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空回る日々
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「マチルダ、昨日の成果を報告してくれ」
「かしこまりました、昨日は学園に行きましたわ。学生が使う制服を新しくしたいとの事でした。生徒は、貴族も平民もおりますので、できるだけ安く手に入るものと、最高級の素材を使うものなど複数欲しいとの事ですわ。ですが、学園でわかりやすく見た目に格差が出るのはトラブルしか呼びませんわ。貴族が多いならまだしも、平民も同数程度居るのですから、対立などしたら困ります。なので、デザインと、表に出る素材は同じで、裏地など見えない部分の差別化だけに留めるよう提案して、受理されました。価格はある程度高くないと貴族は納得しませんから、裏地を最高級のシルクにしてやりましたわ。ドレスにもできるシルクを、裏地など勿体無いですが、貴族の自尊心はくすぐられます。学園の秩序を守りつつ、肌触りの良い裏地で快適な学園生活を送りましょうとプレゼンしたら生徒会長も受け入れて頂けました。これなら、財力のない貴族は安い制服で過ごす事も可能ですし、制服を脱ぐ授業はありませんから、誰が何を着てるかは分かりません。裏地が何かを聞くなどはしたないですから、聞かれてもかわすことも簡単ですわ。下級貴族の皆様には、そのように情報を回しておきましたわ」
「完璧だね。制服なんだから皆同じで良い筈なのに、面倒だよね貴族って」
「わたくしもサイモン様も貴族ですわ」
「みんなマチルダみたいな貴族なら良いけどね」
「まぁ、まるでわたくしが一般的な貴族ではないみたいではないですか」
一般的な貴族に、私がこんなにも執着する筈ないだろうに。あれから、マチルダと一緒に商会の運営を行なっている。エミリーも来るけど、頻度は私の方が多い。マチルダ嬢と呼んでいたが、仕事をする上で面倒だろうと呼び捨てにしてくれと言われた。奇跡か?! もうこれは求婚して良いのではないだろうか。
「そういえば、明日もお兄様と模擬戦をなさるのですか?」
「ああ、やはりジョセフ様はお強いな。なかなか勝てない」
「お兄様は異常ですわ。サイモン様にはわたくしも勝てませんし、エミリー様に伺いましたがサイモン様はかなりお強いのでしょう?」
「勝てないといけない人に勝てなければ意味がないんだよ」
「サイモン様、どなたと闘っておられるのですか?」
マチルダへの求婚はジョセフ様に勝てれば好きにすれば良いと言われている。それまでは、マチルダに来た婚約話も止めないと言うのだ。
「守りたいものがあるのだ……」
「まぁ! そうなのですね! 頑張っているサイモン様は素敵ですわ。サイモン様に守って頂ける方はお幸せですわね」
仕方がないので、調査を増やしてマチルダへ婚約話が行く前に止めている。別の令嬢をあてがったり、犯罪を犯していればサクッと破滅させたり、手紙を事故に見せかせて紛失させて、その間に話し合いをしたりもしている。
その努力が実って、マチルダへの婚約話は最近パタリとなくなった。油断はできないから、監視は続けている。
マチルダへの求婚は出来ないが、マチルダを口説くのは問題ない。だから、いろんな贈り物を贈ったりしているのだが……
「マチルダ、良かったらこのアクセサリーを受け取ってくれ」
「サイモン様! こちらは新しい商品ですの? なんて繊細なデザインかしら。素晴らしいですわ!」
なかなかに、手強い。私が持ってくるものは、全て商会の新商品になってしまうのだ。これでは単なる仕事ではないか。
まぁいい、時間はたっぷりあるんだ。ゆっくり口説いていくとしよう。
「かしこまりました、昨日は学園に行きましたわ。学生が使う制服を新しくしたいとの事でした。生徒は、貴族も平民もおりますので、できるだけ安く手に入るものと、最高級の素材を使うものなど複数欲しいとの事ですわ。ですが、学園でわかりやすく見た目に格差が出るのはトラブルしか呼びませんわ。貴族が多いならまだしも、平民も同数程度居るのですから、対立などしたら困ります。なので、デザインと、表に出る素材は同じで、裏地など見えない部分の差別化だけに留めるよう提案して、受理されました。価格はある程度高くないと貴族は納得しませんから、裏地を最高級のシルクにしてやりましたわ。ドレスにもできるシルクを、裏地など勿体無いですが、貴族の自尊心はくすぐられます。学園の秩序を守りつつ、肌触りの良い裏地で快適な学園生活を送りましょうとプレゼンしたら生徒会長も受け入れて頂けました。これなら、財力のない貴族は安い制服で過ごす事も可能ですし、制服を脱ぐ授業はありませんから、誰が何を着てるかは分かりません。裏地が何かを聞くなどはしたないですから、聞かれてもかわすことも簡単ですわ。下級貴族の皆様には、そのように情報を回しておきましたわ」
「完璧だね。制服なんだから皆同じで良い筈なのに、面倒だよね貴族って」
「わたくしもサイモン様も貴族ですわ」
「みんなマチルダみたいな貴族なら良いけどね」
「まぁ、まるでわたくしが一般的な貴族ではないみたいではないですか」
一般的な貴族に、私がこんなにも執着する筈ないだろうに。あれから、マチルダと一緒に商会の運営を行なっている。エミリーも来るけど、頻度は私の方が多い。マチルダ嬢と呼んでいたが、仕事をする上で面倒だろうと呼び捨てにしてくれと言われた。奇跡か?! もうこれは求婚して良いのではないだろうか。
「そういえば、明日もお兄様と模擬戦をなさるのですか?」
「ああ、やはりジョセフ様はお強いな。なかなか勝てない」
「お兄様は異常ですわ。サイモン様にはわたくしも勝てませんし、エミリー様に伺いましたがサイモン様はかなりお強いのでしょう?」
「勝てないといけない人に勝てなければ意味がないんだよ」
「サイモン様、どなたと闘っておられるのですか?」
マチルダへの求婚はジョセフ様に勝てれば好きにすれば良いと言われている。それまでは、マチルダに来た婚約話も止めないと言うのだ。
「守りたいものがあるのだ……」
「まぁ! そうなのですね! 頑張っているサイモン様は素敵ですわ。サイモン様に守って頂ける方はお幸せですわね」
仕方がないので、調査を増やしてマチルダへ婚約話が行く前に止めている。別の令嬢をあてがったり、犯罪を犯していればサクッと破滅させたり、手紙を事故に見せかせて紛失させて、その間に話し合いをしたりもしている。
その努力が実って、マチルダへの婚約話は最近パタリとなくなった。油断はできないから、監視は続けている。
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「サイモン様! こちらは新しい商品ですの? なんて繊細なデザインかしら。素晴らしいですわ!」
なかなかに、手強い。私が持ってくるものは、全て商会の新商品になってしまうのだ。これでは単なる仕事ではないか。
まぁいい、時間はたっぷりあるんだ。ゆっくり口説いていくとしよう。
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