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第2章 英雄の最期
第14話 魔王の正体
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ドワーフの里に温泉が湧いているとユーリアさんから聞き、私はフィーリアの両肩を持ってガクガクと揺する。
「入ろう! 今すぐ!」
「ちょっ! 目がマジで怖いっす、ローゼさん。温泉は逃げないっすから、ちょっと落ち着いてほしいっす」
「だって温泉だよ! 温泉! うひゃあ! 川じゃなくて温かいんだよ! フィーリア早く案内して!」
私はフィーリアを急かす。
こんな話をすればベレニスも参加してきて……
「ドワーフの温泉てお酒臭そう。ていうか、混浴なら嫌よ」
「混浴じゃないっすよ。母ちゃんに伝えとくっすから、覗こうとする不埒者が現れないようお願いしとくっすよ。まあ、ドワーフの男たちの好みの女性なんて自分たちにいないっすから、覗きは起こらないと思うっすけど」
「は? ちびっ子のフィーリアはともかく、この私の魅力がわからないなんてね。やっぱりドワーフって、目も鉱石でできてるんじゃないの?」
「いやいや、ベレニスさんて胸がないっすからね。ローゼさんはまあまあっすけど、横幅が足りないっす」
「ちょっとフィーリア! あんただって胸ないでしょ!」
ベレニスとフィーリアの軽い口喧嘩が始まる。
が、私はそれどころじゃない!
温泉だ温泉! お風呂! お湯に浸かれるんだぞ!
というか、横幅は増やす気はないぞ。
鉄鉱石や銀鉱脈のある山地の麓にあり、近くには鉱山もあるドワーフの里のとある場所。
そこに温泉が湧いていた。
「ふひい、癒やされるぅ~」
「ローゼって、お風呂が好きってお子ちゃまよね~。まあ、私も温泉は嫌いじゃないけどね」
ベレニスが泳ぎながらなんか言っているが、私たち以外に入っているドワーフはいないからほっとくかあ~。
秘湯感があって良いし、夕闇が広がっている空と鉱山から漏れる臭いのする大地から立ち上る湯気は、ドワーフの里に幻想的な雰囲気を醸し出す。
ドワーフって無骨で暑苦しいイメージだったけど、この里のドワーフたちは心優しく穏やかな人が多かったなあ~。
まあフィーリアよりちびっ子もいれば、ベレニスよりも背の低い大人だらけだけど、みんないい人たちだったよ。
私は肩まで浸かり、お湯を両手ですくって顔にかける。
うん! 温泉最高! そしてふと横を見るとフィーリアも蕩けた顔で温泉に浸かっている。
「そういえば私に紹介したいドワーフの学者って、フィーリアのお父さんのクルトさんだったんだねえ~」
「そうっすよ~。魔王アリスについても詳しいはずっすよ~」
「じゃあ~帰ったら、クルトさんに魔王の資料をお願いしようかなあ~」
そんな間抜けな声で会話していると、ベレニスがそういえばと、目線を上に向かわせていた。
「私も里で聞いたことあるわね。アリスってあれでしょ? お付きの騎士と恋人だったけど、王様に騎士が殺されて魔王になったって」
私は思わずベレニスを見る。
「ベレニス、詳しく!」
「ちょっ! ローゼ! 揺らさないで!」
私はベレニスをお湯に沈める勢いで肩を揺する。
「ベレニスさんに揺れるとこあるんすかね?」
「どういう意味よフィーリア! ローゼもやめて! 話すから!」
お湯に浸かりながらベレニスが肩で息をする。
私はベレニスに謝りながら話を聞くのであった。
「そうねえ~、又聞きの話だったけど、たしかこうね。アリスはめっちゃお姫様らしくって、魔女としての資質もピカ一で、そんでもって妹のアニスともむっちゃ仲良くて、誰からも愛されていた。その頃の大陸は、平和で戸締まりの心配もなかったんだって。ま、絶対脚色が入ってるわよ。私が言うことを聞かないから、里のジジババは興味を惹くように大袈裟に言うから」
