お姉様優先な我が家は、このままでは破産です

編端みどり

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辺境伯夫人は頑張ります

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「はぁ……フレッドが居ないだけでこんなに寂しいなんて……」

フレッドと結婚して色々な事があったけど、最近は周りにも認められて、わたくし達は平穏な日々を送っていた。

つい、1ヶ月前までは。

隣国と小競り合いが起き、フレッドは国境を守る為に前線に立っている。私達も、民と領地を守る為に必死で働いた。

起きている間は常に気を張っていたし、お義母様と一緒に必死で情報収集や指示をしていた。睡眠もソファなどで仮眠を取るだけ。だから、フレッドの居ない寂しさを考えなくてよかった。

家族は心配してゆっくり寝るように言ってくれたけど、みんな同じくらい寝ていないし、休んでいない。わたくしだけゆっくりベッドで休む気にはなれなかった。

どうにか平和条約が結ばれたのが昨日。もう、侵略を心配しなくて良い。我が国の損害は少なく、フレッドは大きな怪我もなく帰って来る予定だ。

だが、帰って来るまでには1週間はかかる。

「……会いたい……な」

1ヶ月ぶりに夫婦の寝室に入って驚いた。埃一つなく整えられている。あんなに過酷な状況だったのに、侍女達は寝室を整え続けてくれていたのだと思うと嬉しかった。

「フレッド……」

ベッドに横たわり愛しい夫の名を呼ぶ。

せめて声を聞きたい。だけど、情報漏洩を防ぐ為にこの屋敷は全ての魔法が無効になるように設計されている。当然、通信魔法も出来ない。

連絡は、ゲートのある別棟で行う。
平和な時は、別棟でエリザベスとおしゃべりしたりもしていたんだけど、今は非常時。

別棟は、屋敷よりたくさんの人が出入りする。万が一領内にスパイが潜んでいた場合わたくしは確実に狙われる。わたくしがフレッドの弱点であると誰もが知っているし、お義母様のように身も守る術もない。

だから、わたくしは安全な場所にしか行かない。本当なら、今すぐフレッドの所へ行きたいし、せめて魔法で声が聞きたい。だけど、それは許されない。

だってフレッドはみんなのリーダー。兵士は魔法が使えない者も多い。部下が家族と話す事を我慢しているのに、上司であるフレッドがわたくしと話していたら士気に関わる。

フレッドはそう言って、出かける前に何度もわたくしを抱き締めてくれた。話せないけど、ずっとわたくしの事を想っていると。それなのに、わたくしは寂しくて泣いてしまった。辺境伯であるフレッドと結婚したのだから、こんな事があると覚悟しておかないといけなかったのに。

なんとか涙を止めて、みんなの前ではしっかりとフレッドを見送る事ができた。

だけど……どうしようもなく寂しい。

「駄目よ。しっかりしないと。わたくしは辺境伯夫人なのだから」

そう呟いてみても、どうしても心は晴れなかった。

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