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42.現れた刺客
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「クリス、やべえ」
「ど、どうしたの……?」
「さっきマリアさんから知らせが来たんだけど、匿ってた貴族達が勝手に家に帰ったらしい。多分だけど、アーテルさんが怪我で動けなくなったせいで影の統率が乱れてる。影はもうヒュー様の味方の方が多いと思う。よく考えたら、アーテルさんが大怪我なんておかしい。マリアさんが別の仕事の時だったらしいから、遠ざけられてたのかも。くっそ、これオレが生きてる事もバレてるな」
「じゃあ、身の回りに気をつけないとね。どうする? 依頼を受けて森に籠ってみる?」
「クリス……逞しくなったなぁ」
「ジルは私と一緒に居てくれるでしょ? それなら何も怖くないわ。それに、森の方が気配を察知しやすいし、便利な物も見つかると思う」
「確かにな。その線でいくか」
2人は荷物をまとめて、すぐに冒険者ギルドを訪れた。
「あの……こんなに討伐依頼を受けるんですか?」
「ああ。せっかくゴールドになったから少し頑張ろうと思ってな。何か問題があるか?」
「いいえ、ありがたいです。どれも期限はありませんからたくさん受けて頂いて構わないのですけど……あの、これって数ヶ月は森に籠る事になりません? そんなに無理しなくて良いんですよ?」
「達成するまで戻らないつもりですけど……まずいですか?」
「いえ、そんな事はありません。でも、最近よく連絡されていたマリアさんとのやりとりは良いのかな……と気になりまして」
「知らせを届けておくよ。だから、受けて構わないか?」
「分かりました。ありがとうございます。頑張って下さいね」
それから2ヵ月ほどは、平和な日々だった。2人は討伐依頼を全て達成して、さらに新しい依頼を受け、それも達成した。
冒険者ギルドで報告をしてから、今後の話し合いをしていた2人の元に重い殺気がぶつかる。
ジルは耐えたが、クリステルはガタガタと震えて立っているのがやっとの状態だ。他の冒険者は直接殺気を当てられたわけでないが、初心者冒険者は逃げ出し始めた。残った冒険者は、シルバーランク以上のベテランばかり。冒険者達は突然の訪問者に訝しげな視線を向けている。
「やぁっと……見つけた……」
現れた男は顔に包帯を巻いており、周りに殺気を振り撒いている。
「おい! コイツは一般人じゃねえ! 戦う事を許可しろ! でねぇとここを破壊されるぞ!!!」
「ええ! そんな事言われても! 支部長ぉ! 助けて下さい!!!」
「勘弁しろよ。オメェ誰だよ。うちの冒険者になんか用か?」
「こんにちは。ジルの兄のマークと申します。弟が連れて行った女性に用があるんですよ。彼女を引き渡して頂けますか?」
「クリスか……そりゃ困るぜ。彼女はうちの有望株なんだ」
「じゃあ貴方も敵だ」
そう言って、男は支部長にナイフを投げつけた。だが、そのナイフはジルが弾き飛ばした。
「あっれえー、ジルってば、なにしてくれちゃってんの?」
「支部長! コイツへの攻撃許可を寄越せ!!!」
「許可する! 冒険者に告ぐ! 全員でこの男を止めろ! 生死は問わん! 先に殺そうとしたのはあっちだ!!!」
「「「うぉー!!!」」」
「うっわあ、めんどくさいなぁ……」
「ちょっと待て! コイツはオレより強い! 腕に覚えがある奴以外逃げろっ!!!」
「「「うぎゃあああ……!!!」」」
「おい、全員逃げたじゃねぇかよ!」
「支部長も逃げるか?」
「舐めんな。支部を放っておけるか!!!」
「ふふっ……スッキリしたねぇ。さぁ姫君……さっさと殺されてくれる? でないとヒューが怖くて眠れないんだって。貴方が素直に殺されてくれるなら、ジルと支部長は見逃してあげるよ?」
「……分かったわ……」
マークからの殺気がなくなった事で、動けるようになったクリステルは、ゆっくりとマークに近づいていく。
「ふふっ、いい子だね。さぁ、こっちにおいで?」
「クリス! やめろ!!!」
「良いの。愛してるわ、ジル。ねえ、マークさんだったかしら? 死ぬ前に聞かせて。なんでここが分かったの?」
「影は殆どヒューが掌握しているからね。邪魔だったアーテルは死にかけてるし、マリアの動きを監視したんだ」
「じゃあ、影はみんなお兄様の味方なの?」
「殆ど……かな。影を全員把握しているわけではないからね」
「お父様はご無事?」
「素直にヒューに爵位を譲るなら無事だと思うよ」
「……そう……つまり無事ではないのね……」
「勘がいいねぇ。だけど、君のその賢さがヒューの邪魔をするんだよ」
「本当にわたくしが死んだら他の人には手を出さない?」
「もちろん」
「分かったわ」
「コイツがそんな約束守る訳ねえだろ!!!」
「だって、この人はジルより強いんでしょう? 殺気を浴びて分かった。勝てないわ。なら、せめてジルが助かる可能性が高い方が良いもの」
そう言って、クリステルはマークの側に行った。
「賢いね。やっぱり君は邪魔だ」
不気味に笑うマークがナイフを取り出した瞬間、血の匂いが辺りに広がった。
「ど、どうしたの……?」
「さっきマリアさんから知らせが来たんだけど、匿ってた貴族達が勝手に家に帰ったらしい。多分だけど、アーテルさんが怪我で動けなくなったせいで影の統率が乱れてる。影はもうヒュー様の味方の方が多いと思う。よく考えたら、アーテルさんが大怪我なんておかしい。マリアさんが別の仕事の時だったらしいから、遠ざけられてたのかも。くっそ、これオレが生きてる事もバレてるな」
「じゃあ、身の回りに気をつけないとね。どうする? 依頼を受けて森に籠ってみる?」
「クリス……逞しくなったなぁ」
「ジルは私と一緒に居てくれるでしょ? それなら何も怖くないわ。それに、森の方が気配を察知しやすいし、便利な物も見つかると思う」
「確かにな。その線でいくか」
2人は荷物をまとめて、すぐに冒険者ギルドを訪れた。
「あの……こんなに討伐依頼を受けるんですか?」
「ああ。せっかくゴールドになったから少し頑張ろうと思ってな。何か問題があるか?」
「いいえ、ありがたいです。どれも期限はありませんからたくさん受けて頂いて構わないのですけど……あの、これって数ヶ月は森に籠る事になりません? そんなに無理しなくて良いんですよ?」
「達成するまで戻らないつもりですけど……まずいですか?」
「いえ、そんな事はありません。でも、最近よく連絡されていたマリアさんとのやりとりは良いのかな……と気になりまして」
「知らせを届けておくよ。だから、受けて構わないか?」
「分かりました。ありがとうございます。頑張って下さいね」
それから2ヵ月ほどは、平和な日々だった。2人は討伐依頼を全て達成して、さらに新しい依頼を受け、それも達成した。
冒険者ギルドで報告をしてから、今後の話し合いをしていた2人の元に重い殺気がぶつかる。
ジルは耐えたが、クリステルはガタガタと震えて立っているのがやっとの状態だ。他の冒険者は直接殺気を当てられたわけでないが、初心者冒険者は逃げ出し始めた。残った冒険者は、シルバーランク以上のベテランばかり。冒険者達は突然の訪問者に訝しげな視線を向けている。
「やぁっと……見つけた……」
現れた男は顔に包帯を巻いており、周りに殺気を振り撒いている。
「おい! コイツは一般人じゃねえ! 戦う事を許可しろ! でねぇとここを破壊されるぞ!!!」
「ええ! そんな事言われても! 支部長ぉ! 助けて下さい!!!」
「勘弁しろよ。オメェ誰だよ。うちの冒険者になんか用か?」
「こんにちは。ジルの兄のマークと申します。弟が連れて行った女性に用があるんですよ。彼女を引き渡して頂けますか?」
「クリスか……そりゃ困るぜ。彼女はうちの有望株なんだ」
「じゃあ貴方も敵だ」
そう言って、男は支部長にナイフを投げつけた。だが、そのナイフはジルが弾き飛ばした。
「あっれえー、ジルってば、なにしてくれちゃってんの?」
「支部長! コイツへの攻撃許可を寄越せ!!!」
「許可する! 冒険者に告ぐ! 全員でこの男を止めろ! 生死は問わん! 先に殺そうとしたのはあっちだ!!!」
「「「うぉー!!!」」」
「うっわあ、めんどくさいなぁ……」
「ちょっと待て! コイツはオレより強い! 腕に覚えがある奴以外逃げろっ!!!」
「「「うぎゃあああ……!!!」」」
「おい、全員逃げたじゃねぇかよ!」
「支部長も逃げるか?」
「舐めんな。支部を放っておけるか!!!」
「ふふっ……スッキリしたねぇ。さぁ姫君……さっさと殺されてくれる? でないとヒューが怖くて眠れないんだって。貴方が素直に殺されてくれるなら、ジルと支部長は見逃してあげるよ?」
「……分かったわ……」
マークからの殺気がなくなった事で、動けるようになったクリステルは、ゆっくりとマークに近づいていく。
「ふふっ、いい子だね。さぁ、こっちにおいで?」
「クリス! やめろ!!!」
「良いの。愛してるわ、ジル。ねえ、マークさんだったかしら? 死ぬ前に聞かせて。なんでここが分かったの?」
「影は殆どヒューが掌握しているからね。邪魔だったアーテルは死にかけてるし、マリアの動きを監視したんだ」
「じゃあ、影はみんなお兄様の味方なの?」
「殆ど……かな。影を全員把握しているわけではないからね」
「お父様はご無事?」
「素直にヒューに爵位を譲るなら無事だと思うよ」
「……そう……つまり無事ではないのね……」
「勘がいいねぇ。だけど、君のその賢さがヒューの邪魔をするんだよ」
「本当にわたくしが死んだら他の人には手を出さない?」
「もちろん」
「分かったわ」
「コイツがそんな約束守る訳ねえだろ!!!」
「だって、この人はジルより強いんでしょう? 殺気を浴びて分かった。勝てないわ。なら、せめてジルが助かる可能性が高い方が良いもの」
そう言って、クリステルはマークの側に行った。
「賢いね。やっぱり君は邪魔だ」
不気味に笑うマークがナイフを取り出した瞬間、血の匂いが辺りに広がった。
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