ベレニスはやれやれと手を横に振る。
「ベレニス、それでどうして、アリスの恋人が王に殺されたの?」
「話は簡単よ、騎士の身分が低かったからってだけ。釣り合わないから、虫を排除するように王は指示してすぐに忘れた。ま、人間の偉い人なんて、いつの時代もそんなもんよね」
私はベレニスの話を聞き、思わず眉をひそめる。
王女であった立場の私は、アリス王女の気持ちも、王が国家を維持し運営するために取る手段も、なんとなくわかる。
けどそれは、アリス王女にとっては最悪の展開だ。
「悲嘆にくれるアリスは部屋に籠もり、妹のアニスの声にも耳を貸さず部屋に閉じこもった。妹のアニスは、なんとか姉であるアリスを元気づけようとしたり、父王へ罵詈雑言を吐いて暴れたけれど、逆に謹慎を命じられて遠くの地に飛ばされたわ。……そして、アリスの怒りはついに爆発した」
ベレニスは続ける。
「ディンレル王国の王都リュンカーラは消滅し、住んでいた民は皆死んだ。……それが魔王アリス誕生と、大陸に魔族が蔓延るきっかけになったってわけね」
ベレニスは話し終わると、お湯をすくい顔を洗った。
七英雄の物語の始まりは、突如現れた魔族の襲来にディンレル王国が滅び、各地で阿鼻叫喚の地獄が展開されたことから始まる。
そこからレインとアニスが小さな村で出逢い、共に旅立つところから物語が始まるのだけれど……
私の読んだ書籍に魔王の名も、アリス姫の名も記述はなかった。
多分だけど大乱の後の混乱を利用して、権力者たちが都合の悪い真実に蓋をしたのかも。
王国の姫が身分賤しき者の死で魔王になったなんて、統治するのに不都合だったからかな?
そんなの関係ないエルフやドワーフは、口伝や書物で後世に残していたのだろう。
なんか人として恥ずかしくもなってくる。
「さて、そろそろ出るっすよ。盛大な宴も待っているっすから」
フィーリアに促されてお湯から出る私とベレニス。
「また何か知っている昔の話があったら聞かせてね、ベレニス」
「え~? めんどくさいわねえ」
そんな会話をしながら扉を開けた時だ。
そこにはすっぽんぽんのリョウがいた。
………………ん?
リョウの下半身がムクムクと大きくなる。
私もベレニスもフィーリアも固まる。
え? 何これ? いや、ちょい待ち!
リョウ! 私たちが入っているって知っていてここにいる⁉
なんで私とベレニスとフィーリアは裸をリョウに見られているの⁉
「うわっ! ち、違うぞ! 俺はユーリアさんからここに温泉がって聞いて‼」
あたふたしているリョウ。
兎にも角にも私は全身が熱くなってくる。
見られた! リョウにまた裸を‼
っていうか、リョウの裸も見ちゃった‼
「きゃあああああああああああああああああ!」
私は思わず魔法を連発し、ベレニスも回し蹴りでリョウの顔面を蹴った。
リョウは倒れ、沈黙した。
「まーったく! これだからムッツリ傭兵は! もしかして、ずっと覗いていたんじゃないの? ていうか……大きいわね」
何がだ! そんなことよりさっさと服を着て里へ戻ろう。
(錯乱中)
「母ちゃん……わざと教えたっすね。そういう人なんすよ。ま、自分たちも長風呂し過ぎましたし、さっさと里に戻るっす」
フィーリアがリョウにタオルをかけながら呟いた。
ここから里にどうやって戻るんだっけ? 記憶が飛んだぞ。
おにょれリョウめ。
スノッサの森で初めて出会った時も私の裸を見たし、これで2度目だぞ。
どう責任を取るつもりかなあ?
「ベレニス、フィーリア。このままならリョウは夢を見たって感じで口にしないと思う。だから、これはなかったってことでいい?」
「ローゼさん顔が怖いっす。まあ自分は構わないっすよ」
「傭兵ホモ説は消えたわね。ちぇっ」
なんで残念そうなんだベレニス?
