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第二章
10.魔道具を作ろう
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「マイス、楽しそうだね。今日はおやすみなのに、どれだけ作るの好きなの?」
誤解が解けた僕は、ロッドさんのお店で買い物中だ。レナさんの魔道具を作るには、透明トンボの羽が要るんだけど……うわっ、金貨50枚だって。まぁ、来週には魔道具協会からお金が入るし、早く作りたいから買っちゃおう。製品化するとなると、建物の中に入るとみんなから認識されるようにしなきゃいけないから、虹色カメムシも要る。こっちは金貨5枚だからお手頃だ。昔はこんなの手が出なかったのにポンと買えるのは嬉しい。これだけあれば、試作品とレナさんにあげる分と、魔道具協会へ渡す分は作れるな。
あー……でもさすがにもう買えないな。防護の魔道具は、今ある材料でなんとか改良してみよう。
「みなさんの冒険で役に立つと思うといっぱい作りたくなるんですよね。それに、ここの品が良すぎて楽しくなるんです。ほとんど趣味ですね」
貯金がだいぶ減ったからあんまり買えないんだけど、ロッドさんのお店の品はやっぱり一流だ。ダン親方を連れて来た時は大興奮してたもんな。今では親方もお得意様らしい。
「マイスの魔道具を貰うようになってからはびっくりするくらい怪我しないよ。だから、私達もちょっと油断してたのかも。あの時もうちょっと冷静にマイスに通信してたら、あんなにポーション買わなくて良かったのにね」
「いやー、結局焦って同じ事してた気がしますよ。まぁ、あんな事しなければ絡まれなかったんでしょうけど」
「あの人達、結構乱暴でマリカさんも手を焼いてたから大人しくなって結果オーライだよ」
オーライって何だろう? よく分からないけど、良かったねって意味かな?
「アオイさんのピンチだって言えば絡まなかって言ってたから、そんな人達とは思いませんでした」
「あー……アオイやカナは他の冒険者達と上手くやってるからね。あたしは冒険者に男が多いから無理なんだ。いつも迷惑かけてるなって思うよ」
そう言ってレナさんがまた寂しそうな顔で目を逸らした。
「レナさんの斥候の腕は一流です。アオイさんにもカナさんにもレナさんの代わりは出来ません。僕だって戦う力はありませんけど、こうやって物を作ってみなさんを助けられます。なんでもひとりで出来る人なんて居ませんし、無理して他の冒険者とうまくやる必要なんてありませんよ」
「マイス……だってあたし、ひとりで街歩きもあんまり出来ないし……マイスにも迷惑かけてるし……」
え?! なんでレナさん泣きそうなの?
やっぱりひとりで街歩き出来ないの気にしてたんだ! あーもう! もっと早く気が付けば良かったよ!
「大丈夫です! ちゃんとレナさんがひとりで街歩き出来るようにしますから!!!」
そう言って魔道具の話をした途端、レナさんは耳を立てて尻尾を振りながら嬉しそうに笑った。本当は出来てから話したかったけど、レナさんが嬉しそうにしてるから良しとしよう。絶対すぐ完成させなきゃ。
すぐ帰って作ろうとしたら、僕らの話を聞いていたロッドさんが僕が魔道具を作るところを見たいと言い出して裏の作業場を貸してくれた。
道具は持ち歩いているから出来るけど、他人の作業場ってなんだかやりにくい。やりにくいのは、作業場だけが理由じゃないけど。
なぜかレナさんが店番をしてお客さんが来たらロッドさんを呼ぶ事になりキラキラした目をしたロッドさんが見つめる中、魔道具を作る事になってしまったのだ。ロッドさんは、僕の作業をうっとりと眺めている。なんだかちょっと怖い。
「マイスさん、作業が凄く手早いですね。ああ、そんな細かい作業も正確に出来るなんて素晴らしい。僕の素材がこんな風に生まれ変わるなんて、マイスさんに買って頂いて嬉しいです」
「ロッドさん、そんなに近くで見てたら危ないですよ。それにしても、レナさんがあんなに悩んでるなんて……もっと早く魔道具を思いつけば良かったです」
「マイスさんはどうやって魔道具のアイデアを出しているんですか?」
「大抵はアオイさん達が欲しい物を教えてくれるので、それで出来そうな形を考えてますね。あとは、今回みたいに人が困ってそうだなとか、僕が不便だなって思う事を解決する方法を考えて魔道具を作る感じです」
「なるほど、マイスさんの優しい人柄が魔道具に現れてるのはそういった理由なんですね」
僕、優しいかなあ?
みんなにもよく言われるけど、自分が優しいとは思わない。確かにアオイさん達に雇われてからは気持ちも安定して滅多に怒る事はなくなった気がするけど、それは美味しいご飯や優しい雇用主のおかげだと思う。お腹が美味しいもので満たされて、周りも優しかったら怒る理由なんてないもんね。
ダン親方のところに居る時もご飯貰えてたし穏やかに働く事が出来ていた。けど、その前はいつもお腹が空いてイライラしていたし仕事中は我慢したけど家に帰ったらひとりでブツブツ文句を言っていた。仕事中に態度が悪いとすぐ給料減らされてたから、仕事中だけは必死で我慢していたけど、あの頃は心が安定してなかったなぁ。やっぱり僕は優しくないね。
「僕は優しくないですよ。優しく見えるならアオイさん達が優しいおかげだと思いますよ」
そう言うとロッドさんは綺麗な顔でとっても優しい笑顔を見せてくれた。うーん、同性の僕でも見惚れる美しさだなぁ。ロッドさんはエルフだから美男子だ。エルフは寿命も長いし、僕らが寿命で死んだ後もアオイさんは長生きするからちょっと心配している。
でも、ロッドさんみたいに、同じ種族の人が居るのは心強い。冒険者をやるエルフも珍しくないらしいから、そのうちアオイさん達にエルフの友人が出来ると良いなぁ。
「さ、出来ました」
「早いですね?!」
「元々、似た仕組みの魔道具をダン親方の所で作った事がありましたからね。ちょっとアレンジするだけなら簡単です。これは、屋外など誰でも行ける場所限定で装着者が認めた者以外は、装着者が話しかけるまで認識されません。こっちのメガネは、それを見破る魔道具です」
「なるほど、見破る魔道具も作ったんですね」
「でないと、売り物になりませんからね。透明化の魔道具も売られてますから大丈夫だとは思いますけど、これは審査が厳しそうですから」
「確かにそうですね。街中だけとはいえ、認識されなくなれば悪用可能ですからね。販売の許可は厳しいでしょうし、価格も高価なものになるでしょうね」
「透明トンボの羽が金貨50枚ですからね。なかなか手が出る人は居ないでしょう」
「貴族が室内でも使えるようにしろなんて言って来ませんかね?」
「断固拒否しますよ。それは作れないってね。そっか、そんな危険があるなら作り方を公表するのはやめた方が良さそうですね。協会長に相談しましょう」
「本当にマイスさんは職人の鑑ですね」
誤解が解けた僕は、ロッドさんのお店で買い物中だ。レナさんの魔道具を作るには、透明トンボの羽が要るんだけど……うわっ、金貨50枚だって。まぁ、来週には魔道具協会からお金が入るし、早く作りたいから買っちゃおう。製品化するとなると、建物の中に入るとみんなから認識されるようにしなきゃいけないから、虹色カメムシも要る。こっちは金貨5枚だからお手頃だ。昔はこんなの手が出なかったのにポンと買えるのは嬉しい。これだけあれば、試作品とレナさんにあげる分と、魔道具協会へ渡す分は作れるな。
あー……でもさすがにもう買えないな。防護の魔道具は、今ある材料でなんとか改良してみよう。
「みなさんの冒険で役に立つと思うといっぱい作りたくなるんですよね。それに、ここの品が良すぎて楽しくなるんです。ほとんど趣味ですね」
貯金がだいぶ減ったからあんまり買えないんだけど、ロッドさんのお店の品はやっぱり一流だ。ダン親方を連れて来た時は大興奮してたもんな。今では親方もお得意様らしい。
「マイスの魔道具を貰うようになってからはびっくりするくらい怪我しないよ。だから、私達もちょっと油断してたのかも。あの時もうちょっと冷静にマイスに通信してたら、あんなにポーション買わなくて良かったのにね」
「いやー、結局焦って同じ事してた気がしますよ。まぁ、あんな事しなければ絡まれなかったんでしょうけど」
「あの人達、結構乱暴でマリカさんも手を焼いてたから大人しくなって結果オーライだよ」
オーライって何だろう? よく分からないけど、良かったねって意味かな?
「アオイさんのピンチだって言えば絡まなかって言ってたから、そんな人達とは思いませんでした」
「あー……アオイやカナは他の冒険者達と上手くやってるからね。あたしは冒険者に男が多いから無理なんだ。いつも迷惑かけてるなって思うよ」
そう言ってレナさんがまた寂しそうな顔で目を逸らした。
「レナさんの斥候の腕は一流です。アオイさんにもカナさんにもレナさんの代わりは出来ません。僕だって戦う力はありませんけど、こうやって物を作ってみなさんを助けられます。なんでもひとりで出来る人なんて居ませんし、無理して他の冒険者とうまくやる必要なんてありませんよ」
「マイス……だってあたし、ひとりで街歩きもあんまり出来ないし……マイスにも迷惑かけてるし……」
え?! なんでレナさん泣きそうなの?
