旦那様は、転生後は王子様でした

編端みどり

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第十話

「何故?! 何故私と縁を切る事になっているのですか?! こんなのおかしい! 横暴だ!!!」

「公爵、私に虚偽を申した場合の罰は知っておるな?」

「……は、もちろん存じております。降格させられると……」

「私に虚偽を申したのだから、其方は降格じゃ。内容も悪質で、反省の素振りもない事から男爵に降格とする」

「私が男爵などあり得ない! 私は国王陛下に嘘を申した事などありませぬ! 誤解です! 王子の妃になる女を大事に育てたのは私ですぞ! 横暴だ! 厳重に抗議する!!!」

「マリーの洗礼をしたのは、僕だよ」

セドリックが冷たく言うと、父はようやく気が付いたかのように顔を青くしました。書類の日付を見て、ようやく気がついたようです。

洗礼を受ける時に付き添いをした者が居れば記載されます。そこにはセドリックの名があり、父の名はありません。

「まさか洗礼をしてないなんて思わなくてね。普通婚約を結ぶ時は洗礼の書類を揃えるでしょ? ソレル公爵家、ああ、ソレル男爵家は違うんだってね」

「書類は……王子の偽造では……」

「やだなぁ、あなたと一緒にしないでくれる? 愛しいマリーと婚約を結ぶのに、瑕疵となる事をする訳ないでしょう? 僕ね、とっても怒ってるんだ。書類を確認しろって言ったよね。きちんとあなたは書類を確認したよねぇ?」

「間違いなく、書類を読んだと聞きましたぞ。洗礼を受けていない子を王子の婚約者候補を選ぶ茶会に連れてくるなど大罪ですからな。きっと、反省されて娘の養育権を手放したのでしょう」

わたくしが洗礼を受けていないと聞いていちばんお怒りになっていたのは神殿長でした。神殿長は、淡々と父を追い詰めます。わたくしを睨んでも逆効果ですわ。やっと父と縁が切れてホッとしました。

「そっか! さすがだね! 反省してくれたんだ! 父上、男爵は反省しているそうですよ!」

「……ふむ、それならば今後一切マリー嬢に近寄らない事を条件に、伯爵への降格に留めてやろう。当然、ソレル伯爵家の関係者は全員マリー嬢に近寄る事を禁じる。マリー嬢、構わぬか?」

父が、わたくしを希望の光のような顔で見つめてきます。

「マリー、マリー! 私はマリーを大事にしていただろう? もう会えないなんて嫌だよ。マリーからも、誤解だと言ってくれ」

「そうですね、国王陛下、セドリック様、誤解です」

父が、ニヤッと笑いました。わたくしが父を庇うと思っているようです。あいにくですが、そんな気はありませんわ。

「父だけでなく、母も妹もわたくしを虐待しておりました。父からは何度も殴られましたわ。今も身体のあちこちに、アザがありますの」

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