そんなこんなでそそくさと着替え終えて、温泉から去っていく私たちだった。
「入ろう! 今すぐ!」
「ちょっ! 目がマジで怖いっす、ローゼさん。温泉は逃げないっすから、ちょっと落ち着いてほしいっす」
「だって温泉だよ! 温泉! うひゃあ! 川じゃなくて温かいんだよ! フィーリア早く案内して!」
私はフィーリアを急かす。
こんな話をすればベレニスも参加してきて……
「ドワーフの温泉てお酒臭そう。ていうか、混浴なら嫌よ」
「混浴じゃないっすよ。母ちゃんに伝えとくっすから、覗こうとする不埒者が現れないようお願いしとくっすよ。まあ、ドワーフの男たちの好みの女性なんて自分たちにいないっすから、覗きは起こらないと思うっすけど」
「は? ちびっ子のフィーリアはともかく、この私の魅力がわからないなんてね。やっぱりドワーフって、目も鉱石でできてるんじゃないの?」
「いやいや、ベレニスさんて胸がないっすからね。ローゼさんはまあまあっすけど、横幅が足りないっす」
「ちょっとフィーリア! あんただって胸ないでしょ!」
ベレニスとフィーリアの軽い口喧嘩が始まる。
が、私はそれどころじゃない!
温泉だ温泉! お風呂! お湯に浸かれるんだぞ!
というか、横幅は増やす気はないぞ。
鉄鉱石や銀鉱脈のある山地の麓にあり、近くには鉱山もあるドワーフの里のとある場所。
そこに温泉が湧いていた。
「ふひい、癒やされるぅ~」
「ローゼって、お風呂が好きってお子ちゃまよね~。まあ、私も温泉は嫌いじゃないけどね」
ベレニスが泳ぎながらなんか言っているが、私たち以外に入っているドワーフはいないからほっとくかあ~。
秘湯感があって良いし、夕闇が広がっている空と鉱山から漏れる臭いのする大地から立ち上る湯気は、ドワーフの里に幻想的な雰囲気を醸し出す。
ドワーフって無骨で暑苦しいイメージだったけど、この里のドワーフたちは心優しく穏やかな人が多かったなあ~。
まあフィーリアよりちびっ子もいれば、ベレニスよりも背の低い大人だらけだけど、みんないい人たちだったよ。
私は肩まで浸かり、お湯を両手ですくって顔にかける。
うん! 温泉最高! そしてふと横を見るとフィーリアも蕩けた顔で温泉に浸かっている。
「そういえば私に紹介したいドワーフの学者って、フィーリアのお父さんのクルトさんだったんだねえ~」
「そうっすよ~。魔王アリスについても詳しいはずっすよ~」
「じゃあ~帰ったら、クルトさんに魔王の資料をお願いしようかなあ~」
そんな間抜けな声で会話していると、ベレニスがそういえばと、目線を上に向かわせていた。
「私も里で聞いたことあるわね。アリスってあれでしょ? お付きの騎士と恋人だったけど、王様に騎士が殺されて魔王になったって」
私は思わずベレニスを見る。
「ベレニス、詳しく!」
「ちょっ! ローゼ! 揺らさないで!」
私はベレニスをお湯に沈める勢いで肩を揺する。
「ベレニスさんに揺れるとこあるんすかね?」
「どういう意味よフィーリア! ローゼもやめて! 話すから!」
お湯に浸かりながらベレニスが肩で息をする。
私はベレニスに謝りながら話を聞くのであった。
「そうねえ~、又聞きの話だったけど、たしかこうね。アリスはめっちゃお姫様らしくって、魔女としての資質もピカ一で、そんでもって妹のアニスともむっちゃ仲良くて、誰からも愛されていた。その頃の大陸は、平和で戸締まりの心配もなかったんだって。ま、絶対脚色が入ってるわよ。私が言うことを聞かないから、里のジジババは興味を惹くように大袈裟に言うから」
ベレニスはやれやれと手を横に振る。
「ベレニス、それでどうして、アリスの恋人が王に殺されたの?」
