31 / 56
30
しおりを挟む
はぁ?!
よ、び、す、て?!
しかも、アル様に良いとこが無いだと?!
んな訳あるかぁ!
って……落ち着け。相手は王族。しかも、わたくしは一応まだアル様の婚約者。わたくしの失態は、アル様の失態。感情的になったら負けだ。
落ち着け、落ち着くには……そうよ!
マリオン殿下に、アル様の魅力をお伝えすれば良いんだわ!
「アルフレッド殿下の魅力を知りたいという事ですわよね。承りました! まずアルフレッド殿下はお優しいです。マリオン殿下はご存知ですか? アルフレッド殿下の以前の婚約者様の話を」
「ああ……知ってるよ。元婚約者の結婚相手を斡旋したんだってね。しかも、地位の低い男だったからわざわざ手柄を立てさせたんでしょ? しかも、過去の功績までぜーんぶ調べ尽くして、誰にも文句言えないようにして結婚式までしてあげたんでしょ。ほらほら、アマンダ一筋みたいな顔して酷いと思わない?」
「そこまでなさったのですね! なんてお優しいのでしょう! しかも手柄を取らせるだけでなく過去の功績まで調べ尽くすなんて! きっと手間も時間もかかった事でしょう! ああ、やっぱりアルフレッド殿下は素晴らしいお方ですわ」
「ちっ……! 優しいだけじゃ王族は務まらないよ」
「もちろんその通りですわ。ですが、アルフレッド殿下は王位を継ぐ事はありません。それなら、アルフレッド殿下の優しさは王家の求心力を高める為にも必要なのではありませんか?」
「けど! アイツより僕の方がかっこいい!」
ほほう。見た目ですか。
つまり、他にアル様に勝てるところがないと暗に認めておられるのですね。
よろしい、その鼻っ柱、へし折ってやりますわ。
「わたくしは、アルフレッド殿下よりかっこよく、美しい殿方を知りません」
暗に、マリオン殿下よりもアル様の方がかっこいいと言っている。これはさすがにね。断言はできない。人の好みはそれぞれだし。マリオン殿下も綺麗な顔立ちをなさってるし。
けど、本音を言うならアル様の方が100倍、いや、1000倍かっこいいわ!
「……なんで……みんな僕の方がかっこいいって……」
「外見の好みは人それぞれですが、わたくしはアルフレッド殿下の見た目も中身も大好きです。それに、わたくしとアルフレッド殿下の婚約は王命。王命を覆す権限は、いかにマリオン殿下が王子様でもお持ちではありませんよね?」
最初からこう言えば良かった。突然の訪問で、冷静さを失っていたわ。婚約を王命にして下さった国王陛下には感謝しかない。
「はぁ……、本当に君は賢いね。アイツの不在時に押し切ればいけると思ったのに。ねぇ、アルフレッドが王になる事はないって言ったね。本気でそう思ってる?」
「違うのですか?」
それは間違いない。何度も聞いてるし。
「その顔、本当に知らないんだ。アマンダに言ってないなんてあり得ないし……あーあ、じゃあ母上の勘違いか。確かに、父上もそう言ってたし……」
ブツブツ五月蝿いわね。
アル様の悪口を言う男なんて顔も見たくないわ。
わたくしは強引に、マリオン殿下を追い返した。
それなのに……わたくしは何もしていないのに……ちゃんと、お話する時は使用人を控えさせていたのに……。
アルフレッド殿下はキャサリン王女と結婚するから、わたくしはマリオン殿下と婚約すると……噂が回り始めてしまった。
よ、び、す、て?!
しかも、アル様に良いとこが無いだと?!
んな訳あるかぁ!
って……落ち着け。相手は王族。しかも、わたくしは一応まだアル様の婚約者。わたくしの失態は、アル様の失態。感情的になったら負けだ。
落ち着け、落ち着くには……そうよ!
マリオン殿下に、アル様の魅力をお伝えすれば良いんだわ!
「アルフレッド殿下の魅力を知りたいという事ですわよね。承りました! まずアルフレッド殿下はお優しいです。マリオン殿下はご存知ですか? アルフレッド殿下の以前の婚約者様の話を」
「ああ……知ってるよ。元婚約者の結婚相手を斡旋したんだってね。しかも、地位の低い男だったからわざわざ手柄を立てさせたんでしょ? しかも、過去の功績までぜーんぶ調べ尽くして、誰にも文句言えないようにして結婚式までしてあげたんでしょ。ほらほら、アマンダ一筋みたいな顔して酷いと思わない?」
「そこまでなさったのですね! なんてお優しいのでしょう! しかも手柄を取らせるだけでなく過去の功績まで調べ尽くすなんて! きっと手間も時間もかかった事でしょう! ああ、やっぱりアルフレッド殿下は素晴らしいお方ですわ」
「ちっ……! 優しいだけじゃ王族は務まらないよ」
「もちろんその通りですわ。ですが、アルフレッド殿下は王位を継ぐ事はありません。それなら、アルフレッド殿下の優しさは王家の求心力を高める為にも必要なのではありませんか?」
「けど! アイツより僕の方がかっこいい!」
ほほう。見た目ですか。
つまり、他にアル様に勝てるところがないと暗に認めておられるのですね。
よろしい、その鼻っ柱、へし折ってやりますわ。
「わたくしは、アルフレッド殿下よりかっこよく、美しい殿方を知りません」
暗に、マリオン殿下よりもアル様の方がかっこいいと言っている。これはさすがにね。断言はできない。人の好みはそれぞれだし。マリオン殿下も綺麗な顔立ちをなさってるし。
けど、本音を言うならアル様の方が100倍、いや、1000倍かっこいいわ!
