興味はないが、皇帝になってやるよ

編端みどり

文字の大きさ
18 / 45

第十八話

しおりを挟む
「さて、そろそろだな。オレがマリアを城に連れてくる許可は取れた。宰相が、めちゃくちゃ喜んでさっさと話を進めてくれたぜ。平民なのが残念だって言ってた。マリアを宰相の養子にするかって言われたが、宰相の養子になんてなったら兄貴の餌食だからな。断っておいた。兄貴もオレが妾を作ったと知っているが、セーラの読み通り平民だからと興味も持たねぇみたいだな」

「でしょ? 私の素性を聞く人も来ないし、しばらくは誤魔化せるよ。妾ってどのくらい自由あるの?」

「そこそこあるぞ。オレの部屋のひとつに住ませるって言やぁ気に入られてるのは分かるから、兄貴の宮と皇帝の宮以外は自由に動ける筈だ」

「それも気になってたんだけど、なんでイオスだけ部屋なの? 成人した王族なら普通は一棟全部イオスのものにならない?」

「前はあったけど、兄貴に取り上げられた」

「……もう呆れすぎて何も言えない」

「なんか、すまん。だがおかげでこの部屋が手に入ったからな。出入り口もひとつだし、オレが不在の時は部屋に入れねえように炎の幕を貼れるしな。こんだけ狭いと、使用人が潜む事もできねぇし、セーラも隠せたから結果的には良かったよ」

「そうね。私も最初は大人しくしておくわ。イオスの味方になりそうな方で地位が高いのは宰相様?」

「そうだな」

「宰相様は確かお嬢様が居たわよね? 私たちより3歳上の」

「もう結婚してるぞ。騎士団長の妻だ」

「良いわね。まとめて味方にできたら大きいわ」

「城に来る予定がないか調べておくよ」

「ありがとう! まずは何も知らない平民として近寄るから事前調査よろしくね。場合によっては私の正体をバラしても良い?」

「それはやめておけ、宰相はセーラの次くらいには信用出来るが、兄貴の目がどこにあるのか分からねえからな」

「分かったわ。もしかして……って思わせる程度にしておく」

「出来ればそれもやめて欲しいんだがな……」

「あと5ヶ月しかないからね。多少危険な橋は渡るわよ。イオスが城に残るには、これしかないんだから」

「最悪逃げれば良いんだぞ?」

「そしたらイオスはその後文官達がどうなったか心配するでしょう? フォス様は気まぐれな視察という名のお出かけには行くけど、王族として書類仕事をしているのはイオスだけなんだから」

イオスと過ごして、内部事情を知ったセーラは、怒りしかなかった。王族としての義務を果たしているのはイオスだけ。

フォスは、裏方の仕事は一切行っていない。皇帝も同様だ。

その分、イオスが王族として決裁が必要な全ての書類の処理を行なっていた。だから、イオスは文官には大人気。文官は平民出身者も多くフォスは仕事などイオスに任せれば良いと文官を相手にしない。唯一相手にするのは、地位の高い宰相だけ。宰相は、フォスに皇帝になるのが楽しみですね、などと言っているが、それはイオスが皇帝になりたがっていないから。イオスが、皇帝になりたいと願えば宰相は味方になってくれるだろう。

フォスは、社交会での人気は高く、貴族のほとんどがフォスを支持すると言っているが、仕事をしない事を知っている者は知っている。フォスを積極的に支持しているのは2割程で、残りは切り崩しが可能だとイオスは踏んでいた。

「そうだな……セーラと再開するまでは、どうでも良いと思っていたが、兄貴が皇帝になれば、無意味に人が死ぬ。やりたくはないが、本気で皇帝を目指す。セーラ、苦労かけるがよろしく頼む」

「任せて! 絶対にイオスを皇帝にしてみせるわ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

阿里
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...