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エンディング

ラブエンド

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「ローザ! ローザ!」

「おかえりルシアン。そんなに急いでどうしたの?」

今日は、ローザの誕生日だ。急いで帰るに決まっているだろう。しかも、今日は夫婦になって最初の誕生日なのだから。

「ローザ、誕生日おめでとう」

ローザの好きな薔薇の花束と、宝石をあしらったブレスレットを手渡すと、ローザは嬉しそうに笑った。

こんな幸せな日々が送れるのも、カトリーヌのおかげだ。ヨハン王子によるとカトリーヌの予知がなければローザは死んでいたそうだ。

ローザが死ぬなど、考えただけでゾッとする。

だから、王子の作戦にも協力した。ローザ以外に愛を語るなど寒気がしたが、帰ってからローザを抱きしめる事でなんとか耐えた。恩を返さないなどありえないからな。

そろそろ限界だった頃、ようやく卒業パーティーが行われた。僕はローザと過ごせたから良かったけど、クロードは大変だったみたいだ。

「……ん? 手紙か……」

帝国から? ヨハン王子だな。開封してみるととんでもない事が書かれていた。ローザを襲った男は処刑される筈だったんだけど、ヨハン王子が引き取りたいと言って連れていったのだ。

帝国の機嫌を損ねたくない王家はあっさり要求を飲んだ。

「こーゆーとこが、ダメなんだよね。ちゃんと法が決まってれば、法を理由に断れるし相手も納得する。うちの国は曖昧で国王陛下のご機嫌次第な事が多すぎるよ。だから、ルバートに囁くだけでカトリーヌ国外追放できちゃうんでしょうに」

クロードはそう言ってぼやいていた。
手紙には、ローザを狙った男が正常に戻り証言が取れたと書かれていた。……黒幕が、キャシーだと?!

許さない。絶対に。

僕は持てる全ての権力と人脈を使い、ルソー公爵家を訴えた。

「ルシアンは人望があるからね。温厚なルシアンが訴えるなんて余程の事だと思ってるみたいだよ。王家でも重くみてるから、もう終わりだよ」

結局、キャシーとルバートは幽閉された。本当はキャシーは処刑したかったけど、クロードからルバートの為にキャシーを殺さないでくれと頼まれた。

「法が曖昧なのを変えようとしてるのに、俺がこんな事頼むのはダメなんだけど、多分キャシーが居なくなるとルバートも死んじゃうと思うんだ」

悲しそうなクロードを見ていると、了承せざるを得なかった。我が国の貴族同士の争いに限るが、訴える側が求刑するのは、やはりおかしい。我が国の今後を考えると、法が整う事は必須だ。

「ローザ……愛してる」

「私もよ。ルシアン愛してるわ」

もうすぐ僕は父親になる。この子の為にも、より良い国にしてみせる。
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