初夜で白い結婚を宣言する男は夫ではなく敵です

編端みどり

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こぼれ話、その後など

こぼれ話 ニルは諦めない 3

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「ミモザは、3年後に離婚する。これは決定事項だ」

旦那様は、ミモザの件で自分の力の無さを痛感したと言って、ミモザの兄さんに爵位を譲った。

当主じゃなくなれば、時間もできて色々動けると言っていた。久しぶりにお会いした旦那様は、めちゃくちゃ怒っていた。

「こんな事なら、ニルが実績を上げるのを待たずにさっさと結婚させれば良かった」

旦那様は、必死で断ろうとしたらしい。持参金が無いとまで言ったのに、強引に結婚を決められてしまったそうだ。もっと爵位が上なら、せめて伯爵くらいまであれば、断れたのに……。そう言ってオレに謝ってくれた。

なんで、謝るんだ?

オレが勝手に頑張っただけで、こうなる可能性だって考えてた。そもそも身分違いなんだから、希望があったら全力で頑張るのも当たり前だし、ダメで元々だった。けど、旦那様が泣いてるのを見たら分からなくなってしまった。

身分ってなんだろう。旦那様は、オレの気持ちを知っててミモザの婚約を積極的には進めていなかったそうだ。けど、今のオレはまだ平民だし、婚約者には出来ない。

なのに、格上の侯爵家ってだけで、婚約期間もすっ飛ばして結婚できてしまう。

ミモザをいちばん大事にするのは、オレなのに。

話を聞いたら、ミモザの旦那は初夜で白い結婚だと言ったらしい。なんでそんな失礼な事出来るんだよ。ミモザを大事にするんじゃないなら、結婚なんてしないでくれよ。あと、ちょっとだったのに……。

でも、それならまだチャンスがあると思った。ミモザが離婚するのなら、その頃にはオレは叙爵されてる。結婚だって、申し込める。頼む、そのまま離婚してくれって思った。

狡いのは分かっていたけど、ミモザは旦那が好きではないらしいから、それならオレの方が良いって思った。

新しい旦那様と奥様も、ミモザを離婚させるつもりらしかった。

特に、奥様の怒りは凄まじかった。当主夫人になったんだから忙しい筈なのに、ミモザの商会に潜入してミモザのサポートをしていた。ヤベェ眠り針を大量に作って、ニコニコ笑いながらオレに渡してくれた。

奥様はいつも穏やかに笑う。やたらニコニコしてる時は、キレてる時だ。新当主になった旦那様達は暴れたり壊して構わない物を壊したりと、割とわかりやすく怒るが、奥様は怒りを溜めて確実にターゲットにぶつける。ヤバさを知ってるオレは身震いした。

眠り針なんて、そんな使わないって思ってたら、あの男はすぐミモザに手を出そうとした。だから、遠慮なく針を使った。副作用なんて知るかって思った。

ミモザを見守るのは、想像以上に辛かった。なんであんなに酷い目に遭うんだ。なんで、オレはミモザを助けられないんだ。鬱々としながら、全て旦那様に報告した。奥様は、ニコニコしながら怒っていた。

そのうち、子ができないからとミモザに媚薬を飲ませやがった。乱れたミモザは美しかったが、あの男が見ればすぐに襲われる。オレは必死で何かないかと荷物を漁るミモザの鞄に、密かに解毒薬を入れた。

幸い、すぐミモザは解毒薬に気がついて飲んでくれた。苦しんでる男にまで与えるなんて、ミモザは慈悲深い。それなのに、ミモザを殴るなんてあの男はクズだ。

なんとかミモザを助けたくて、爺さんから習った変装術を駆使して屋敷の使用人に化けるようになった。ミモザの机や荷物に花を置けば、ミモザはいつも嬉しそうに笑ってくれた。
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