調度品はマードルさんの自由に決めちゃって構わないから。当面の資金として、白金貨を3枚渡して置きます。使用人の給料は住み込みで一律金貨1枚でお願いします。」

 そう言ってユーリは小さな袋をマードルに渡す。

「ありがとうございます。使用人は現在、最低人数として12人雇っています。指示通り近日中に30人まで増員致します。」

 フロッシュさんの言う通りなかなか有能らしい。細かい物や日用品はアイテムボックスを持ってるので、適当に持ち込むので、あまりぴっちりと揃えなくても良いと伝える。なるべく大きい物から揃える様にと指示を出して置いた。

「じゃあ、僕は代官邸の方へ挨拶に行くので後はよろしく!」

 そう言って、代官邸へ歩いて行く。代官邸までは10分程度だ。まだ馬を買って無いので馬車は動かない。

 代官邸に着いて、来訪を伝えると、セッテンが2人の若者を従えて出て来た。

「領主様、伯爵になられたそうでおめでとうございます。」

 流石はセッテン、情報が早い。

「その2人は後継者候補かな?」

「その通りです。向かって右がローソ。左がエミットです。」

 2人共まだ成人したてに見える。ローソは赤髪の青年で背が高く痩せている。エミットはその反対でがっしりとしていて背は低目だ。銀髪をやや長めに伸ばしているので目が半分隠れている。

「随分と若いのを選んだね。」

「次代を担う訳ですから若い方が良いかと。」

「なるほど。じゃあ、激励の魔法を掛けてあげるよ。」

 ユーリは鑑定を発動し、2人の知力を確認する。400台と2人共かなり高い数字だ。ユーリは改変の魔法で2人の知力を1万まで上げる。

「これは、アレですか?」

「そう、アレです。」

 ユーリとセッテンの間で謎の会話が行われる。後継者候補の2人は何の事か首を捻っている。

「と言う事で、セッテン。これからも頼むね!」

「解りました。ああ、そう言えば領主様の言われた場所から鉄鉱石が出ました。この町もこれから賑やかになるでしょう。」

「未来は3人の肩にかかってるんだから頑張ってね。僕もたまにお手伝いに来るから。」

 代官邸を辞し、一旦王都へ転移で帰る。お昼過ぎだが、まだ朝から何も食べていない。ユーリは自宅の自分の部屋で遅い食事を取るのであった。

 2時を過ぎた所で、馬車の手配を頼み、ユーカとイルミの迎えに学院へと向かう。学院の門で2人を拾い。馬車でバート商会へと向かう。雑貨屋イルミを越えて商業ギルドの方向へ向かうとバート商会が見えて来る。

「あそこだよ。」

 ユーリが指さすと2人は、あれ?と言う顔をする。

「なんかユーリ君の商会にしては小さくない?」

「物を売らない商会だからね、店舗が要らない分小さくなるんだよ。それにメンバーもそれ程集める予定は無いしね。」

「ああ、そう言う事か。本当に学院販売部みたいね。」

 商会の前に馬車を止めて3人は下りる。御者に銀貨を渡し、先に帰って良いと伝える。

 3人が中に入ると既にバートさんとチェスカさんが何やらディスカッションをしている。

「あ、ユーリさんいらっしゃい。」

「何を話していたんですか?」

「新しい商品の考え方ですかね。」

「ほう?」

「で、そちらの2人は?」

 ユーリは一人ずつ紹介をして行く。もちろん4人全員だ。

「学院販売部のイルミさんとユーカさんって言う事は、先輩になるんですかね?」

 バートさんが面白い事を言う。

「いや、ここはバート商会だから。2人は経験者だけど新人だね。」

「経験者が入るのは嬉しいわね。色々と教えて貰えるし。」

 チェスカさんが無邪気に喜んでいる。

 とりあえず座りましょうと言う事で応接室に5人で座る。まだかなりの余裕がある。

「イルミ、飲み物は何が良い?」

「レモンスカッシュが良いかな。」

「ユーカ、おやつの希望は?」

「今日はガッツリとハンバーガーで!」

 ユーリは、テーブルに5人分のハンバーガーとレモンスカッシュを出して行く。

「良い物を考えるには美味しい物を食べないとね。」

 ユーカが偉そうにバートさんとチェスカさんに語ってる。

「ちなみに、下着を考えたのはユーカなんですよ。」

 ユーリが援護射撃をする。

「で、イルミは、雑貨屋イルミのオーナーでベンマック商会の娘さん。実質皆のリーダーでしたね。」

「へぇ、凄い2人なんですね。うちに入ってくれるんですか?」

「暫くはこの時間帯だけになります。学院がありますからね。」

「それでも構いません。やはり経験者と言うのは大きいですからね。」

 そんなこんなで2人のバート商会入りが決まってしまった。2人の事だ、多分ここを気に入って学院を辞めるって言いだすだろうな。

「それで、バートさんとチェスカさんは結論が出たんですか?」

「ああ、丁度その話の途中だったんだけど、僕は既存の商品例えば、パンです。アトマス商会のレシピで作ると既存のパンとは違う物が出来上がります。そう言う風にアレンジから入るのが近道じゃないかと思うんですが。」

「私は、小説の様に、今までに無かったもの、人々が欲する物を追及して行くべきだと。」

「なるほど、意見が食い違っている訳ですね。どう思う?ユーカ。」

 あえて、ユーカに振ってみた。

「結局、アプローチが違うだけで、目指すところは一緒なんですよね。アレンジも新規も要は買ってくれる人の事を一番に考えないと売れません。と言う事で、最初は自分が欲しい物を考えるのが一番早いと思いますよ。」

「ユーカの言う通りだね。まずは自分の欲しい物を1つ、2人それぞれ考えてみてよ。それをみんなで売れるかどうか協議してみよう。」

 皆、意欲がある様で何よりだ。この商会はきっと成功するだろうと確信するユーリであった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

召喚失敗から始まる異世界生活

思惟岳
ファンタジー
庭付き一戸建て住宅ごと召喚されたせいで、召喚に失敗。いったん、天界に転送されたジュンは、これからどうしたいかと神に問われた。 「なろう」さまにも、以前、投稿させていただいたお話です。 ペンネームもタイトルも違うし、かなり書き直したので、別のお話のようなものですけれど。

インターネットで異世界無双!?

kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。  その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。  これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

【本編完結】転生隠者の転生記録———怠惰?冒険?魔法?全ては、その心の赴くままに……

ひらえす
ファンタジー
後にリッカと名乗る者は、それなりに生きて、たぶん一度死んだ。そして、その人生の苦難の8割程度が、神の不手際による物だと告げられる。  そんな前世の反動なのか、本人的には怠惰でマイペースな異世界ライフを満喫するはず……が、しかし。自分に素直になって暮らしていこうとする主人公のズレっぷり故に引き起こされたり掘り起こされたり巻き込まれていったり、時には外から眺めてみたり…の物語になりつつあります。 ※小説家になろう様、アルファポリス様、カクヨム様でほぼ同時投稿しています。 ※残酷描写は保険です。 ※誤字脱字多いと思います。教えてくださると助かります。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

処理中です...