「話は簡単よ、騎士の身分が低かったからってだけ。釣り合わないから、虫を排除するように王は指示してすぐに忘れた。ま、人間の偉い人なんて、いつの時代もそんなもんよね」
私はベレニスの話を聞き、思わず眉をひそめる。
王女であった立場の私は、アリス王女の気持ちも、王が国家を維持し運営するために取る手段も、なんとなくわかる。
けどそれは、アリス王女にとっては最悪の展開だ。
「悲嘆にくれるアリスは部屋に籠もり、妹のアニスの声にも耳を貸さず部屋に閉じこもった。妹のアニスは、なんとか姉であるアリスを元気づけようとしたり、父王へ罵詈雑言を吐いて暴れたけれど、逆に謹慎を命じられて遠くの地に飛ばされたわ。……そして、アリスの怒りはついに爆発した」
ベレニスは続ける。
「ディンレル王国の王都リュンカーラは消滅し、住んでいた民は皆死んだ。……それが魔王アリス誕生と、大陸に魔族が蔓延るきっかけになったってわけね」
ベレニスは話し終わると、お湯をすくい顔を洗った。
七英雄の物語の始まりは、突如現れた魔族の襲来にディンレル王国が滅び、各地で阿鼻叫喚の地獄が展開されたことから始まる。
そこからレインとアニスが小さな村で出逢い、共に旅立つところから物語が始まるのだけれど……
私の読んだ書籍に魔王の名も、アリス姫の名も記述はなかった。
多分だけど大乱の後の混乱を利用して、権力者たちが都合の悪い真実に蓋をしたのかも。
王国の姫が身分賤しき者の死で魔王になったなんて、統治するのに不都合だったからかな?
そんなの関係ないエルフやドワーフは、口伝や書物で後世に残していたのだろう。
なんか人として恥ずかしくもなってくる。
「さて、そろそろ出るっすよ。盛大な宴も待っているっすから」
フィーリアに促されてお湯から出る私とベレニス。
「また何か知っている昔の話があったら聞かせてね、ベレニス」
「え~? めんどくさいわねえ」
そんな会話をしながら扉を開けた時だ。
そこにはすっぽんぽんのリョウがいた。
………………ん?
リョウの下半身がムクムクと大きくなる。
私もベレニスもフィーリアも固まる。
え? 何これ? いや、ちょい待ち!
リョウ! 私たちが入っているって知っていてここにいる⁉
なんで私とベレニスとフィーリアは裸をリョウに見られているの⁉
「うわっ! ち、違うぞ! 俺はユーリアさんからここに温泉がって聞いて‼」
あたふたしているリョウ。
兎にも角にも私は全身が熱くなってくる。
見られた! リョウにまた裸を‼
っていうか、リョウの裸も見ちゃった‼
「きゃあああああああああああああああああ!」
私は思わず魔法を連発し、ベレニスも回し蹴りでリョウの顔面を蹴った。
リョウは倒れ、沈黙した。
「まーったく! これだからムッツリ傭兵は! もしかして、ずっと覗いていたんじゃないの? ていうか……大きいわね」
何がだ! そんなことよりさっさと服を着て里へ戻ろう。
(錯乱中)
「母ちゃん……わざと教えたっすね。そういう人なんすよ。ま、自分たちも長風呂し過ぎましたし、さっさと里に戻るっす」
フィーリアがリョウにタオルをかけながら呟いた。
ここから里にどうやって戻るんだっけ? 記憶が飛んだぞ。
おにょれリョウめ。
スノッサの森で初めて出会った時も私の裸を見たし、これで2度目だぞ。
どう責任を取るつもりかなあ?
「ベレニス、フィーリア。このままならリョウは夢を見たって感じで口にしないと思う。だから、これはなかったってことでいい?」
「ローゼさん顔が怖いっす。まあ自分は構わないっすよ」
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