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第十七話【アルベルト視点】
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「アルベルト、お前は何をやってるんだ」
父上が、見たことないくらい怒っている。兄上もため息をついている。どうしたというのだろう。僕は理想の相手と結婚したのに。
「何故、シルヴィア様を裏切るような真似をした」
「シルヴィアは、お固くつまらないです。何度も僕が優しくキスしてやろうとしてるのに、頑なに拒否する可愛げの無さです。頭だけは良いので使ってやっていましたが、卒業すればもう不要です。その点、サブリナは学園では生徒会長で将来は侯爵家の跡取りです! 伯爵家のシルヴィアよりも地位も高い。しかも、お姉様が王家に嫁ぐんですよ! 僕は王家と縁戚になれる。僕に相応しい相手と婚姻したと、褒めて頂くところでしょう? しかも、王太子殿下が婚姻の証人になってくださったんですよ!」
「何故王太子殿下が、お前の婚姻の証人になったと思う?」
「僕たちが熱い口付けをしたからでしょう!」
「そうだ。あのような常識外れ同士は、さっさと婚姻してしまえと言う事だ。王太子殿下が証人になった事で離縁は不可能になった。離縁すれば、王家の顔に泥を塗るからな。例えサブリナ嬢が平民に戻されても、お前は添い遂げるしかない」
常識外れだと? まったく父上もお固いな。シルヴィアもキスは結婚式までお預けだと言っていた。その点、サブリナは素晴らしいよ。僕が誘えばすぐキスをしてくれた。潤んだ瞳で初めてだと言っていてとても可愛かった。学園に在籍している生徒の中で、いちばん地位の高い侯爵家の跡取り。シルヴィアなんかより余程良い。
元は平民だが、彼女は生徒会長を務める優秀な女性。侯爵家の跡取りで決まりだ。僕は彼女の婿になり、侯爵家の人間になるんだ。
兄上は、僕が出世するのを嫉妬しているだけだろう。ありえないと教えてやらないと。
「サブリナが、平民に戻されるなどあり得ませんよ! サブリナは生徒会長も務めた、優秀な女性ですよ!」
「シルヴィア様が、アルベルトとサブリナ様の仕事を手伝っていたらしいな。お前も仕事を押し付けていた。本当か?」
「兄上……。少しは僕の仕事をシルヴィアが手伝ってくれましたが、それは婚約者として当然でしょう? 仕事のほとんどは僕がしていましたよ」
「そうか、では生徒会の書類を確認させてもらう。弟の字は分かるからね。明日学園に行く事にするよ」
……まずい、まずい、まずい!!!
シルヴィアが仕事を全部していた事がバレてしまう!
「兄上! それは学園にご迷惑になります!」
僕がそう言うと、兄上は冷たく笑った。
「ふぅん……そう。まぁ、王太子殿下が調査をするって言ってたからね。生徒会役員はアルベルトとサブリナ様、シルヴィア様だけだっただろう? 誰がどれだけ仕事をしていたのか、きっちり調査があるからシルヴィア様の言葉が正しいのか、アルベルトの言葉が正しいのか、すぐ分かるね」
「どちらにしても、シルヴィア様へ払う慰謝料は莫大だ。このままでは我が家は破産するぞ」
シルヴィアへ慰謝料? 何を言ってるんだ。慰謝料を貰えるのは僕だろう?
不思議そうにしている僕に、兄上は言った。
「アルベルト、書類の控えをよく見ろ。書類には、婚約時の契約に違反した者が慰謝料を支払う。いなければ、破棄を申し立てたシルヴィア様が規定の慰謝料を払うと書かれているだろ? 婚約時に浮気をしたら慰謝料を払うと取り決めた筈だよ。ダミラノ伯爵はシルヴィア様を溺愛してるからね。浮気の慰謝料はとても高額だ。婚約者以外の女性をエスコートして、熱い口付けを交わすのは、浮気にならないとアルベルトは思ってるのかな?」
……浮気に、なるな。
つまり、僕が有責になるのか?!
