気弱ドワーフと転生エルフの産業革命

編端みどり

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第二章

5.謝罪中

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急いで冒険者ギルドに行ったら、マリカさんが僕を見てちょっと怯えていた。

「マイスさん? 今日はよく会いますね。ど、どうされました?」

ぎこちない笑顔のマリカさんにまずは謝罪をする。

「先程は、騒ぎを起こして申し訳ありませんでした。これ、お詫びに良かったら……」

「わあ! マイスさんのケーキ、美味しいですよね! 私、大好きなんです! ありがとうございます♪」

マリカさんはご機嫌だ。良かった、怒ってないみたい。あれ? さっきの人達が見当たらない。

「あの……マリカさん、さっきの方達は……?」

そう言った途端に、マリカさんは慌てて言った。

「うちの所属の冒険者が失礼しました! 今はギルドの救護室に居ます。回復したら、すぐに除名します。だから、もう納品しないなんて言わないで下さい」

「待って! 待って下さい! なんで除名?!」

「ギルドのルールを守らなかったんだから当然です。ギルド内で揉め事禁止、マイスさんへの手出しも禁止。両方破った上に、戦いが得意ではないと仰っていたマイスさんにあっさりやられる体たらく。冒険者失格です」

マリカさんは、冷たく言ってるけど……これ、僕も悪いよね?!

「待ってください! 僕が何にも説明せずに大量に高価なポーションを買ったからいけないんです。実は、アオイさんが大怪我してて……」

「え?! 大丈夫なんですか?」

「はい、もう大丈夫です。1本で良いって言われてたんですけど、足りなかったらと思うと不安で、買えるって言われた本数買ってしまえと思ってしまって。あの時の僕は、完全に冷静さを失ってました。だからあんな目立つ事して注目を集めてしまいました。申し訳ありません。事情を言えば、絡んでくる人なんて居なかった筈です。いきなり金貨1000枚も見たら、金欠なら腹も立って絡みたくなりますよ。しかも、冒険者でもない僕が大量購入してますからね。それに、椅子で殴られた時は手加減されてました。僕の怪我は大した事ないです。でも、僕は手加減なんてしませんでした。なにも言わず去ろうとした僕も悪いんです。ペナルティがあるなら、僕も受けます。だから、お願いです、除名は待ってください。納品も今まで通り行いますから」

「それは、私だけでは決められません。でも、マイスさんのお話は分かりました。なんであんなに怒ってたのかも、理解しました」

「え? 僕、怒ってました?」

「はい、とてもお怒りのご様子でした。だから、除名が決定しました。厳しすぎるとの意見も出ましたが、素行も悪かったし、2度もマイスさんを怒らせる訳にはいかないので。マイスさんが作る物が納品されなくなるだけでなく、アオイさん達も居なくなるかもしれない。それは、避けないといけないだろうと」

そうか、僕が怒るって事はアオイさん達の怒りを買うって事になるんだ。

「ご、ごめんなさい! 僕は怒ってないです! むしろ悪いのは僕です! お願いします! 許して下さい! ケーキ、もうひとついかがですか?」

必死でケーキを渡すと、マリカさんはみるみる笑顔になった。ギルド長の分も、渡してみたらガッツポーズされた。これ、ちゃんとギルド長に渡る?

「ギルド長にかけあってきますね! 除名はマイスさんが望んでないなら、取り消せるでしょう。まだ、除名してませんし。除名した後なら、もう取り消せませんけど」

ひぇえ! のんびりケーキ焼いてる場合じゃなかった!
でも、このケーキのおかげで、マリカさんは僕の味方になってくれたんだよね。ケーキ焼くのと焼かないの、どっちが良かったんだろう?
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