お姉様優先な我が家は、このままでは破産です

編端みどり

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辺境伯夫人は頑張ります

13

「奥様、ご来客です」

「そう、どなた?」

「王太子殿下です」

「フレッドではなく、わたくしに御用なの?」

「はい。旦那様はご不在だとお伝えしましたが奥様を出せと仰っておられます」

「分かったわ。準備をしたらすぐに行きますとお伝えして」

本当にフレッドの予想通りになったわ。

あれから1週間。エリザベスとも通信魔法で話したけど、わたくしを相談役には絶対しないと言ってた。わたくしが望んでも拒否すると国王陛下に伝えてあるそうだ。王妃様もエリザベスに賛成して下さっている。なのに、王太子殿下だけはわたくしをエリザベスに付けるべきだと頑ななのだそうだ。

エリザベスがフレッドの重要性を説いても、聞いて頂けないらしい。

「まるで別人になってしまわれたようなの。話が通じなくて……」

そう言って泣いていた。おかしい、そう思ってエリザベスとの通信が終わってフレッドに報告したら、難しい顔をしてカールと出かけてしまったわ。

確かに、王太子殿下はきちんと周りの話を聞くお方だった。意志が強い方ではあるけど、この状況で国王陛下の話も聞かないなんておかしい。

まるで、何かに操られているようだ。

想像して、ゾッとした。

精神に作用する魔法は、失われている。大昔は魅了魔法などの精神に作用する魔法があって大変だったと歴史で習った。禁止されてから使える者が居なくなり、廃れていったそうだ。

……だけど、廃れた筈の魔法を知る者が居たら?

あのエリザベスが、泣くくらい王太子殿下のご様子はおかしい。だけど、理由が分からない。何か、証拠を集めなくては……。

わたくしは、覚悟を決めて懐と髪の毛の中に記録玉を忍ばせた。屋敷では、記録玉も使えない。だけど、録画魔法を起動しておけば記録できる場所に移動した時自動的に録画される。

もし、王太子殿下が正常な状態なら、
わたくしの行為は不敬罪。だけど、エリザベスの為にわたくしが出来る事はこれくらいしかない。それに、辺境伯の仕事は辺境の領地で起きた他国の脅威から国を守る事。

フレッドから贈られたネックレスとブレスレット、指輪、アンクレットを付けて、服の中と結い上げてある髪の中にも同じ効果のある数個のアクセサリーを隠す。

フレッドから、外出する時はどれかを付けるように言われている。魔道具になっているから、居場所が分かるそうだ。

「フレッド、ごめんなさい。絶対に屋敷を出ないと約束したけど……守れないかもしれないわ」

フレッドはこうなる事を予想していたのだろう。
いつもは仕舞われているアクセサリーが、全てベットサイドに置いてある。わたくしが身支度をする時に必ずここにアクセサリーを置く事を知っているからだ。

先生の教え、その10。夫となる人が、心から尊敬できる人である場合は、どんな困難でも乗り越えていけるだろう。

先生の教えは正しかった。

以前なら怖くて逃げていたと思う。だけど、わたくしはフレッドの妻でエリザベスの親友。

先生の教え、その7。逃げることは悪い事ではない。戦略的撤退が出来ないものは状況判断ができない無能だ。

……だけど、戦略さえ立てていれば逃げなくて良い。

わたくしは手早く準備を済ませて、応接室へ向かった。

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