創造魔法で想像以上に騒々しい異世界ライフ

埼玉ポテチ

文字の大きさ
104 / 151

第百四話

しおりを挟む
 ゴブリンを5匹討伐したので帰っても良いのだが、時間はまだ十分ある。そこでリュートは少し奥へ進んでみる事にする。手に余るようなら帰れば良いと言う考えだ。

 サーチを掛けながら10分程歩いていると、たまに魔物の反応があるが、あまり大型の物は居ない。この森は魔物が多いと聞いていた、しかし、実際はあまり反応が無い。何かがおかしいとリュートの脳裏に危険信号が鳴る。

 引き返そうかと考えた時、魔物の反応があった。数が多い。10匹以上は居るだろう。しかもゴブリンよりも反応が大きい。危険だ。そう思った時、人間の反応が引っかかった。誰かが戦っている?リュートは500メートル位離れた位置に移動して、詳しくサーチを掛けてみる。魔物の数は12体。対する人間は1人だ。

 どう考える?襲われているのか討伐中なのか判断が付かない。リュートはゆっくりと距離を縮めていく。100メートル程まで近づくと戦闘の音がする。金属同士がぶつかる様な鈍い音だ。どうやら武器を使う魔物らしい。戦闘に気を取られているだろう事を考慮して慎重に近づく。どうやら魔物はオークの様だ。

 更に近づくと小柄な女性の姿が見える。恰好から女冒険者だと判断する。小柄な女性冒険者は自分の身長よりも大きい戦斧を持っている。

 オーク達は1か所にまとまって威嚇をしている。地面には女冒険者が倒したと思われるオークの死体が3体転がっていた。

 高ランクの冒険者なのだろうか?だとすれば手出しは余計なお世話になるだろう。女冒険者を見ると肩で息をしているように感じる。疲れているのか?

 意を決してリュートは女冒険者の後方から声を掛ける。

「手助けは必要ですか?」

 女冒険者は驚いたような反応をするがオークから目を離さない。やはり高位の冒険者らしい。

「誰かは知らぬが、じり貧だ、1瞬で良いから隙を作って欲しい。可能か?」

「解りました。魔法で攻撃します。オークが態勢を崩したらお願いします。」

「了解だ。やってくれ!」

 リュートは女冒険者の右側に躍り出てエアバレットを撃つ。オークは固まっているので狙いは付けずに数を多めにする。

 1瞬の間を空けてオーク達から悲鳴が上がる。体のあちこちをエアバレットに貫通され血が一面に飛び散る。豚の魔物とは言え2足歩行なので結構グロい。

 結果、5体を倒し、7体を手負いにした。それを見た、女冒険者は一気に間を詰め戦斧を横なぎにする。一度の攻撃で2体のオークが吹き飛んだ。身体強化もしていないのにスピードと攻撃力が半端じゃない。体力と敏捷性が高いのだろう。重い戦斧を軽々と扱い次々とオークを屠って行く。

 7体のオークをあっという間に倒し、女冒険者が初めてこちらに顔を見せた。やはり幼い。緑色の髪の毛が印象的だ。そう言えば向こうの大陸には居なかったな。この大陸独自の種族なのかな?

「助かったよ。盾役のオークが面倒でね。倒してくれて楽になった。」

「いえいえ、高位の冒険者さんなんでしょ?余計な事したんじゃないかとひやひやしました。」

「高位と言う程では無いが、Bランクのエリシアだ。改めてよろしく。」

「あ、Eランクのリュートと言います。こちらこそよろしくお願いします。」

 そう言うとまじまじと上から下まで見られた。

「Eランク?戦士の姿をしてるのに魔法で攻撃してたよね?」

「あー、魔法は得意なんですが、魔力量が少ないので、接近戦もやります。」

「なんか色々と突っ込みどころ満載なんだけど、まあいいわ。討伐証明部位の剥ぎ取りと魔石を確保しましょう。オークの場合は右耳ね。」

「僕が貰っても良いんですか?」

「5匹はあなたが倒したのだからあなたの物よ。」

 そう言うと手際よくオークを処理して行く。

「ちなみにオークは肉が素材なのでマジックバッグを持ってるなら死体を持って行くと金になるぞ。」

「そうなんですか?エリシアさんは持って行かないのですか?」

「金には困って無いからね。持てるなら私の分も持って行って良いぞ。」

 そう言われたのでありがたくオークの死体を15匹分マジックバッグに仕舞った。アイテムボックスもあるのだが、知られると面倒そうなのでマジックバッグを用意していたのだ。ゴブリンの死体も入っている。魔石の取り出し方が解らなかったからだ。

「ずいぶんと容量の大きいマジックバッグを持ってるのだな。」

「そうですか?それより、お金が目的じゃないって、なんで冒険者をやってるんですか?」

「レベルを上げる為さ。」

「レベル?」

「冒険者をやっていてレベルを知らないのか?つくづく変わった男だな。レベルとは魔物を倒す事で得られる経験値を一定数上げると上がる冒険者の指標の様な物だな。レベルが上がると様々な特典が得られるが、最大の魅力はステータスが上がる事だ。ステータスが上がると戦闘が楽になるのは君も知っているだろう?」