わざわざシルヴィアから破棄させようとした僕の努力は何だったんだ?!
父上が、見たことないくらい怒っている。兄上もため息をついている。どうしたというのだろう。僕は理想の相手と結婚したのに。
「何故、シルヴィア様を裏切るような真似をした」
「シルヴィアは、お固くつまらないです。何度も僕が優しくキスしてやろうとしてるのに、頑なに拒否する可愛げの無さです。頭だけは良いので使ってやっていましたが、卒業すればもう不要です。その点、サブリナは学園では生徒会長で将来は侯爵家の跡取りです! 伯爵家のシルヴィアよりも地位も高い。しかも、お姉様が王家に嫁ぐんですよ! 僕は王家と縁戚になれる。僕に相応しい相手と婚姻したと、褒めて頂くところでしょう? しかも、王太子殿下が婚姻の証人になってくださったんですよ!」
「何故王太子殿下が、お前の婚姻の証人になったと思う?」
「僕たちが熱い口付けをしたからでしょう!」
「そうだ。あのような常識外れ同士は、さっさと婚姻してしまえと言う事だ。王太子殿下が証人になった事で離縁は不可能になった。離縁すれば、王家の顔に泥を塗るからな。例えサブリナ嬢が平民に戻されても、お前は添い遂げるしかない」
常識外れだと? まったく父上もお固いな。シルヴィアもキスは結婚式までお預けだと言っていた。その点、サブリナは素晴らしいよ。僕が誘えばすぐキスをしてくれた。潤んだ瞳で初めてだと言っていてとても可愛かった。学園に在籍している生徒の中で、いちばん地位の高い侯爵家の跡取り。シルヴィアなんかより余程良い。
元は平民だが、彼女は生徒会長を務める優秀な女性。侯爵家の跡取りで決まりだ。僕は彼女の婿になり、侯爵家の人間になるんだ。
兄上は、僕が出世するのを嫉妬しているだけだろう。ありえないと教えてやらないと。
「サブリナが、平民に戻されるなどあり得ませんよ! サブリナは生徒会長も務めた、優秀な女性ですよ!」
「シルヴィア様が、アルベルトとサブリナ様の仕事を手伝っていたらしいな。お前も仕事を押し付けていた。本当か?」
「兄上……。少しは僕の仕事をシルヴィアが手伝ってくれましたが、それは婚約者として当然でしょう? 仕事のほとんどは僕がしていましたよ」
「そうか、では生徒会の書類を確認させてもらう。弟の字は分かるからね。明日学園に行く事にするよ」
……まずい、まずい、まずい!!!
シルヴィアが仕事を全部していた事がバレてしまう!
「兄上! それは学園にご迷惑になります!」
僕がそう言うと、兄上は冷たく笑った。
「ふぅん……そう。まぁ、王太子殿下が調査をするって言ってたからね。生徒会役員はアルベルトとサブリナ様、シルヴィア様だけだっただろう? 誰がどれだけ仕事をしていたのか、きっちり調査があるからシルヴィア様の言葉が正しいのか、アルベルトの言葉が正しいのか、すぐ分かるね」
「どちらにしても、シルヴィア様へ払う慰謝料は莫大だ。このままでは我が家は破産するぞ」
シルヴィアへ慰謝料? 何を言ってるんだ。慰謝料を貰えるのは僕だろう?
不思議そうにしている僕に、兄上は言った。
「アルベルト、書類の控えをよく見ろ。書類には、婚約時の契約に違反した者が慰謝料を支払う。いなければ、破棄を申し立てたシルヴィア様が規定の慰謝料を払うと書かれているだろ? 婚約時に浮気をしたら慰謝料を払うと取り決めた筈だよ。ダミラノ伯爵はシルヴィア様を溺愛してるからね。浮気の慰謝料はとても高額だ。婚約者以外の女性をエスコートして、熱い口付けを交わすのは、浮気にならないとアルベルトは思ってるのかな?」
……浮気に、なるな。
つまり、僕が有責になるのか?!
わざわざシルヴィアから破棄させようとした僕の努力は何だったんだ?!
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