前世の推しが婚約者になりました

編端みどり

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最近、社交に行くと嫌な噂を聞く。アルフレッド殿下と、キャサリン王女がお似合いだと言う噂だ。

確かに、お似合いでしたよ!
そんなの分かってるよ!

アル様はかっこいいんだから!
キャサリン王女も素敵な方だった。最初は無口だったけど、アル様に言われてキャサリン王女の国の言葉で話せば、心を開いて頂けてたくさんお話をしてくださった。優しくて素敵で、ユーモアもある素晴らしい王女様だった。しかも、めちゃくちゃ美人さんだ。

……お似合いに決まってる。

決まってんだろ。分かってるわ。アル様の魅力が広まったのは嬉しい。けど……婚約者としては複雑ですよ!

そりゃそうだろ!
なにが悲しくて婚約者が他の女性とお似合いだなんて噂を聞かなきゃいけないの?!

しかも、アル様からはキャサリン王女が帰るまで会えないって手紙が来た。しょぼん。キャサリン王女の滞在はあと半年。長い。長すぎる。

「アマンダ様、手が止まっておりますわよ」

おっとぉ!
しまった。今はレベッカ様と刺繍中だったわ。

レベッカ様はあれから週に1回くらいのペースで訪問して下さっている。結婚前でお忙しいのでは?
と聞いたんだけど、息抜きになるから良いと言って欠かさず来て下さる。し、か、も、結婚式に招待して下さったのだ! え、そんな急に招待客増やして良いの?! アリなの?! 何度も確認したが、真っ赤な顔でお友達の枠が余っているから大歓迎だと仰った。うきゃあ! 可愛い、美人さんの照れる姿、可愛い!

念のため、お父様やお兄様に行っても良いか確認したら問題無いって言って貰えた。けど、結婚式はエスコートが要る。アル様は無理だから、お兄様にエスコートを頼んだ。レベッカ様に確認すると、わたくしが来てくれるならエスコートは誰でも構わないってお言葉を頂いた。

お兄様が騎士団長様のお家にも確認を取ってくれて、無事わたくしの結婚式への参加は認められた。

レベッカ様は、初めて出来た気楽に話せるお友達だ。何故家に誘ったのかは自分でも分からない。なんだかこの人と仲良くなりたい。そう思ったんだ。

レベッカ様も、最初は対立している家のわたくしに誘われて面食らっていたそうだ。けど、ちょうど良いから弱みを握ってやろうと思って来たと仰っていた。

そんなの言わなくて良いのに、わたくしに嘘は吐きたくないって小声で仰ってくれた。レベッカ様は、めちゃくちゃ良い人だ。結婚する騎士団長様の話もたくさん聞いた。

レベッカ様は幼い時に助けてくれた騎士団長様が初恋のお相手なのだそうだ。政略結婚の相手として出会った時、これは運命だと思ったそうだ。

だよね!
それは運命ですよ!

わたくし、運命って言葉はあんまり好きじゃありませんけど、これは運命でオッケー!

なにその理想のカップリング!
最高か!

という訳で、わたくしはすっかりレベッカ様が大好きになった。お互いお家のことでは色々あるみたいだけど、お父様やお兄様、お母様達もわたくし達の交流は邪魔しないと言ってくれた。

けど、レベッカ様のお家は違うみたい。騎士団長様に協力して貰って、わたくしと会っている事は秘密にしているそうだ。

来月にはご結婚されるから、そしたらもっと自由に会えると仰っていた。今でも週一のペースは多めだと思いますけど……?

でも、嬉しい。
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