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第6章 雪原は鮮血に染まる
第28話 ガーデリアの街
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宿で目を覚ます私の耳に響くのは、母のような優しい声だった。
「アニス……母さん?」
呟きつつ、私はベッドに潜り込んできた仲間たちの足をどかし、起き上がって窓の外を見た。
まだ暗闇の雪原、そこに立つ影が一瞬見えた気がした。
って、剣の鍛錬してるヒイラギか。
……じゃない、リョウだよ。
あれ? 今、私はなんて呟いたんだっけ?
そうだそうだ、剣の鍛錬してるリョウか、だよ。
相変わらずの光景に嘆息して、ベッドへ戻ろうとすると、視線を浴びた気がした。
リョウでも、私のベッドの反対側で寝ているみんなでも、礼儀正しく身支度を整えているヴィレッタでもない。
……でもそれは、夢の中でアニスが背中に浴びていたような感覚。
懐かしい温かみのあるもので、私の頬が濡れた。
それからも私たちは、魔獣討伐や通せんぼする盗賊を退治して路銀を稼ぎながら旅を続け、ガーデリア領に到着した。
ファインダ王国王都リオーネの北東に位置する領地だ。
聞いていたほど大雪ではなかったが、やはり南部に比べれば積もっている。
ここにディルの伝説……それに、アニスがディルたちの墓を建てた場所が、どこかにあるはず。
「男1人に女6人の冒険者一行ねえ。ちっ! ……ああいや、ようこそガーデリアへ。歓迎するよ」
軽く門番から舌打ちされて、御者席のリョウは軽く凹んでるけど、これはいつものことなんで気にしない。
この街は農業や酪農が盛んで、中でも特産品であるワインが有名だ。
街の外は、雪化粧をしたブドウ畑が目に入ってくる。
休眠期で実はなってないけど、秋になったら美味しいワインになって街を彩るんだろうなあ。
歴史としては千年以上前の魔王軍との戦いの折、魔王軍麾下の白豹将軍が、ガーデリアを中心に周辺一帯を支配した時期がある。
「アランの傭兵、リョウ・アルバースか。リオーネに居ると聞いていたが、またどうしてガーデリアに?」
門を潜り、石畳の街を進んだところで冒険者っぽい3人組のおっさんに声を掛けられた。
馬車から降りた私たちを、値踏みするようにジロジロ見てくる。
「ここの雪原に用があり、向かってます」
リョウがそう告げると、おっさんたちは「ああ」と納得したように頷いた。
「最近異変が多くてな。特に雪原は魔獣が増加して通行も厳しいって話だぜ」
「ま、精々頑張りな。俺たちは死にたくねえから雪原には行かねえがよ」
「ほんっとに美少女ばかり連れてるんだ。凹む……俺もハーレムクソ野郎って呼ばれたい」
そんな事を呟いて街の外へと向かうおっさん冒険者たち。
「知ってる人?」
そうリョウに聞いたら、彼は首を横に振った。
「まあ黒髪黒瞳でアラン傭兵団の鎧を着ていて、少女たちを連れ回しているのなんて、リョウ様ぐらいっすからね。知名度はあるっす」
「ムムム。私だって知名度あるわよ。前の街で子供たちに『ベレニス様カッコいい』って褒めてもらったわ。全員分のお菓子買ってあげて、路銀が尽きたけど」
……ベレニスそれって、単にお菓子をせびられただけなんじゃ。
「私も、パッと見ただけで名前を呼ばれたいものです! レオノール姫ではなく冒険者レオノールって、世の人々に認識されたいです! ですよね! 姉様!」
私をキラキラした目で見つめるレオノール。
いや、私は別に、世間の注目を浴びたいわけじゃないぞ。
ちなみに私たちは、防寒着を着込みフードを被りマフラーをしている。
ベレニスはモコモコした毛皮の防寒着を羽織ってるけど、それ動けるの?
「目的地の雪原は近いっすね。ダリム宰相の言っていた場所は多分ここら辺っす」
フィーリアが地図を指差し、私たちは頷いた。
「今日は宿で英気を養って、明日から出発しよ」
私の提案にみんなは賛成して、さっそく街の大通りにある宿屋へと向かった。
街の大通りには石柱が等間隔で建てられていて、石畳も手入れされていて綺麗だ。
左右に店が立ち並び活気があるけど、雪の影響か旅人は少なめだった。
リョウはフィーリアを連れて、馬車を預かってくれる商会を探しに行った。
フタエゴとバラオビは、名馬だけあってホント助かる存在だったよ。
……たまにリョウに鬣を撫でられて、甘えているのを私に見せつけて、ニカッと歯茎を見せつけてくるのには殺意が湧いたけど。
私たちは宿屋にチェックインした。
「大部屋があれば一つ、それと男性が1人あとから来ますので、1人用の部屋もお願いします」
「女性6名に男性1名ですね。はい大丈夫ですよ。お食事は如何なさいますか? もうすぐ日も暮れるので、1階の酒場で夕食が提供できますが」
快活な女性店員が、部屋の鍵を差し出して聞いてきた。
私たちがそうしようかと頷いていると、お約束というかなんというか、ガラの悪い酔っぱらいが近寄ってくる。
「ようお嬢ちゃんたち。可愛いなあ。俺とちょっと飲もうぜ!」
無精髭を蓄えた筋肉質の男が、酒臭い息を吐きながら私の腕を掴もうとするので、するりと避ける。
「師匠がいないとこういうのが寄ってきますねえ。まあ、問題ないですが!」
レオノールが剣の鞘で酔っぱらいの男を殴り、気絶させた。
「なっ⁉ ふざけやがって! 身体で払えや‼」
ありゃりゃ、仲間が居たか。でもバカだなあ。大人しくしてればいいのに。
待ってましたとばかりにクリスとベレニスが暴れて、あっという間に酔っぱらいの男たちは全員地面に倒れた。
店員も客も唖然としてこっちを見ている。
「フフン♪ このベレニスが見事悪漢を退治したわ♪ さあ、褒め称えなさい!」
ベレニスが平らな胸を張って威張り、まばらな拍手が飛んでくる。
もうベレニスったら、目立ちたがり屋なんだから。
私はその間に、魔法で倒れた酔っぱらいを外へと投げるとしますか。
なんか、私が一番酷えって声が聞こえるけど、優しく放り投げたから怪我してないと思うぞ?
……あっ⁉
私は驚き固まり、外を眺め続けた。
「どしたのローゼ? 顔が強張ってるわよ」
ベレニスが顔を覗いてくる。彼女には嘘が通じない。
私は素直に話すことにした。
「夢で見た子とそっくりの子がいた気がしたんだ。……もう、どこかへ行っちゃったみたいだけど」
黒髪ボブヘアの、おとなしそうな女の子。
目が合った一瞬を、私は不安に思いながらもどこか懐かしい感覚を呼び起こしていた。
***
ガーデリア南部の雪原にクレマンティーヌが静かに立っていた。
深い紺色のロングコートが冷たい風に靡き、腰のナイフが光を反射している。
彼女の足元には、弟子のアロマティカスが膝をつき、頭を下げたまま動かない。
雪原の空は灰色の雲に覆われ、遠くの地平線が霞んで見える。
「聞こえるかねえ。聞こえたら返事しておくれ。……バアフィン」
クレマンティーヌが呟くと、大地は震え、一層強い冷気が流れ出した。
『これはこれは宰相閣下。お久しぶりでございます。実に千年以上ぶりですなあ』
クレマンティーヌとアロマティカスの耳に、エコーのように冷たい、若い男の声が聞こえた。
「私は、あんたがアニスとドラルゴに討たれてから幾年の記憶しかないがねえ」
クレマンティーヌは呟きつつ、自分の考えが正しいことが実証されたと確信した。
「宰相閣下……どうか憐れみをいただけると幸いです」
恭しく言うバアフィンの声が雪原に流れる。
「ふむ……やってみるかねえ」
クレマンティーヌの声が低く響き、冷たい風に混じって彼女が右手を掲げると、指先から青い魔力が溢れ出して空気を震わせた。
地面が唸り、雪が割れて赤黒い霧が噴き出した。
霧は渦を巻いて空に伸び、丘の頂上から石壁がせり上がってくる。
壁の表面は血で濡れ、赤い筋が滴り落ち、地面に染みが広がった。
石壁が絡み合うように伸び、巨大な迷宮が丘の上に姿を現した。
入り口の奥は暗くて底が見えない。
クレマンティーヌが手を下ろすと、迷宮の石壁が脈打つように震え、赤黒い霧が周囲を包み込んだ。
『おお! さすがは宰相閣下! ありがたい。これで復活できます。これからも魔王軍に忠誠を尽くしましょう』
歓喜の声を上げるバアフィンを、アロマティカスは睨んだ。
『宰相閣下、その者は?』
「私の弟子さね。あんたも会ったことあるねえ」
『生きている人間を記憶する趣味はありませんね。して、魔王様は今、いずこに?』
「焦らなくていいさね。いずれ会える。君は復活に専念するがいい。ああそうそう、もうすぐリョウ・アルバース一行が君に戦いを挑むだろう。期待してるさね。情報はコチラさ」
クレマンティーヌの手から小さな光がふわりと舞い、雪原に消えた。
『……ほう。承知しました』
バアフィンの粒子が、迷宮に溶け込むのを確認してクレマンティーヌは、ふうっと嘆息した。
「これでいいさね。ローゼマリー姫、あんたの魂がどうなるか、楽しみにしてるよ」
「私たちが奴に殺された地に迷宮を造っていたとは……本当ムカつく奴です」
アロマティカスが淡々と呟き、背を向けて歩く姿にクレマンティーヌも後を追った。
迷宮に粒子を溶け込ませながら、バアフィンは嘲笑っていた。
『クレマンティーヌめ、元人間風情が。何を考えているのか知らぬが、魔王様の魂が健在の限り僕たちは消滅しない。……いずれ貴様だけを封じ込め、この地を僕の思い通りにしよう。ヴィクティム! シルバータイラント! 我が魔力で蘇り顕現せよ!』
迷宮の奥深くで、純血の魔族が千年ぶりに大陸の大地に現れた。
「アニス……母さん?」
呟きつつ、私はベッドに潜り込んできた仲間たちの足をどかし、起き上がって窓の外を見た。
まだ暗闇の雪原、そこに立つ影が一瞬見えた気がした。
って、剣の鍛錬してるヒイラギか。
……じゃない、リョウだよ。
あれ? 今、私はなんて呟いたんだっけ?
そうだそうだ、剣の鍛錬してるリョウか、だよ。
相変わらずの光景に嘆息して、ベッドへ戻ろうとすると、視線を浴びた気がした。
リョウでも、私のベッドの反対側で寝ているみんなでも、礼儀正しく身支度を整えているヴィレッタでもない。
……でもそれは、夢の中でアニスが背中に浴びていたような感覚。
懐かしい温かみのあるもので、私の頬が濡れた。
それからも私たちは、魔獣討伐や通せんぼする盗賊を退治して路銀を稼ぎながら旅を続け、ガーデリア領に到着した。
ファインダ王国王都リオーネの北東に位置する領地だ。
聞いていたほど大雪ではなかったが、やはり南部に比べれば積もっている。
ここにディルの伝説……それに、アニスがディルたちの墓を建てた場所が、どこかにあるはず。
「男1人に女6人の冒険者一行ねえ。ちっ! ……ああいや、ようこそガーデリアへ。歓迎するよ」
軽く門番から舌打ちされて、御者席のリョウは軽く凹んでるけど、これはいつものことなんで気にしない。
この街は農業や酪農が盛んで、中でも特産品であるワインが有名だ。
街の外は、雪化粧をしたブドウ畑が目に入ってくる。
休眠期で実はなってないけど、秋になったら美味しいワインになって街を彩るんだろうなあ。
歴史としては千年以上前の魔王軍との戦いの折、魔王軍麾下の白豹将軍が、ガーデリアを中心に周辺一帯を支配した時期がある。
「アランの傭兵、リョウ・アルバースか。リオーネに居ると聞いていたが、またどうしてガーデリアに?」
門を潜り、石畳の街を進んだところで冒険者っぽい3人組のおっさんに声を掛けられた。
馬車から降りた私たちを、値踏みするようにジロジロ見てくる。
「ここの雪原に用があり、向かってます」
リョウがそう告げると、おっさんたちは「ああ」と納得したように頷いた。
「最近異変が多くてな。特に雪原は魔獣が増加して通行も厳しいって話だぜ」
「ま、精々頑張りな。俺たちは死にたくねえから雪原には行かねえがよ」
「ほんっとに美少女ばかり連れてるんだ。凹む……俺もハーレムクソ野郎って呼ばれたい」
そんな事を呟いて街の外へと向かうおっさん冒険者たち。
「知ってる人?」
そうリョウに聞いたら、彼は首を横に振った。
「まあ黒髪黒瞳でアラン傭兵団の鎧を着ていて、少女たちを連れ回しているのなんて、リョウ様ぐらいっすからね。知名度はあるっす」
「ムムム。私だって知名度あるわよ。前の街で子供たちに『ベレニス様カッコいい』って褒めてもらったわ。全員分のお菓子買ってあげて、路銀が尽きたけど」
……ベレニスそれって、単にお菓子をせびられただけなんじゃ。
「私も、パッと見ただけで名前を呼ばれたいものです! レオノール姫ではなく冒険者レオノールって、世の人々に認識されたいです! ですよね! 姉様!」
私をキラキラした目で見つめるレオノール。
いや、私は別に、世間の注目を浴びたいわけじゃないぞ。
ちなみに私たちは、防寒着を着込みフードを被りマフラーをしている。
ベレニスはモコモコした毛皮の防寒着を羽織ってるけど、それ動けるの?
「目的地の雪原は近いっすね。ダリム宰相の言っていた場所は多分ここら辺っす」
フィーリアが地図を指差し、私たちは頷いた。
「今日は宿で英気を養って、明日から出発しよ」
私の提案にみんなは賛成して、さっそく街の大通りにある宿屋へと向かった。
街の大通りには石柱が等間隔で建てられていて、石畳も手入れされていて綺麗だ。
左右に店が立ち並び活気があるけど、雪の影響か旅人は少なめだった。
リョウはフィーリアを連れて、馬車を預かってくれる商会を探しに行った。
フタエゴとバラオビは、名馬だけあってホント助かる存在だったよ。
……たまにリョウに鬣を撫でられて、甘えているのを私に見せつけて、ニカッと歯茎を見せつけてくるのには殺意が湧いたけど。
私たちは宿屋にチェックインした。
「大部屋があれば一つ、それと男性が1人あとから来ますので、1人用の部屋もお願いします」
「女性6名に男性1名ですね。はい大丈夫ですよ。お食事は如何なさいますか? もうすぐ日も暮れるので、1階の酒場で夕食が提供できますが」
快活な女性店員が、部屋の鍵を差し出して聞いてきた。
私たちがそうしようかと頷いていると、お約束というかなんというか、ガラの悪い酔っぱらいが近寄ってくる。
「ようお嬢ちゃんたち。可愛いなあ。俺とちょっと飲もうぜ!」
無精髭を蓄えた筋肉質の男が、酒臭い息を吐きながら私の腕を掴もうとするので、するりと避ける。
「師匠がいないとこういうのが寄ってきますねえ。まあ、問題ないですが!」
レオノールが剣の鞘で酔っぱらいの男を殴り、気絶させた。
「なっ⁉ ふざけやがって! 身体で払えや‼」
ありゃりゃ、仲間が居たか。でもバカだなあ。大人しくしてればいいのに。
待ってましたとばかりにクリスとベレニスが暴れて、あっという間に酔っぱらいの男たちは全員地面に倒れた。
店員も客も唖然としてこっちを見ている。
「フフン♪ このベレニスが見事悪漢を退治したわ♪ さあ、褒め称えなさい!」
ベレニスが平らな胸を張って威張り、まばらな拍手が飛んでくる。
もうベレニスったら、目立ちたがり屋なんだから。
私はその間に、魔法で倒れた酔っぱらいを外へと投げるとしますか。
なんか、私が一番酷えって声が聞こえるけど、優しく放り投げたから怪我してないと思うぞ?
