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オレだけを見て【後日談】
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「エリザベスが、死んだって?」
「……はい」
「まったく、勝手に僕の名前で娼館に入れるなんて聞いてないよ?」
「申し訳ありません、ご主人様」
「まぁ、ジャックのおかげでエリザベスは生きられたのは確かだろうけどね。あのままだと数日中には攫われてただろう。その後生きてるかは怪しいしね。両親が死んで、お見舞いと称して男達が入り浸ってたんだろ。狙われているとも気がつかないなんて、相変わらずお馬鹿さんだ。最後は貢がれた貴族と心中だっけ? エリザベスは結局、自分が悪いとは思わないまま逝ったのかな」
「……どうでしょうね。どうでもいいです」
「ならなんで、あの子を保護する様な真似をしたのかな?」
「ソフィが、妹は両親と使用人に甘やかされた被害者だって言ってました。見殺しにしたら、ソフィの顔を真っ直ぐ見れない気がして」
「……甘ぃねぇ」
「申し訳ありません。でもそれだけじゃねぇんです。ソフィは、いつも笑ってるけどたまに寂しそうなんです。オレらは元々居ないから、親の事も諦めがつく。けどソフィは、目の前に愛してもらえる親が居んのにずーっと無視されてきたんです。オレらの苦しみと、ソフィの苦しみは違う。ソフィは未だに家族に囚われてる。いくら連絡不可でも、妹の危機を知れば手を尽くしてしまうかもしれないと思いました。今のソフィにはそれができる。けど、嫌でした。ソフィの家族は、オレです」
「だから、絶対連絡が漏れない高級娼館に入れたのかい?」
「……そうです。死ぬまで出すなって言いました」
「なかなかな独占欲だね。まぁいいよ。それで、エリザベスの死は僕から伝えれば良いのかな?」
「お願いします」
「……コレで確実に、ソフィの家族はジャックだけだね」
「いや、オレだけじゃねぇです」
「おや? 家族が増えるのかい?」
「はい」
「それはめでたいね。そうそう、妊婦が食べても大丈夫なお茶やお菓子の開発をしている店があってね。とっても美味しい上に、健康に良いらしいよ? 悪阻のある方でも食べられる事が多いんだって。取り寄せてあげるから、ちょーっと難しい貴族の調査、お願いしたいんだけど? もちろん報酬も弾むよ。子どもが居ると、何かと物入りだものねぇ」
「……ほんっと、良い性格してますよね。ご主人様は」
「褒め言葉として、受け取っておくよ」
「謹んでお受けしますよ。ご主人様」
「やっぱり僕に雇われて良かっただろ?」
「オレを拾えて、良かったでしょう?」
「……はい」
「まったく、勝手に僕の名前で娼館に入れるなんて聞いてないよ?」
「申し訳ありません、ご主人様」
「まぁ、ジャックのおかげでエリザベスは生きられたのは確かだろうけどね。あのままだと数日中には攫われてただろう。その後生きてるかは怪しいしね。両親が死んで、お見舞いと称して男達が入り浸ってたんだろ。狙われているとも気がつかないなんて、相変わらずお馬鹿さんだ。最後は貢がれた貴族と心中だっけ? エリザベスは結局、自分が悪いとは思わないまま逝ったのかな」
「……どうでしょうね。どうでもいいです」
「ならなんで、あの子を保護する様な真似をしたのかな?」
「ソフィが、妹は両親と使用人に甘やかされた被害者だって言ってました。見殺しにしたら、ソフィの顔を真っ直ぐ見れない気がして」
「……甘ぃねぇ」
「申し訳ありません。でもそれだけじゃねぇんです。ソフィは、いつも笑ってるけどたまに寂しそうなんです。オレらは元々居ないから、親の事も諦めがつく。けどソフィは、目の前に愛してもらえる親が居んのにずーっと無視されてきたんです。オレらの苦しみと、ソフィの苦しみは違う。ソフィは未だに家族に囚われてる。いくら連絡不可でも、妹の危機を知れば手を尽くしてしまうかもしれないと思いました。今のソフィにはそれができる。けど、嫌でした。ソフィの家族は、オレです」
「だから、絶対連絡が漏れない高級娼館に入れたのかい?」
「……そうです。死ぬまで出すなって言いました」
「なかなかな独占欲だね。まぁいいよ。それで、エリザベスの死は僕から伝えれば良いのかな?」
「お願いします」
「……コレで確実に、ソフィの家族はジャックだけだね」
「いや、オレだけじゃねぇです」
「おや? 家族が増えるのかい?」
「はい」
「それはめでたいね。そうそう、妊婦が食べても大丈夫なお茶やお菓子の開発をしている店があってね。とっても美味しい上に、健康に良いらしいよ? 悪阻のある方でも食べられる事が多いんだって。取り寄せてあげるから、ちょーっと難しい貴族の調査、お願いしたいんだけど? もちろん報酬も弾むよ。子どもが居ると、何かと物入りだものねぇ」
「……ほんっと、良い性格してますよね。ご主人様は」
「褒め言葉として、受け取っておくよ」
「謹んでお受けしますよ。ご主人様」
「やっぱり僕に雇われて良かっただろ?」
「オレを拾えて、良かったでしょう?」
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