「……なんで……みんな僕の方がかっこいいって……」
「外見の好みは人それぞれですが、わたくしはアルフレッド殿下の見た目も中身も大好きです。それに、わたくしとアルフレッド殿下の婚約は王命。王命を覆す権限は、いかにマリオン殿下が王子様でもお持ちではありませんよね?」
最初からこう言えば良かった。突然の訪問で、冷静さを失っていたわ。婚約を王命にして下さった国王陛下には感謝しかない。
「はぁ……、本当に君は賢いね。アイツの不在時に押し切ればいけると思ったのに。ねぇ、アルフレッドが王になる事はないって言ったね。本気でそう思ってる?」
「違うのですか?」
それは間違いない。何度も聞いてるし。
「その顔、本当に知らないんだ。アマンダに言ってないなんてあり得ないし……あーあ、じゃあ母上の勘違いか。確かに、父上もそう言ってたし……」
ブツブツ五月蝿いわね。
アル様の悪口を言う男なんて顔も見たくないわ。
わたくしは強引に、マリオン殿下を追い返した。
それなのに……わたくしは何もしていないのに……ちゃんと、お話する時は使用人を控えさせていたのに……。
アルフレッド殿下はキャサリン王女と結婚するから、わたくしはマリオン殿下と婚約すると……噂が回り始めてしまった。
16
あなたにおすすめの小説
「陛下、子種を要求します!」~陛下に離縁され追放される七日の間にかなえたい、わたしのたったひとつの願い事。その五年後……~
ぽんた
恋愛
「七日の後に離縁の上、実質上追放を言い渡す。そのあとは、おまえは王都から連れだされることになる。人質であるおまえを断罪したがる連中がいるのでな。信用のおける者に生活できるだけの金貨を渡し、託している。七日間だ。おまえの国を攻略し、おまえを人質に差し出した父王と母后を処分したわが軍が戻ってくる。そのあと、おまえは命以外のすべてを失うことになる」
その日、わたしは内密に告げられた。小国から人質として嫁いだ親子ほど年齢の離れた国王である夫に。
わたしは決意した。ぜったいに願いをかなえよう。たったひとつの望みを陛下にかなえてもらおう。
そう。わたしには陛下から授かりたいものがある。
陛下から与えてほしいたったひとつのものがある。
この物語は、その五年後のこと。
※ハッピーエンド確約。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】婚約を解消して進路変更を希望いたします
宇水涼麻
ファンタジー
三ヶ月後に卒業を迎える学園の食堂では卒業後の進路についての話題がそここで繰り広げられている。
しかし、一つのテーブルそんなものは関係ないとばかりに四人の生徒が戯れていた。
そこへ美しく気品ある三人の女子生徒が近付いた。
彼女たちの卒業後の進路はどうなるのだろうか?
中世ヨーロッパ風のお話です。
HOTにランクインしました。ありがとうございます!
ファンタジーの週間人気部門で1位になりました。みなさまのおかげです!
ありがとうございます!
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは、聖女。
――それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王によって侯爵領を奪われ、没落した姉妹。
誰からも愛される姉は聖女となり、私は“支援しかできない白魔導士”のまま。
王命により結成された勇者パーティ。
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い。
そして――“おまけ”の私。
前線に立つことも、敵を倒すこともできない。
けれど、戦場では支援が止まれば人が死ぬ。
魔王討伐の旅路の中で知る、
百年前の英雄譚に隠された真実。
勇者と騎士、弓使い、そして姉妹に絡みつく過去。
突きつけられる現実と、過酷な選択。
輝く姉と英雄たちのすぐ隣で、
「支えるだけ」が役割と思っていた少女は、何を選ぶのか。
これは、聖女の妹として生きてきた“おまけ”の白魔導士が、
やがて世界を支える“要”になるまでの物語。
――どうやら、私がいないと世界が詰むようです。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー編 32話
第二章:討伐軍編 32話
第三章:魔王決戦編 36話
※「カクヨム」、「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
地味で結婚できないと言われた私が、婚約破棄の席で全員に勝った話
といとい
ファンタジー
「地味で結婚できない」と蔑まれてきた伯爵令嬢クラリス・アーデン。公の場で婚約者から一方的に婚約破棄を言い渡され、妹との比較で笑い者にされるが、クラリスは静かに反撃を始める――。周到に集めた証拠と知略を武器に、貴族社会の表と裏を暴き、見下してきた者たちを鮮やかに逆転。冷静さと気品で場を支配する姿に、やがて誰もが喝采を送る。痛快“ざまぁ”逆転劇!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる