41 / 74
第一章
38.挨拶に行きました
しおりを挟む
ダン親方は、ミクタから徒歩で1週間ほどかかるイェンという街にいる。ロッドさんのお店や、リタさんが居る街、マニチから3日程で行ける。
「イェンなら、ナビ埋めてるからすぐ転移できるよ」
「そうなんですか? いつの間に行ったんですか?」
「護衛依頼で行った街は全部ナビ埋めてあるよ。マイスが作ってくれた箱で管理できるから助かるよ」
ギルドに売ったあの箱は僕ら用にも作った。箱に新しいナビと、もう連携してるナビの居場所が分かる地図を同時に入れたら、もともとある地図にナビを連携できる。ギルドでも大絶賛された機能だ。後から助っ人とかが行く時便利なんだって。
実際それでいくつかのパーティーが危機を脱したらしい。
そんな事を聞くと、作って良かったと思う。やっぱり道具は使われてこそだよね。
ナビ同士を連携するには同時にくっつけるしかないんだけど、箱と地図を使えば離れていても後から追加で連携できるから、うちではアオイさんの転移ポイントの管理に使っている。本当は転移ポイントってよく知ってる数ヵ所しか設定出来ないらしいんだけど、ナビを使えば場所が認識出来るからいくらでも転移ポイントが増やせるんだって。ただ、この事はまだギルドにも言ってない。そのうち気がつく魔法使いの方が出るまで言わないそうだ。
「面倒な事になるのは嫌なのよね。発見されても、私の魔法だと厳しいかもって知らん顔するつもり。いっぱい使える人が出たら言うかもだけど。売ろうと思ってた転移の魔道具はカムフラージュの為に残しておくことにしたの」
確かにそうだね。アオイさん達に来る仕事、多いもん。これであちこちの街に行けるって分かったらもっと指名依頼来ちゃうし、そのうち面倒な人が目をつけたりしそう。それはダメだ!
「さ、じゃあ行ってみよう。カナがケーキ焼いたけど、ダン親方は甘いものが好きで良いんだよね?」
「はい、趣味が変わってなければケーキは大好物の筈ですよ」
用意した籠から甘い香りが漂ってくる。料理は覚えたけど、お菓子はまだ作れないんだよね。今度カナさんに教えて貰おう。
親方は、だいぶ年だから息子さんの家に厄介になると言ってたけど、本当は僕の事を抗議してミクタから追い出されたんだよね。
まず、それを謝らなきゃ。緊張するなぁ……。2年は会えないと思ってたから、こんなに早く会えると思わなかった。
「えっと、教えて貰った住所はここのはずです」
「よし、じゃあ訪ねてみよう」
「こんにちわー! ダンさん居ますかー?」
「んー? 誰だぁ?」
「お久しぶりです。マイスです」
「……マイス?」
「はい!」
「マイス! オメェ無事だったか! 良かった! 良かった……」
「無事?! え、僕はずっと元気でしたよ」
「ミクタからマイスは何処だって問い合わせが100回以上来たんだ。俺のとこに居ないかってな」
「え?! なんで?」
「オメェ、家にも居ねえし、街を出た形跡も無いしで、何処行ったか分からねえって……」
「あ」
「あ、じゃないわよ。どういうこと?」
「僕が、街を出た時って門番さん居なかったです。街出る時って記帳しますよね? 冊子はあったけど、僕は何も書かず出てきちゃいました……」
あの時は、落ち込んで落ち込んで、そんな事考える余裕なかったけど、よく考えたら門番さん居なくても街を出る時は記帳するルールだった。
わ、忘れてたぁぁぁ……!!!
「マイス、その凹みっぷりを見るに、完全に忘れてたね」
「はい……心配かけてすいませんでした……」
「なぁに、無事なら良いんだ! で、俺のとこ来たって事は、オメェはもう一人前なのか?」
「イェンなら、ナビ埋めてるからすぐ転移できるよ」
「そうなんですか? いつの間に行ったんですか?」
「護衛依頼で行った街は全部ナビ埋めてあるよ。マイスが作ってくれた箱で管理できるから助かるよ」
ギルドに売ったあの箱は僕ら用にも作った。箱に新しいナビと、もう連携してるナビの居場所が分かる地図を同時に入れたら、もともとある地図にナビを連携できる。ギルドでも大絶賛された機能だ。後から助っ人とかが行く時便利なんだって。
実際それでいくつかのパーティーが危機を脱したらしい。
そんな事を聞くと、作って良かったと思う。やっぱり道具は使われてこそだよね。
ナビ同士を連携するには同時にくっつけるしかないんだけど、箱と地図を使えば離れていても後から追加で連携できるから、うちではアオイさんの転移ポイントの管理に使っている。本当は転移ポイントってよく知ってる数ヵ所しか設定出来ないらしいんだけど、ナビを使えば場所が認識出来るからいくらでも転移ポイントが増やせるんだって。ただ、この事はまだギルドにも言ってない。そのうち気がつく魔法使いの方が出るまで言わないそうだ。
「面倒な事になるのは嫌なのよね。発見されても、私の魔法だと厳しいかもって知らん顔するつもり。いっぱい使える人が出たら言うかもだけど。売ろうと思ってた転移の魔道具はカムフラージュの為に残しておくことにしたの」
確かにそうだね。アオイさん達に来る仕事、多いもん。これであちこちの街に行けるって分かったらもっと指名依頼来ちゃうし、そのうち面倒な人が目をつけたりしそう。それはダメだ!
「さ、じゃあ行ってみよう。カナがケーキ焼いたけど、ダン親方は甘いものが好きで良いんだよね?」
「はい、趣味が変わってなければケーキは大好物の筈ですよ」
用意した籠から甘い香りが漂ってくる。料理は覚えたけど、お菓子はまだ作れないんだよね。今度カナさんに教えて貰おう。
親方は、だいぶ年だから息子さんの家に厄介になると言ってたけど、本当は僕の事を抗議してミクタから追い出されたんだよね。
まず、それを謝らなきゃ。緊張するなぁ……。2年は会えないと思ってたから、こんなに早く会えると思わなかった。
「えっと、教えて貰った住所はここのはずです」
「よし、じゃあ訪ねてみよう」
「こんにちわー! ダンさん居ますかー?」
「んー? 誰だぁ?」
「お久しぶりです。マイスです」
「……マイス?」
「はい!」
「マイス! オメェ無事だったか! 良かった! 良かった……」
「無事?! え、僕はずっと元気でしたよ」
「ミクタからマイスは何処だって問い合わせが100回以上来たんだ。俺のとこに居ないかってな」
「え?! なんで?」
「オメェ、家にも居ねえし、街を出た形跡も無いしで、何処行ったか分からねえって……」
「あ」
「あ、じゃないわよ。どういうこと?」
「僕が、街を出た時って門番さん居なかったです。街出る時って記帳しますよね? 冊子はあったけど、僕は何も書かず出てきちゃいました……」
あの時は、落ち込んで落ち込んで、そんな事考える余裕なかったけど、よく考えたら門番さん居なくても街を出る時は記帳するルールだった。
わ、忘れてたぁぁぁ……!!!
「マイス、その凹みっぷりを見るに、完全に忘れてたね」
「はい……心配かけてすいませんでした……」
「なぁに、無事なら良いんだ! で、俺のとこ来たって事は、オメェはもう一人前なのか?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
305
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる