旦那様は、転生後は王子様でした

編端みどり

文字の大きさ
1 / 37

第一話


「よぉ、久しぶり」

あぁ、もう! あの笑い方は間違いなく旦那様だわ。

「生まれ変わっても、一緒になるって言ったよな?」

言いました! 言いましたわよ! だからここに来るのも嫌で仕方なかったのに……まさか王子様が旦那様とは思わなかったわ。

生まれ変わっても一緒になろうと愛する旦那様と誓ったものの、今世はお金はあるけどヤバい両親で、今日のお茶会で王子の婚約者にならなかったら街で見つけた可愛い女の子を替え玉にしてわたくしを捨てるって言ってたわ。あれは、捨てる気満々だったわよね。

そりゃあわたくしあんまり華はないわよ!
背だって低いし、華やかなドレスも似合わない!

でも、仕方ないでしょ?!

このヨーロッパ調の世界で、顔は前世の日本人のままなんだから!!!

髪や瞳は色が違うけど、他のパーツは全部以前のまま。すごく見覚えのある顔で安心するやら残念やら。

おかげで、両親からは全く可愛がられた記憶がない。一つ下の妹は、溺愛されてるけどね。

だから、家を継ぐのは妹らしいわ。わたくしは、15歳から2年通う貴族学校を卒業したら、追い出される予定よ。

だけど、どうせなら妹の為に王子を誘惑してこいって言われたわ。まぁ、出来る訳無いけどってバカにもされた。王家の命令で、婚約者の居ない12歳から15歳までは今日のお茶会は強制参加なんですって。行くしか選択肢が無いじゃない!

この世界、12歳の子どもでも働けるけど……わたくしみたいな世間知らずは間違いなく犯罪に巻き込まれるもの。せめて街に知り合いでも居れば良いけど、貴族の教育は休む間が無いのよね。街に行く暇なんてない。

しかも、貴族の嗜みだとか言う刺繍を妹の分までさせられるからまったく休みはないわ。ずっと働き詰めよ。無給だから、ブラック企業よりキツいわ。

妹は、刺繍入りのハンカチを渡して好感度をアップして……既に宰相の息子さんの婚約者に収まっている。

お姉様より先にお相手が決まるなんてお姉様に申し訳ないわとか言いながら、蔑んだ目をしていたのは忘れないわ。

わたくしにも何度かお見合いはあったけれど、みんな妹が良いと言うのよね。まぁ、確かに妹はお人形みたいで可愛いけどさ。

だから、公爵家の不細工な姉と天使な妹って事になってる。勝手に言ってろ!

正直、結婚はしたくないもの。今でも旦那様以外と結婚するなんて考えられない。だから、学校を卒業したら修道院にでも入ろうかと思っていた。

それなのに……なんで本日の主役の王子様は旦那様の顔をしてるの?!

旦那様が子どもだったらこんな顔よね。絶対旦那様に決まってる。あぁ、めちゃくちゃ可愛いわ。髪や瞳の色は違うけど、わたくしみたいに野暮ったくはないわね。とっても素敵だわ。さすが旦那様!

うっかり、見惚れていたわたくしは、目の前に旦那様が来るまで気が付かなかった。

「見つけた!」

真っ直ぐわたくしに向かって来たって事は、旦那様もわたくしの事覚えてるわよね。この状況、ものすごく注目を集めてるから逃げたいけど、あの目は逃げるな、動くなって言ってるわ。

ここで逃げたら、後が怖い……。旦那様はいつも優しいし、素敵な方なんだけど……わたくしの弱点を的確に突いてくるのよね。特に、夜は。

あの目は、逃がさないって言ってるもの。散々見てきたから分かる。

「僕の婚約者は、君だ」

周りの悲鳴が凄いわ。色んな人に敵意を向けられてる。もうヤダ! 逃げたい! 涙目で王子を見ると冒頭の言葉を仰いました。

「よぉ、久しぶり」

「しょ……初対面ですわ」

「今世ではな。生まれ変わっても一緒になるって言っただろ?」

初対面の筈のわたくしを抱きしめて、耳元でそんな事は仰らないで!

拒否出来る訳無いじゃないの!

真っ赤な顔でプルプル震えるわたくしは、そのまま王子に手を引かれ、会場を後にしました。

コレは完全に浮かれておりますわね。後で、じっくりお話し合いが必要ですわ。

あなたにおすすめの小説

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

始まりはよくある婚約破棄のように

喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」 学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。 ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。 第一章「婚約者編」 第二章「お見合い編(過去)」 第三章「結婚編」 第四章「出産・育児編」 第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~

緑谷めい
恋愛
 ドーラは金で買われたも同然の妻だった――  レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。 ※ 全10話完結予定

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!

【完結】恋の終焉~愛しさあまって憎さ1000倍~

つくも茄子
恋愛
五大侯爵家、ミネルヴァ・リゼ・ウォーカー侯爵令嬢は第二王子の婚約者候補。それと同時に、義兄とも婚約者候補の仲という複雑な環境に身を置いていた。 それも第二王子が恋に狂い「伯爵令嬢(恋人)を妻(正妃)に迎えたい」と言い出したせいで。 第二王子が恋を諦めるのが早いか。それとも臣籍降下するのが早いか。とにかく、選ばれた王子の婚約者候補の令嬢達にすれば迷惑極まりないものだった。 ミネルヴァは初恋の相手である義兄と結婚する事を夢見ていたというに、突然の王家からの横やりに怒り心頭。それでも臣下としてグッと堪えた。 そんな中での義兄の裏切り。 愛する女性がいる? その相手と結婚したい? 何を仰っているのでしょうか? 混乱するミネルヴァを置き去りに義兄はどんどん話を続ける。 「お義兄様、あなたは婿入りのための養子縁組ですよ」と言いたいのをグッと堪えたミネルヴァであった。義兄を許す?許さない?答えは一つ。

白い結婚のまま、旦那様は薔薇のような美人に夢中になりました

柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢リディアは、美貌で有名な侯爵レオンハルトに嫁いだ。 けれど結婚して二年、夫婦は一度も結ばれないまま――白い結婚だった。 それでも旦那様は優しかった。 冷たいわけではない。気づかいの言葉も、穏やかな笑顔もくれる。 だからリディアは、愛されてはいなくても、いつか少しは夫婦になれるのではないかと信じていた。 そんなある日、彼女は知ってしまう。 旦那様が薔薇の君と呼ばれる絶世の美女に心を奪われていることを。 彼が触れなかったのは私にだけだったのだと。 都合のいい奥方として、役に立っていたと悟る 静かに離縁を決意したリディアは、実家へ戻ったあと、女子学院で働き始める。 すると侯爵夫人時代には当たり前だった実務のすべてが、外では驚くほど必要とされていた。 感謝され、認められ、自分の足で立ち始めた彼女は、少しずつ見違えるほど美しくなっていく

禁断の関係かもしれないが、それが?

しゃーりん
恋愛
王太子カインロットにはラフィティという婚約者がいる。 公爵令嬢であるラフィティは可愛くて人気もあるのだが少し頭が悪く、カインロットはこのままラフィティと結婚していいものか、悩んでいた。 そんな時、ラフィティが自分の代わりに王太子妃の仕事をしてくれる人として連れて来たのが伯爵令嬢マリージュ。 カインロットはマリージュが自分の異母妹かもしれない令嬢だということを思い出す。 しかも初恋の女の子でもあり、マリージュを手に入れたいと思ったカインロットは自分の欲望のためにラフィティの頼みを受け入れる。 兄妹かもしれないが子供を生ませなければ問題ないだろう?というお話です。