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39.葛藤【クリストフ視点】
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「はい……」
「よし、ならそこに居る男……いや、やっぱり先程ミルクを持って来たメイドの使える魔法を言え」
「直接、お会いしないと、分かりません」
「おい、メアリーを呼んで来い」
メアリーを鑑定させると、リュカ殿の手から僅かに炎が漏れる。
「鑑定する時はその炎が出るのか?」
「はい」
「わかりやすいな。さ、結果を教えろ」
「土魔法、火魔法」
「あっているな。メアリー、この国に来てから魔法を使ったか?」
「いえ……使用しておりません」
「なるほど。メアリー、下がって良いぞ」
「は、はいっ!」
ぼんやりしているリュカ殿に語りかける。
「この国には、魅了や鑑定といった通常の魔法とは違う魔法を使う者が居るな?」
「はい」
「どのくらい居る?」
「私と……ルイーズ様……」
「それだけか」
「……」
「言え。2人だけの訳ないだろう。何人居る? 10人か?! 20人か?! どんな魔法がある?!」
「それは……」
「チッ……魔法が効いていないのか?! ルイーズとやらが言うには、王家の血筋は魔法が使えると聞いたぞ?! カトリーヌ王女は、何が使える?!」
「なにも……」
「なんだと?! 王家の血筋なら必ず魔法が使えるのではないのか?! あの女の母親は転移が使えると言っていたぞ」
「転移……それも制限があります……以前私が鑑定しました……恐らく乱用しているなら、そろそろ使えなくなるのではないかと……」
「そうか。僕を鑑定してみろ」
「承知しました。水魔法、風魔法、火魔法があり火魔法がお得意ですね」
「もう魅了魔法は使えないか?」
「お調べするには大量の魔力を使用します」
「そんなに魔力を使うのか?」
「はい。普通の鑑定にもかなりの魔力を使用します。ですから、現在の私では特殊魔法をお持ちかどうか鑑定する事は不可能です」
「チッ……なら明日魔力が回復したらすぐ僕のところに来い」
「承知しました」
「話を戻すぞ。カトリーヌ王女は魔法が使えないと言ったな。本当か?」
「普通の属性魔法は使えますが、特殊な魔法は一切使えません」
「他の王子達や国王、王妃は特殊な魔法が使えるのか?」
「使えません」
「王家の血筋が魔法を発動するというのは本当か?」
「いいえ。私は伯爵家です。血筋は関係ありません。ルイーズ様は、以前からカトリーヌ王女を敵視しておりました。同じ王家の血筋なのにどうして自分は城に住めないのかと……ですから、王家の血筋が重要だと思い込んだのでしょう。彼女の母親も選民意識の塊のような方です。元王女だからと、今でも城を好き勝手に出入りしようとして注意されています。王妃様の部屋に勝手に侵入した事すらあったとか」
「とんでもないな。降嫁したのだから立場を弁えないといけないのに。ルイーズとやらは、自分は特別だと吹聴していたがそういうことか。あの女は、他に魔法は使えるのか?」
「いいえ。ルイーズ様は魅了魔法以外使えません」
「ははっ! ならもう何も魔法は使えないという事か!」
「そうなりますね。クリストフ様は、ルイーズ様の魅了魔法にかかったのではないのですか?」
「ああ、あんなものにかかる訳ない。だか、お前は僕の魔法にかかったな。カトリーヌ王女を愛していると言う割に不甲斐ないな」
「……」
「ふん、まあ良い。それで、この国では特殊な魔法を使える者は何人居る?」
「さん……にん……」
「本当か?」
「はい」
「あのルイーズとか言う女と母親、そしてお前だけか」
「私は……特殊魔法が使えるからカトリーヌ王女の婚約者になりました。これから少しずつ、使える者を探す予定だったのです」
「それで、僕を鑑定したのは何故だ?」
「それは……カトリーヌ王女を狙う……いや……私が好きなのは……」
まずい! リュカ殿の目が元に戻りそうだ。くそっ! 1日くらいは効くのではなかったのか?!
