12 / 15
空回る日々
しおりを挟む
「マチルダ、昨日の成果を報告してくれ」
「かしこまりました、昨日は学園に行きましたわ。学生が使う制服を新しくしたいとの事でした。生徒は、貴族も平民もおりますので、できるだけ安く手に入るものと、最高級の素材を使うものなど複数欲しいとの事ですわ。ですが、学園でわかりやすく見た目に格差が出るのはトラブルしか呼びませんわ。貴族が多いならまだしも、平民も同数程度居るのですから、対立などしたら困ります。なので、デザインと、表に出る素材は同じで、裏地など見えない部分の差別化だけに留めるよう提案して、受理されました。価格はある程度高くないと貴族は納得しませんから、裏地を最高級のシルクにしてやりましたわ。ドレスにもできるシルクを、裏地など勿体無いですが、貴族の自尊心はくすぐられます。学園の秩序を守りつつ、肌触りの良い裏地で快適な学園生活を送りましょうとプレゼンしたら生徒会長も受け入れて頂けました。これなら、財力のない貴族は安い制服で過ごす事も可能ですし、制服を脱ぐ授業はありませんから、誰が何を着てるかは分かりません。裏地が何かを聞くなどはしたないですから、聞かれてもかわすことも簡単ですわ。下級貴族の皆様には、そのように情報を回しておきましたわ」
「完璧だね。制服なんだから皆同じで良い筈なのに、面倒だよね貴族って」
「わたくしもサイモン様も貴族ですわ」
「みんなマチルダみたいな貴族なら良いけどね」
「まぁ、まるでわたくしが一般的な貴族ではないみたいではないですか」
一般的な貴族に、私がこんなにも執着する筈ないだろうに。あれから、マチルダと一緒に商会の運営を行なっている。エミリーも来るけど、頻度は私の方が多い。マチルダ嬢と呼んでいたが、仕事をする上で面倒だろうと呼び捨てにしてくれと言われた。奇跡か?! もうこれは求婚して良いのではないだろうか。
「そういえば、明日もお兄様と模擬戦をなさるのですか?」
「ああ、やはりジョセフ様はお強いな。なかなか勝てない」
「お兄様は異常ですわ。サイモン様にはわたくしも勝てませんし、エミリー様に伺いましたがサイモン様はかなりお強いのでしょう?」
「勝てないといけない人に勝てなければ意味がないんだよ」
「サイモン様、どなたと闘っておられるのですか?」
マチルダへの求婚はジョセフ様に勝てれば好きにすれば良いと言われている。それまでは、マチルダに来た婚約話も止めないと言うのだ。
「守りたいものがあるのだ……」
「まぁ! そうなのですね! 頑張っているサイモン様は素敵ですわ。サイモン様に守って頂ける方はお幸せですわね」
仕方がないので、調査を増やしてマチルダへ婚約話が行く前に止めている。別の令嬢をあてがったり、犯罪を犯していればサクッと破滅させたり、手紙を事故に見せかせて紛失させて、その間に話し合いをしたりもしている。
その努力が実って、マチルダへの婚約話は最近パタリとなくなった。油断はできないから、監視は続けている。
マチルダへの求婚は出来ないが、マチルダを口説くのは問題ない。だから、いろんな贈り物を贈ったりしているのだが……
「マチルダ、良かったらこのアクセサリーを受け取ってくれ」
「サイモン様! こちらは新しい商品ですの? なんて繊細なデザインかしら。素晴らしいですわ!」
なかなかに、手強い。私が持ってくるものは、全て商会の新商品になってしまうのだ。これでは単なる仕事ではないか。
まぁいい、時間はたっぷりあるんだ。ゆっくり口説いていくとしよう。
「かしこまりました、昨日は学園に行きましたわ。学生が使う制服を新しくしたいとの事でした。生徒は、貴族も平民もおりますので、できるだけ安く手に入るものと、最高級の素材を使うものなど複数欲しいとの事ですわ。ですが、学園でわかりやすく見た目に格差が出るのはトラブルしか呼びませんわ。貴族が多いならまだしも、平民も同数程度居るのですから、対立などしたら困ります。なので、デザインと、表に出る素材は同じで、裏地など見えない部分の差別化だけに留めるよう提案して、受理されました。価格はある程度高くないと貴族は納得しませんから、裏地を最高級のシルクにしてやりましたわ。ドレスにもできるシルクを、裏地など勿体無いですが、貴族の自尊心はくすぐられます。学園の秩序を守りつつ、肌触りの良い裏地で快適な学園生活を送りましょうとプレゼンしたら生徒会長も受け入れて頂けました。これなら、財力のない貴族は安い制服で過ごす事も可能ですし、制服を脱ぐ授業はありませんから、誰が何を着てるかは分かりません。裏地が何かを聞くなどはしたないですから、聞かれてもかわすことも簡単ですわ。下級貴族の皆様には、そのように情報を回しておきましたわ」
