旦那様は、転生後は王子様でした

編端みどり

文字の大きさ
4 / 37

第四話

話しているうちに泣けてきて、セドリックの胸で泣いてしまいました。もうメイクもグチャグチャです。王家のメイドさんが、ささっと直して下さいましたが、鏡がないのでどうなっているか分かりません。セドリックは、可愛いと言って下さいますけど、心配です。

「よし、マリーはもう家に帰らなくて良いよ」

「は?!」

ひたすら甘くわたくしを見つめていたセドリックですが、急に据わった目でそう言いました。
いくらなんでも、それは無茶ではないでしょうか?

「セドリック、それは無茶よ」

「どうして? マリーを大事にしない家にマリーを帰せる訳ないでしょ?」

「わたくし達はまだ婚約もしていないわ。いくら前世で夫婦でも今は単なる他人よ。王家が貴族の娘をいつまでも家に帰さない訳にいかないわ。セドリックの醜聞になるのよ」

今日城に泊まるのもギリギリだと思います。でも、わたくしも帰りたくありませんし、今日なら出会ったばかりで舞い上がったと可愛い噂で済みます。でも、そのまま家に帰さなければ悪い噂に変わるでしょう。

……うちの両親は、可愛い娘が帰ってこないなどと周りに泣きついて、王家から賠償をせしめるに決まっています。全く可愛がってもいないくせに、取れるところからは取ろうとするでしょう。

せめて、正式に婚約が成立して出入りする理由が出来ないとセドリックの迷惑になります。

「マリーは、僕と離れても平気なの?」

「平気じゃありませんわよ! でも、ちゃんとしないと後で難癖つけられるでしょう?! 以前もそうだったじゃありませんか!」

わたくしと、セドリックは前世ではお見合い結婚でした。お見合いならスムーズに結婚出来ると世間では思われておりますが、色々あってわたくし達の結婚は揉めました。

だけど、結局わたくし達は結婚して仲良く生涯を終えました。色々事情もあり、子どもには恵まれませんでしたが、近所でも仲のいいおしどり夫婦でした。両親も、兄弟も他界しておりましたのでわたくし達の死後は財産を寄付すると遺言を残しておりました。親戚には1円も渡したくなかったのです。あんな形で死ぬとは思いませんでしたが、依頼しておいた弁護士さんが、きちんと仕事をして下さっていると思いますので、今頃何ももらえないと文句を言っておられるでしょう。遺言書に、過去の所業を書いた手紙もつけてあり、それを読む事が遺言書公表の条件です。我が家は遺言書は親族みんなの前で公表する決まりですから、せいぜい大恥をかけばよろしいですわ。

あなたにおすすめの小説

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

始まりはよくある婚約破棄のように

喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」 学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。 ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。 第一章「婚約者編」 第二章「お見合い編(過去)」 第三章「結婚編」 第四章「出産・育児編」 第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

10年間の結婚生活を忘れました ~ドーラとレクス~

緑谷めい
恋愛
 ドーラは金で買われたも同然の妻だった――  レクスとの結婚が決まった際「ドーラ、すまない。本当にすまない。不甲斐ない父を許せとは言わん。だが、我が家を助けると思ってゼーマン伯爵家に嫁いでくれ。頼む。この通りだ」と自分に頭を下げた実父の姿を見て、ドーラは自分の人生を諦めた。齢17歳にしてだ。 ※ 全10話完結予定

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!

白い結婚のまま、旦那様は薔薇のような美人に夢中になりました

柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢リディアは、美貌で有名な侯爵レオンハルトに嫁いだ。 けれど結婚して二年、夫婦は一度も結ばれないまま――白い結婚だった。 それでも旦那様は優しかった。 冷たいわけではない。気づかいの言葉も、穏やかな笑顔もくれる。 だからリディアは、愛されてはいなくても、いつか少しは夫婦になれるのではないかと信じていた。 そんなある日、彼女は知ってしまう。 旦那様が薔薇の君と呼ばれる絶世の美女に心を奪われていることを。 彼が触れなかったのは私にだけだったのだと。 都合のいい奥方として、役に立っていたと悟る 静かに離縁を決意したリディアは、実家へ戻ったあと、女子学院で働き始める。 すると侯爵夫人時代には当たり前だった実務のすべてが、外では驚くほど必要とされていた。 感謝され、認められ、自分の足で立ち始めた彼女は、少しずつ見違えるほど美しくなっていく

【完結】恋の終焉~愛しさあまって憎さ1000倍~

つくも茄子
恋愛
五大侯爵家、ミネルヴァ・リゼ・ウォーカー侯爵令嬢は第二王子の婚約者候補。それと同時に、義兄とも婚約者候補の仲という複雑な環境に身を置いていた。 それも第二王子が恋に狂い「伯爵令嬢(恋人)を妻(正妃)に迎えたい」と言い出したせいで。 第二王子が恋を諦めるのが早いか。それとも臣籍降下するのが早いか。とにかく、選ばれた王子の婚約者候補の令嬢達にすれば迷惑極まりないものだった。 ミネルヴァは初恋の相手である義兄と結婚する事を夢見ていたというに、突然の王家からの横やりに怒り心頭。それでも臣下としてグッと堪えた。 そんな中での義兄の裏切り。 愛する女性がいる? その相手と結婚したい? 何を仰っているのでしょうか? 混乱するミネルヴァを置き去りに義兄はどんどん話を続ける。 「お義兄様、あなたは婿入りのための養子縁組ですよ」と言いたいのをグッと堪えたミネルヴァであった。義兄を許す?許さない?答えは一つ。

禁断の関係かもしれないが、それが?

しゃーりん
恋愛
王太子カインロットにはラフィティという婚約者がいる。 公爵令嬢であるラフィティは可愛くて人気もあるのだが少し頭が悪く、カインロットはこのままラフィティと結婚していいものか、悩んでいた。 そんな時、ラフィティが自分の代わりに王太子妃の仕事をしてくれる人として連れて来たのが伯爵令嬢マリージュ。 カインロットはマリージュが自分の異母妹かもしれない令嬢だということを思い出す。 しかも初恋の女の子でもあり、マリージュを手に入れたいと思ったカインロットは自分の欲望のためにラフィティの頼みを受け入れる。 兄妹かもしれないが子供を生ませなければ問題ないだろう?というお話です。