やっぱりひとりで街歩き出来ないの気にしてたんだ! あーもう! もっと早く気が付けば良かったよ!
「大丈夫です! ちゃんとレナさんがひとりで街歩き出来るようにしますから!!!」
そう言って魔道具の話をした途端、レナさんは耳を立てて尻尾を振りながら嬉しそうに笑った。本当は出来てから話したかったけど、レナさんが嬉しそうにしてるから良しとしよう。絶対すぐ完成させなきゃ。
すぐ帰って作ろうとしたら、僕らの話を聞いていたロッドさんが僕が魔道具を作るところを見たいと言い出して裏の作業場を貸してくれた。
道具は持ち歩いているから出来るけど、他人の作業場ってなんだかやりにくい。やりにくいのは、作業場だけが理由じゃないけど。
なぜかレナさんが店番をしてお客さんが来たらロッドさんを呼ぶ事になりキラキラした目をしたロッドさんが見つめる中、魔道具を作る事になってしまったのだ。ロッドさんは、僕の作業をうっとりと眺めている。なんだかちょっと怖い。
「マイスさん、作業が凄く手早いですね。ああ、そんな細かい作業も正確に出来るなんて素晴らしい。僕の素材がこんな風に生まれ変わるなんて、マイスさんに買って頂いて嬉しいです」
「ロッドさん、そんなに近くで見てたら危ないですよ。それにしても、レナさんがあんなに悩んでるなんて……もっと早く魔道具を思いつけば良かったです」
「マイスさんはどうやって魔道具のアイデアを出しているんですか?」
「大抵はアオイさん達が欲しい物を教えてくれるので、それで出来そうな形を考えてますね。あとは、今回みたいに人が困ってそうだなとか、僕が不便だなって思う事を解決する方法を考えて魔道具を作る感じです」
「なるほど、マイスさんの優しい人柄が魔道具に現れてるのはそういった理由なんですね」
僕、優しいかなあ?
みんなにもよく言われるけど、自分が優しいとは思わない。確かにアオイさん達に雇われてからは気持ちも安定して滅多に怒る事はなくなった気がするけど、それは美味しいご飯や優しい雇用主のおかげだと思う。お腹が美味しいもので満たされて、周りも優しかったら怒る理由なんてないもんね。
ダン親方のところに居る時もご飯貰えてたし穏やかに働く事が出来ていた。けど、その前はいつもお腹が空いてイライラしていたし仕事中は我慢したけど家に帰ったらひとりでブツブツ文句を言っていた。仕事中に態度が悪いとすぐ給料減らされてたから、仕事中だけは必死で我慢していたけど、あの頃は心が安定してなかったなぁ。やっぱり僕は優しくないね。
「僕は優しくないですよ。優しく見えるならアオイさん達が優しいおかげだと思いますよ」
そう言うとロッドさんは綺麗な顔でとっても優しい笑顔を見せてくれた。うーん、同性の僕でも見惚れる美しさだなぁ。ロッドさんはエルフだから美男子だ。エルフは寿命も長いし、僕らが寿命で死んだ後もアオイさんは長生きするからちょっと心配している。
でも、ロッドさんみたいに、同じ種族の人が居るのは心強い。冒険者をやるエルフも珍しくないらしいから、そのうちアオイさん達にエルフの友人が出来ると良いなぁ。
「さ、出来ました」
「早いですね?!」
「元々、似た仕組みの魔道具をダン親方の所で作った事がありましたからね。ちょっとアレンジするだけなら簡単です。これは、屋外など誰でも行ける場所限定で装着者が認めた者以外は、装着者が話しかけるまで認識されません。こっちのメガネは、それを見破る魔道具です」
「なるほど、見破る魔道具も作ったんですね」
「でないと、売り物になりませんからね。透明化の魔道具も売られてますから大丈夫だとは思いますけど、これは審査が厳しそうですから」
「確かにそうですね。街中だけとはいえ、認識されなくなれば悪用可能ですからね。販売の許可は厳しいでしょうし、価格も高価なものになるでしょうね」
「透明トンボの羽が金貨50枚ですからね。なかなか手が出る人は居ないでしょう」
「貴族が室内でも使えるようにしろなんて言って来ませんかね?」
「断固拒否しますよ。それは作れないってね。そっか、そんな危険があるなら作り方を公表するのはやめた方が良さそうですね。協会長に相談しましょう」
「本当にマイスさんは職人の鑑ですね」
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