……あっ⁉
私は驚き固まり、外を眺め続けた。
「どしたのローゼ? 顔が強張ってるわよ」
ベレニスが顔を覗いてくる。彼女には嘘が通じない。
私は素直に話すことにした。
「夢で見た子とそっくりの子がいた気がしたんだ。……もう、どこかへ行っちゃったみたいだけど」
黒髪ボブヘアの、おとなしそうな女の子。
目が合った一瞬を、私は不安に思いながらもどこか懐かしい感覚を呼び起こしていた。
***
ガーデリア南部の雪原にクレマンティーヌが静かに立っていた。
深い紺色のロングコートが冷たい風に靡き、腰のナイフが光を反射している。
彼女の足元には、弟子のアロマティカスが膝をつき、頭を下げたまま動かない。
雪原の空は灰色の雲に覆われ、遠くの地平線が霞んで見える。
「聞こえるかねえ。聞こえたら返事しておくれ。……バアフィン」
クレマンティーヌが呟くと、大地は震え、一層強い冷気が流れ出した。
『これはこれは宰相閣下。お久しぶりでございます。実に千年以上ぶりですなあ』
クレマンティーヌとアロマティカスの耳に、エコーのように冷たい、若い男の声が聞こえた。
「私は、あんたがアニスとドラルゴに討たれてから幾年の記憶しかないがねえ」
クレマンティーヌは呟きつつ、自分の考えが正しいことが実証されたと確信した。
「宰相閣下……どうか憐れみをいただけると幸いです」
恭しく言うバアフィンの声が雪原に流れる。
「ふむ……やってみるかねえ」
クレマンティーヌの声が低く響き、冷たい風に混じって彼女が右手を掲げると、指先から青い魔力が溢れ出して空気を震わせた。
地面が唸り、雪が割れて赤黒い霧が噴き出した。
霧は渦を巻いて空に伸び、丘の頂上から石壁がせり上がってくる。
壁の表面は血で濡れ、赤い筋が滴り落ち、地面に染みが広がった。
石壁が絡み合うように伸び、巨大な迷宮が丘の上に姿を現した。
入り口の奥は暗くて底が見えない。
クレマンティーヌが手を下ろすと、迷宮の石壁が脈打つように震え、赤黒い霧が周囲を包み込んだ。
『おお! さすがは宰相閣下! ありがたい。これで復活できます。これからも魔王軍に忠誠を尽くしましょう』
歓喜の声を上げるバアフィンを、アロマティカスは睨んだ。
『宰相閣下、その者は?』
「私の弟子さね。あんたも会ったことあるねえ」
『生きている人間を記憶する趣味はありませんね。して、魔王様は今、いずこに?』
「焦らなくていいさね。いずれ会える。君は復活に専念するがいい。ああそうそう、もうすぐリョウ・アルバース一行が君に戦いを挑むだろう。期待してるさね。情報はコチラさ」
クレマンティーヌの手から小さな光がふわりと舞い、雪原に消えた。
『……ほう。承知しました』
バアフィンの粒子が、迷宮に溶け込むのを確認してクレマンティーヌは、ふうっと嘆息した。
「これでいいさね。ローゼマリー姫、あんたの魂がどうなるか、楽しみにしてるよ」
「私たちが奴に殺された地に迷宮を造っていたとは……本当ムカつく奴です」
アロマティカスが淡々と呟き、背を向けて歩く姿にクレマンティーヌも後を追った。
迷宮に粒子を溶け込ませながら、バアフィンは嘲笑っていた。
『クレマンティーヌめ、元人間風情が。何を考えているのか知らぬが、魔王様の魂が健在の限り僕たちは消滅しない。……いずれ貴様だけを封じ込め、この地を僕の思い通りにしよう。ヴィクティム! シルバータイラント! 我が魔力で蘇り顕現せよ!』
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