それほど、カトリーヌ王女を愛しているという事か。
「もういい。考えるな」
「はい」
まずいな。時間が無いかもしれん。このままだとリュカ殿は元に戻ってしまう。明日まで待ってられんな。
「もう夜も遅いしこれくらいにしておこう。今すぐカトリーヌ王女に婚約を辞退すると伝えてこい」
「承知しました」
そう言うと、リュカ殿はすぐに部屋を出て行った。走り出す足音が遠くなる。尾行させてみると、カトリーヌ王女の部屋に入って行ったらしい。この様子なら、なんとか婚約を辞退するくらいまでは魔法が効いているだろう。もうすぐ夜明けだ。寝起きで愛する人から……大丈夫、傷ついた彼女は僕が慰める。明日起きたらすぐにカトリーヌ王女に婚約を申し込もう。
これで良い。全て思い通りだ。それなのに、心が痛んで眠る事が出来なかった。
「よし、ならそこに居る男……いや、やっぱり先程ミルクを持って来たメイドの使える魔法を言え」
「直接、お会いしないと、分かりません」
「おい、メアリーを呼んで来い」
メアリーを鑑定させると、リュカ殿の手から僅かに炎が漏れる。
「鑑定する時はその炎が出るのか?」
「はい」
「わかりやすいな。さ、結果を教えろ」
「土魔法、火魔法」
「あっているな。メアリー、この国に来てから魔法を使ったか?」
「いえ……使用しておりません」
「なるほど。メアリー、下がって良いぞ」
「は、はいっ!」
ぼんやりしているリュカ殿に語りかける。
「この国には、魅了や鑑定といった通常の魔法とは違う魔法を使う者が居るな?」
「はい」
「どのくらい居る?」
「私と……ルイーズ様……」
「それだけか」
「……」
「言え。2人だけの訳ないだろう。何人居る? 10人か?! 20人か?! どんな魔法がある?!」
「それは……」
「チッ……魔法が効いていないのか?! ルイーズとやらが言うには、王家の血筋は魔法が使えると聞いたぞ?! カトリーヌ王女は、何が使える?!」
「なにも……」
「なんだと?! 王家の血筋なら必ず魔法が使えるのではないのか?! あの女の母親は転移が使えると言っていたぞ」
「転移……それも制限があります……以前私が鑑定しました……恐らく乱用しているなら、そろそろ使えなくなるのではないかと……」
「そうか。僕を鑑定してみろ」
「承知しました。水魔法、風魔法、火魔法があり火魔法がお得意ですね」
「もう魅了魔法は使えないか?」
「お調べするには大量の魔力を使用します」
「そんなに魔力を使うのか?」
「はい。普通の鑑定にもかなりの魔力を使用します。ですから、現在の私では特殊魔法をお持ちかどうか鑑定する事は不可能です」
「チッ……なら明日魔力が回復したらすぐ僕のところに来い」
「承知しました」
「話を戻すぞ。カトリーヌ王女は魔法が使えないと言ったな。本当か?」
「普通の属性魔法は使えますが、特殊な魔法は一切使えません」
「他の王子達や国王、王妃は特殊な魔法が使えるのか?」
「使えません」
「王家の血筋が魔法を発動するというのは本当か?」
「いいえ。私は伯爵家です。血筋は関係ありません。ルイーズ様は、以前からカトリーヌ王女を敵視しておりました。同じ王家の血筋なのにどうして自分は城に住めないのかと……ですから、王家の血筋が重要だと思い込んだのでしょう。彼女の母親も選民意識の塊のような方です。元王女だからと、今でも城を好き勝手に出入りしようとして注意されています。王妃様の部屋に勝手に侵入した事すらあったとか」
「とんでもないな。降嫁したのだから立場を弁えないといけないのに。ルイーズとやらは、自分は特別だと吹聴していたがそういうことか。あの女は、他に魔法は使えるのか?」
「いいえ。ルイーズ様は魅了魔法以外使えません」
「ははっ! ならもう何も魔法は使えないという事か!」
「そうなりますね。クリストフ様は、ルイーズ様の魅了魔法にかかったのではないのですか?」
「ああ、あんなものにかかる訳ない。だか、お前は僕の魔法にかかったな。カトリーヌ王女を愛していると言う割に不甲斐ないな」
「……」
「ふん、まあ良い。それで、この国では特殊な魔法を使える者は何人居る?」
「さん……にん……」
「本当か?」
「はい」
「あのルイーズとか言う女と母親、そしてお前だけか」
「私は……特殊魔法が使えるからカトリーヌ王女の婚約者になりました。これから少しずつ、使える者を探す予定だったのです」
「それで、僕を鑑定したのは何故だ?」
「それは……カトリーヌ王女を狙う……いや……私が好きなのは……」
まずい! リュカ殿の目が元に戻りそうだ。くそっ! 1日くらいは効くのではなかったのか?!
それほど、カトリーヌ王女を愛しているという事か。
「もういい。考えるな」
「はい」
まずいな。時間が無いかもしれん。このままだとリュカ殿は元に戻ってしまう。明日まで待ってられんな。
「もう夜も遅いしこれくらいにしておこう。今すぐカトリーヌ王女に婚約を辞退すると伝えてこい」
「承知しました」
そう言うと、リュカ殿はすぐに部屋を出て行った。走り出す足音が遠くなる。尾行させてみると、カトリーヌ王女の部屋に入って行ったらしい。この様子なら、なんとか婚約を辞退するくらいまでは魔法が効いているだろう。もうすぐ夜明けだ。寝起きで愛する人から……大丈夫、傷ついた彼女は僕が慰める。明日起きたらすぐにカトリーヌ王女に婚約を申し込もう。
これで良い。全て思い通りだ。それなのに、心が痛んで眠る事が出来なかった。
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