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第十九話
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マリアの経歴を宰相が調査したが、あやしい所は見つからなかった。もともと住んでいた村の名前を知らない為、幼少期までは追えていないが、それはこの国ではよくある事だ。ミッドナイト商会で文字の読み書きを習うまで、自分の名前も書けなかったらしい。5年前から働いているのは間違いなく、働きぶりも何名かに確認したが、評価は高かった。他の男の影もない。
「イオス様、本当にマリア様を私の養子にしなくて良いのですか? マナーも問題ありませんし、商会で仕込まれた為か知識も豊富です。そこらの貴族よりも素晴らしいご令嬢ですぞ! 私の養子になれば、伴侶となれます。私の養子が嫌なら他の貴族に話をしてみますぞ!」
宰相は、何度もマリアを自分の養子にしないかと提案していたが、イオスにすげなく断られていた。
城に来たマリアは、オドオドした少女だった。だが、どことなくセーラに似ており、イオスが気に入ったのはセーラに似ているからかと噂になったものだった。平民出身の為、マナーなどはなっていなかったが、マナー講師をつけたらあっという間にマナーを習得した。マリアにマナーを教えたのは、宰相の娘だ。今はすっかり仲良くなり定期的に茶会をしている。
「くどい! オレはマリアを貴族の養女にする気はない!」
「今は私しかおりません。人払いもしてあります。ですから、どうか本音を教えて下さい。マリア様は平民です。このままではイオス様との間にお子が生まれても継承権がないのですぞ! 平民ではマリア様は妾にしかなれませぬ。結婚も出来ないのですぞ!」
「マリアが貴族になれば、兄貴に狙われる」
「それは……」
イオスは今まで、誰にも暗殺されかかっていた事は言っていない。だが、この反応から宰相はイオスの暗殺を知っていた事が分かった。予想通りだなとイオスは笑う。
「今はマリアが平民だから相手にされていないだけだ。脅威になると分かれば、マリアの命が危ない。オレもあと数ヶ月の命だろうから、兄貴が皇帝になったらマリアを城から逃がしてくれ」
「なっ……どういう事ですか?!」
「兄貴が皇帝になったら、オレを処刑するそうだぞ。オレだけじゃねぇ、兄貴を最優先しない奴はみんな処刑だそうだ。本人がオレに言ったんだら間違いねぇ。ま、宰相がオレを信じてくれるならだけどな」
「フォス様は、そこまで愚かでしたか……。イオス様、貴方様が皇帝になりたくないのは存じております。ですが、このままではこの国は地獄になります。お願いします。皇帝を目指しては頂けませんか?」
「……オレだって死にたくはない。マリアとの未来も欲しい。だが、オレは圧倒的に不利だ。表立って貴族を切り崩しに行けば、オレも宰相も危ない。それなら兄貴の事を受け入れて残り少ない人生を過ごすよ」
「伊達に宰相はしておりませぬ。イオス様が皇帝を目指す、そのお言葉だけ頂ければ、過半数の貴族を秘密裏に味方にしてみせましょう」
「兄貴を侮るな。兄貴は、セーラの国を滅ぼした張本人だぞ」
「なっ……」
宰相の顔は、真っ青だ。恐怖でカタカタと震えている。
「なんだ? 知らなかったのか? まぁ、オレも兄貴が自分から嬉しそうに教えてくれるまで知らなかったからなぁ。オレの侍従のフランツも、オレの部屋に来る使用人も兄貴の味方だからな。オレの近くに居る人間はほぼ信用出来ない。信用して良いのはマリアだけだ」
「かしこまりました。新皇帝の指名まであと4ヶ月しかありませんが、イオス様の味方を集めて参ります」
「危険だ、宰相が危ないぞ」
「危険は百も承知です。今まで申し訳ありませんでした」
イオスは、ニヤリと笑って言った。
「今まで、兄貴にオレの情報を流していた事か?」
「イオス様、本当にマリア様を私の養子にしなくて良いのですか? マナーも問題ありませんし、商会で仕込まれた為か知識も豊富です。そこらの貴族よりも素晴らしいご令嬢ですぞ! 私の養子になれば、伴侶となれます。私の養子が嫌なら他の貴族に話をしてみますぞ!」
宰相は、何度もマリアを自分の養子にしないかと提案していたが、イオスにすげなく断られていた。
城に来たマリアは、オドオドした少女だった。だが、どことなくセーラに似ており、イオスが気に入ったのはセーラに似ているからかと噂になったものだった。平民出身の為、マナーなどはなっていなかったが、マナー講師をつけたらあっという間にマナーを習得した。マリアにマナーを教えたのは、宰相の娘だ。今はすっかり仲良くなり定期的に茶会をしている。
「くどい! オレはマリアを貴族の養女にする気はない!」
「今は私しかおりません。人払いもしてあります。ですから、どうか本音を教えて下さい。マリア様は平民です。このままではイオス様との間にお子が生まれても継承権がないのですぞ! 平民ではマリア様は妾にしかなれませぬ。結婚も出来ないのですぞ!」
「マリアが貴族になれば、兄貴に狙われる」
「それは……」
イオスは今まで、誰にも暗殺されかかっていた事は言っていない。だが、この反応から宰相はイオスの暗殺を知っていた事が分かった。予想通りだなとイオスは笑う。
「今はマリアが平民だから相手にされていないだけだ。脅威になると分かれば、マリアの命が危ない。オレもあと数ヶ月の命だろうから、兄貴が皇帝になったらマリアを城から逃がしてくれ」
「なっ……どういう事ですか?!」
「兄貴が皇帝になったら、オレを処刑するそうだぞ。オレだけじゃねぇ、兄貴を最優先しない奴はみんな処刑だそうだ。本人がオレに言ったんだら間違いねぇ。ま、宰相がオレを信じてくれるならだけどな」
「フォス様は、そこまで愚かでしたか……。イオス様、貴方様が皇帝になりたくないのは存じております。ですが、このままではこの国は地獄になります。お願いします。皇帝を目指しては頂けませんか?」
「……オレだって死にたくはない。マリアとの未来も欲しい。だが、オレは圧倒的に不利だ。表立って貴族を切り崩しに行けば、オレも宰相も危ない。それなら兄貴の事を受け入れて残り少ない人生を過ごすよ」
「伊達に宰相はしておりませぬ。イオス様が皇帝を目指す、そのお言葉だけ頂ければ、過半数の貴族を秘密裏に味方にしてみせましょう」
「兄貴を侮るな。兄貴は、セーラの国を滅ぼした張本人だぞ」
「なっ……」
宰相の顔は、真っ青だ。恐怖でカタカタと震えている。
「なんだ? 知らなかったのか? まぁ、オレも兄貴が自分から嬉しそうに教えてくれるまで知らなかったからなぁ。オレの侍従のフランツも、オレの部屋に来る使用人も兄貴の味方だからな。オレの近くに居る人間はほぼ信用出来ない。信用して良いのはマリアだけだ」
「かしこまりました。新皇帝の指名まであと4ヶ月しかありませんが、イオス様の味方を集めて参ります」
「危険だ、宰相が危ないぞ」
「危険は百も承知です。今まで申し訳ありませんでした」
イオスは、ニヤリと笑って言った。
「今まで、兄貴にオレの情報を流していた事か?」
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