【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ

文字の大きさ
11 / 315
第1章 復讐の魔女

第9話 宿屋にて

しおりを挟む
 ビオレールの冒険者ギルドの横に宿があるのはやはり冒険者の宿泊を狙ってのことだろうか。
 宿屋は木造3階建ての建物で、1階が酒場と宿の受付になっている。

「お代は1人小銀貨2枚よ。一応言っておくけど、めっちゃ重そうな男を背負ってるけど、酔わして部屋に連れ込んでベッドに寝かせて、起きたら犯されたんだから金よこせなんてのはなしにしてくれよ」

 宿の受付に座った20代半ばぐらいの女性からとんでもないことをあくび交じりで言われた。
 どうしたらそんな発想になるんだっての。

「ローゼ。私お金ないわよ」

「はいはい、じゃあ小銀貨6枚出します」

 ベレニスに適当に相槌を打ってから、受付の女性にお金を渡す。

「部屋は一つしか空いてないからね。ベッドを汚したら追加で金貰うよ」

 部屋の鍵を受け取り、軽く頭を下げてから宿の受付を後にする。
 場所は3階の一番奥にある部屋。
 鍵を差し込んで開けると、小さな部屋でベッドが一つだけ置いてあった。
 一応シーツとかは新しいみたい。

 リョウをベッドに寝かせると、ふうっとため息が自然と出てきた。

「風魔法をずっと発動させて運ぶなんて、面白いことするのねローゼ。それにこの男を眠らせた魔法もさあ、あれ多分ゴーレムにも効くわよ。てかそんな強大な魔力を浴びたんだし、これいつ目覚めるかわかんなくない?」

 ベレニスがリョウの顔の前で手をヒラヒラと振りながらあっけらかんと言う。

「いやいやいや、ゴーレムって無機物だし」

「ふ~ん、まあいいわ。それで? これからどうすんの?」

「まあ見てて」

 杖に意識を集中させてゆく。
 回復魔法は得意ではないけど、睡眠魔法を解くのは出来るはず。
 要は魔法を解くか、もしくは眠気を追い払うイメージで魔力を解放させれば良いのだ。
 そう考えて杖に魔力を流し込むと、リョウの体がピクリと動く。

「目覚められてもなんか面倒になりそうだし、縛っておいたほうがよくない?」

「いやいや、縛ったら目覚めた時にもっとめんどくさいよ」

 ベレニスが木製のロープを持って、リョウの体を縛り始めようとするので慌てて止める。

 私はベッドの端に座り込んで意識を集中させる。
 そして杖に魔力を流し込みながら、ついでに初級魔法であるライトを発動して部屋の中を照らす。
 闇を払う光、それがライト。
 光属性を持っていなくても使える魔法で、私もたまに夜寝る前にベッドサイドランプ代わりに使っている。

 眩しくしたら起きるでしょ。

「うっく……ここは? ……何がどうなってんだ?」

 ようやくリョウの意識が戻ったらしく、上半身を起き上がらせて私とベレニスの顔を見てからクソっと悪態をついて項垂れる。

「うわ~、これだから男ってのは。素直にお礼を言ったらどうなのよ」

 ベレニスが腕を組みながら、呆れたようにリョウを見下ろしてゆく。

「お礼だと?」

「あんた城の前で、お偉いさんたちに斬りつけようとか考えてたでしょ? やっていたら死んでたわよ。特攻するバカなんて初めて見たわ」

「……その場で勝っても数千のビオレール兵に追われ、王国全土に指名手配される。結果、待っているのは無惨な死。……そんなこともわからないリョウじゃないでしょ?」

 私がそう言うけど、リョウはフンと鼻を鳴らし、そっぽを向く。

「うわ~何その態度、超ムカつくんだけど。ローゼ、こいつ追い出そうよ。てかベッド一つしかないし、寝ないならどいてほしいんだけど」

 ベレニスがリョウに、今にも蹴りを入れそうな感じで言う。

「話したくないなら無理に聞かないけど、命を無駄にしてほしくないかな? ほら? 偶然出会ったのも何かの縁だしさ。それにリョウは悪い人じゃないって私は思うし」

 私がそう話すとベレニスが、はあ~っと深いため息を吐いてから頭を左右に振る。

「女にこんなこと言わせる男なんて最低ね。でもここから何も話さない男はもっと最低よ」

 ベレニスの言うことも一理あるけど、私はリョウが何か理由があってこんな行動をしたと信じてる。

 だから……

 私がベッドの端に座ると、その横にベレニスも座る。

 そして私とベレニスは、じーっと無言でリョウを見つめるのだった。

「はあ……わかったよ、話せばいいんだろ話せば」

 リョウは諦めたかのように深いため息を吐くと、ポツリポツリと話し出した。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~

月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』 恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。 戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。 だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】 導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。 「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」 「誰も本当の私なんて見てくれない」 「私の力は……人を傷つけるだけ」 「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」 傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。 しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。 ――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。 「君たちを、大陸最強にプロデュースする」 「「「「……はぁ!?」」」」 落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。 俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。 ◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処理中です...