「完璧だね。制服なんだから皆同じで良い筈なのに、面倒だよね貴族って」
「わたくしもサイモン様も貴族ですわ」
「みんなマチルダみたいな貴族なら良いけどね」
「まぁ、まるでわたくしが一般的な貴族ではないみたいではないですか」
一般的な貴族に、私がこんなにも執着する筈ないだろうに。あれから、マチルダと一緒に商会の運営を行なっている。エミリーも来るけど、頻度は私の方が多い。マチルダ嬢と呼んでいたが、仕事をする上で面倒だろうと呼び捨てにしてくれと言われた。奇跡か?! もうこれは求婚して良いのではないだろうか。
「そういえば、明日もお兄様と模擬戦をなさるのですか?」
「ああ、やはりジョセフ様はお強いな。なかなか勝てない」
「お兄様は異常ですわ。サイモン様にはわたくしも勝てませんし、エミリー様に伺いましたがサイモン様はかなりお強いのでしょう?」
「勝てないといけない人に勝てなければ意味がないんだよ」
「サイモン様、どなたと闘っておられるのですか?」
マチルダへの求婚はジョセフ様に勝てれば好きにすれば良いと言われている。それまでは、マチルダに来た婚約話も止めないと言うのだ。
「守りたいものがあるのだ……」
「まぁ! そうなのですね! 頑張っているサイモン様は素敵ですわ。サイモン様に守って頂ける方はお幸せですわね」
仕方がないので、調査を増やしてマチルダへ婚約話が行く前に止めている。別の令嬢をあてがったり、犯罪を犯していればサクッと破滅させたり、手紙を事故に見せかせて紛失させて、その間に話し合いをしたりもしている。
その努力が実って、マチルダへの婚約話は最近パタリとなくなった。油断はできないから、監視は続けている。
マチルダへの求婚は出来ないが、マチルダを口説くのは問題ない。だから、いろんな贈り物を贈ったりしているのだが……
「マチルダ、良かったらこのアクセサリーを受け取ってくれ」
「サイモン様! こちらは新しい商品ですの? なんて繊細なデザインかしら。素晴らしいですわ!」
なかなかに、手強い。私が持ってくるものは、全て商会の新商品になってしまうのだ。これでは単なる仕事ではないか。
まぁいい、時間はたっぷりあるんだ。ゆっくり口説いていくとしよう。
27
あなたにおすすめの小説
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
氷の公爵の婚姻試験
潮海璃月
恋愛
ある日、若き氷の公爵レオンハルトからある宣言がなされた――「私のことを最もよく知る女性を、妻となるべき者として迎える。その出自、身分その他一切を問わない。」。公爵家の一員となる一世一代のチャンスに王国中が沸き、そして「公爵レオンハルトを最もよく知る女性」の選抜試験が行われた。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
【完結】無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない
ベル
恋愛
旦那様とは政略結婚。
公爵家の次期当主であった旦那様と、領地の経営が悪化し、没落寸前の伯爵令嬢だった私。
旦那様と結婚したおかげで私の家は安定し、今では昔よりも裕福な暮らしができるようになりました。
そんな私は旦那様に感謝しています。
無口で何を考えているか分かりにくい方ですが、とてもお優しい方なのです。
そんな二人の日常を書いてみました。
お読みいただき本当にありがとうございますm(_ _)m
無事完結しました!
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる