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わたくしは、予定通りアル様と結婚した。
お城の小さな離宮で暮らしている。小さいと言っても、前世基準では大豪邸だ。
国王陛下も、王太子殿下ももっと大きな離宮を建てると言ってくれたが固辞した。その分のお金を、民の救済に回して貰った。
台風で川が氾濫して、100件ほどの家が流されたのだ。幸い死者はいなかったが、家の建て直しには莫大なお金がかかる。
国からもお金を出したが、足りない。だから離宮の為のお金を半分回して貰った。それでも少し足りない。
これは、チャンスだ。
わたくしは一計を案じた。
「アマンダ、今日は新曲をやるよ」
まだ建設中の離宮には、小さなステージを作って貰っている。表向きはわたくしやアル様が楽器を演奏する為。本当はアル様がアイドルのステージをする為。
ステージだけは出来ているから、今日はふたりきりのライブ。アル様はそう思っている。
いつものようにアル様が歌い、踊る。演奏が終わると、ステージには多くの人が詰めかけていた。
「アルフレッド!! 素敵だったわ!」
先日から滞在しておられるキャサリン王女は、ご結婚なさって幸せそうだ。久しぶりにお会いした時に、色々話を聞いた。王女は実は我が国の言葉をあまりご存じなかったそうだ。アル様がずっと付き添っていたのは、こっそり通訳をする為。アル様は、キャサリン王女と伴侶のクリス様の仲が認められる為に協力していた。
え、アル様相変わらずめちゃくちゃ優しくない? うちの旦那様、最高かよ。
王女はアル様に恩を感じている。だからちょっと、協力して貰う。
「アルフレッド……こんなに歌が上手いとはな……これは確かに……良いかもしれん」
王太子殿下が、アル様の歌に感動しておられる。王太子殿下は良くも悪くも保守的で、王族が歌や踊りをするなんて簡単には認めてくれない。
だから少しずつ意識を変えて貰った。
まず、アル様の曲をオルゴールにして流通させた。アル様とお兄様がやっているお店で売ったら、大人気になった。もちろん、アル様の許可は取った。自分の曲が流行るのは嬉しいと仰っていたから、やっぱりアル様はユナ様で、アイドルなんだと思った。
オルゴールが王都の外でも流行り始めた。
これで、第一段階は完了だ。
「凄いでしょう! わたくしがこのオルゴールが好きだと言ったら、アル様が歌を付けて下さったんですの」
「アルフレッド……確かにお前は音楽の才があったものな。きちんと教師を付けてやれば、もっと伸びたかも知れぬのに……すまなかった……」
罪悪感いっぱいの国王陛下の説得は簡単でしたわ。アル様の歌を広めたい、そう思った時に最初に味方になってくれたのは家族と、新しい家族になった国王陛下でした。
「きっとアル様は音楽の神の申し子ですわ」
お城の小さな離宮で暮らしている。小さいと言っても、前世基準では大豪邸だ。
国王陛下も、王太子殿下ももっと大きな離宮を建てると言ってくれたが固辞した。その分のお金を、民の救済に回して貰った。
台風で川が氾濫して、100件ほどの家が流されたのだ。幸い死者はいなかったが、家の建て直しには莫大なお金がかかる。
国からもお金を出したが、足りない。だから離宮の為のお金を半分回して貰った。それでも少し足りない。
これは、チャンスだ。
わたくしは一計を案じた。
「アマンダ、今日は新曲をやるよ」
まだ建設中の離宮には、小さなステージを作って貰っている。表向きはわたくしやアル様が楽器を演奏する為。本当はアル様がアイドルのステージをする為。
ステージだけは出来ているから、今日はふたりきりのライブ。アル様はそう思っている。
いつものようにアル様が歌い、踊る。演奏が終わると、ステージには多くの人が詰めかけていた。
「アルフレッド!! 素敵だったわ!」
先日から滞在しておられるキャサリン王女は、ご結婚なさって幸せそうだ。久しぶりにお会いした時に、色々話を聞いた。王女は実は我が国の言葉をあまりご存じなかったそうだ。アル様がずっと付き添っていたのは、こっそり通訳をする為。アル様は、キャサリン王女と伴侶のクリス様の仲が認められる為に協力していた。
え、アル様相変わらずめちゃくちゃ優しくない? うちの旦那様、最高かよ。
王女はアル様に恩を感じている。だからちょっと、協力して貰う。
「アルフレッド……こんなに歌が上手いとはな……これは確かに……良いかもしれん」
王太子殿下が、アル様の歌に感動しておられる。王太子殿下は良くも悪くも保守的で、王族が歌や踊りをするなんて簡単には認めてくれない。
だから少しずつ意識を変えて貰った。
まず、アル様の曲をオルゴールにして流通させた。アル様とお兄様がやっているお店で売ったら、大人気になった。もちろん、アル様の許可は取った。自分の曲が流行るのは嬉しいと仰っていたから、やっぱりアル様はユナ様で、アイドルなんだと思った。
オルゴールが王都の外でも流行り始めた。
これで、第一段階は完了だ。
「凄いでしょう! わたくしがこのオルゴールが好きだと言ったら、アル様が歌を付けて下さったんですの」
「アルフレッド……確かにお前は音楽の才があったものな。きちんと教師を付けてやれば、もっと伸びたかも知れぬのに……すまなかった……」
罪悪感いっぱいの国王陛下の説得は簡単でしたわ。アル様の歌を広めたい、そう思った時に最初に味方になってくれたのは家族と、新しい家族になった国王陛下でした。
「きっとアル様は音楽の神の申し子ですわ」
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