初夜で白い結婚を宣言する男は夫ではなく敵です

編端みどり

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第十六話

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あれから、冷静になってみるとわたくしを影で助けてくれている人が居ると分かりました。解毒薬以外でも、様々な所で助けてくれておりましたわ。

おかげで、わたくしの不安定な気持ちは落ち着きました。この敵地で確実な味方が居る……それがどれだけ貴重な事か、身に染みて分かっておりますから。

そして、また1年経ちました。来週、ようやくローザ様が正妻として嫁いで参ります。あと1年耐えれば、わたくしは自由です。

旦那さまは、お義母様にローザ様を正妻にしたいと言うまで半年かかりました。あれからも、媚薬や子を産めという攻撃は続いており、何度も挫けそうになりました。その度に、わたくしの机や引き出しに小さな花が置いてありました。 

花のおかげで、なんとか頑張る事が出来ました。

そしてようやく、作戦を考えましたわ。

わたくしに子が産まれる気配が無く、商会の稼ぎは更に増えて財政が潤った為に、わたくしが出産や育児で仕事を離れるとまずいと思わせる事にしたのです。

そう思わせる為に、更にお金を稼ぎました。お義父様もお義母様もすっかり贅沢に慣れておりましたから、お金を持って行った時に、出産で仕事を離れたら稼ぎが減るとわたくしが呟いたのを聞き逃しませんでした。

その後、怯える旦那さまのお尻を叩いてお義母様にローザ様の話をしに行きました。お義母様は、わたくしより身分が高く、旦那さまが好きな子なら正妻にすれば良いと賛成しました。

何度も何度も、出産で収入が減ると呟いた甲斐がありましたわ。

「ったく、子が産めないなんて嫁失格だね。まあいい、お前は第三夫人になって侯爵家の財政だけ支えれば良いよ。そのかわり、今よりもっと稼ぎなさい」

第二夫人なんてわたくしには勿体ないそうです。怒りしかありませんが、今は耐えましょう。最近、お金を手に入れた事でどんどん贅沢になっている義理の両親は、ギャンブルにハマっているそうです。

違法な賭場に入り浸っているようですから、お義姉様を通じて実家に報告を入れております。どうせなら、捕まってしまえば宜しいと思いますが、もう少し証拠が要ります。少しずつ、少しずつ……証拠を集めておりますわ。

お金の要求も、増えました。額も増えたし、回数も増えました。商会に直接取りに来る事もあります。金庫を勝手に漁ってきた事もありました。

金庫は、実家と同じく泥棒用の金庫でしたので、被害はほぼありませんでした。少しの見せ金を取られただけです。帳簿も偽物を入れておきましたので、自分達が商会の利益のほとんどを吸い取っていると勘違いしていますから、満足しているでしょう。

今の利益は、全て自分達が使っている。わたくしが出産をすれば利益が減る。それはお義母様には恐怖以外の何者でもないようです。子はまだかと問われる代わりに、妊娠していないかを毎日確認されるようになりました。

月のものをチェックしようとするなんて……気持ち悪いです……。正直、子を産め攻撃よりも辛く、しばらくしたらストレスで月のものが止まりました。そしたら妊娠だと勘違いされて、お義母様から階段で突き落とされました。

死にはしない絶妙な箇所からでしたが……下手したら死にます。ローザ様が来るならわたくしが子を産むのは邪魔という事でしょう。なんて自分勝手なんでしょうか。

ですが、たいした怪我はしませんでした。……というか、どこも痛くありません。無傷だと思います。

階段から落ちた時に、何か柔らかいものに支えられた気がするのですが、手摺が破壊されて花瓶が壊れ、花びらが舞い散っていたのに怪我が無しなど何を言われるか分かりませんし、気絶したフリをしました。

ずいぶん待たされましたが、医師が来たので起きました。診察した医師は、すぐにお義母様に耳打ちをしました。すると、お義母様は意地悪そうにニヤリと笑ったのです。

そして、医師は絶望的な事を言いました。
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