「なるほど、冒険者のランクを数値化したような感じですね。何処で調べられるんですか?」

「冒険者ギルドに行けば無料で教えてくれるぞ。」

 これは良い事を聞いた。レベルを上げれば魔力量も増えるって言う事だよね?明日からはお金を稼ぎつつレベルも上げて行こう。

 2人は連れ添って冒険者ギルドへと向かう。途中色々な話をしたのでだいぶエリシアの事を知る事が出来た。

 童顔で背が低いが年は17歳だそうだ。生まれつき体力の数値が高く、普通の武器では耐え切れず折れてしまうので今の戦斧を使っている事。髪の毛が緑色なのはこの国では珍しくない事などを話してくれた。リュートは自分が一部記憶を失っている事を話した。

「なるほどな。しかし、記憶を失っても魔法は使えるんだな。」

「そこは、自分でも不思議です。」

 冒険者ギルドに付くと各自担当の受付に行く。今日の戦果はゴブリン5匹とオーク5匹だと言って耳を渡したら驚かれた。

「Eランクでオークは無謀ですよ。」

「いや、Bランクのエリシアさんが同行してくれたので危険は無かったですよ。」

「ほう?ソロで有名なエリシアさんと同行したんですか?」

「さあ、僕は初めて会ったので何とも言えませんが。それよりレベルってどうすれば見れるんでしょうか?」

「レベルならそこの丸い石にギルドカードをかざせば見れますよ。」

 そう言って、カウンターの端っこにある。地球儀の様な物を指さした。

 リュートは金貨2枚と銀貨2枚を受け取ると早速レベルを見に行く。丁度終わったのかエリシアさんもこちらへ向かって来る。

「エリシアさんもレベルの確認ですか?」

「ああ、レベルと言うより経験値だがな。レベルは上がれば上がるほど上がりにくくなるんだ。」

 そう言ってギルドカードを石にかざす。石の表面にこちらの言語で数値が浮かび上がる。エリシアさんのレベルは41らしい。これが高いのか低いのか判らないが。

「レベルって判断基準が判らないんですが、どの程度あれば一人前なんでしょうか?」

「そうだな。昔、この国を救った勇者のレベルが120だと言われている。現在王都に居るSランクの冒険者で80程度。君はEランクだから20もあれば多い方だ。」

 エリシアが左にずれたので今度はリュートがギルドカードをかざす。数値が浮かび上がる。

「ん?230??」

 隣を見るとエリシアさんが固まっている。これって不味い展開なのでは?

 急いでエリシアさんを引きずって冒険者ギルドを出た。強引に引っ張って人気の少ない所を探す。ちょっと横道に入った場所が誰も居なかったのでそこで立ち止まる。

「エリシアさん。さっきのは見なかった事にしてもらえませんか?」

 エリシアさんはまだ再起動していない。とりあえず、色々と声を掛けエリシアさんを元に戻す。

 戻ったのを確認して、さっきのは見なかった事にして下さいと再度お願いした。

「1つ条件がある。」

「なんでも聞きますのでお願いします。」

「暫く一緒に行動させて貰えないか?」

「え?それは構いませんが。何故?」

「君の秘密に興味がある。失くした記憶と言うのも気になるしな。」

「じゃあ、代わりに僕に戦い方を教えてくれませんか?」

「解った。」

 こうして、2人は秘密の同盟を結んだ。

しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

まったく知らない世界に転生したようです

吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし? まったく知らない世界に転生したようです。 何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?! 頼れるのは己のみ、みたいです……? ※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。 私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。 111話までは毎日更新。 それ以降は毎週金曜日20時に更新します。 カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

傷物転生令嬢マグダリーナと原初の魔法使いエステラの幻想譚-女神とスライムの光とともに- (旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる―― ※他サイトでも掲載しています ※ちょいちょい手直ししていってます 2026.12.14 タイトル変更 旧タイトル:ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

貧乏奨学生の子爵令嬢は、特許で稼ぐ夢を見る 〜レイシアは、今日も我が道つき進む!~

みちのあかり
ファンタジー
同じゼミに通う王子から、ありえないプロポーズを受ける貧乏奨学生のレイシア。 何でこんなことに? レイシアは今までの生き方を振り返り始めた。 第一部(領地でスローライフ) 5歳の誕生日。お父様とお母様にお祝いされ、教会で祝福を受ける。教会で孤児と一緒に勉強をはじめるレイシアは、その才能が開花し非常に優秀に育っていく。お母様が里帰り出産。生まれてくる弟のために、料理やメイド仕事を覚えようと必死に頑張るレイシア。 お母様も戻り、家族で幸せな生活を送るレイシア。 しかし、未曽有の災害が起こり、領地は借金を負うことに。 貧乏でも明るく生きるレイシアの、ハートフルコメディ。 第二部(学園無双) 貧乏なため、奨学生として貴族が通う学園に入学したレイシア。 貴族としての進学は奨学生では無理? 平民に落ちても生きていけるコースを選ぶ。 だが、様々な思惑により貴族のコースも受けなければいけないレイシア。お金持ちの貴族の女子には嫌われ相手にされない。 そんなことは気にもせず、お金儲け、特許取得を目指すレイシア。 ところが、いきなり王子からプロポーズを受け・・・ 学園無双の痛快コメディ カクヨムで240万PV頂いています。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

処理中です...