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第十一話
「なっ! マリーそんなわけないだろう!」
「ふむ、親子での話し合いが必要だな。そちらの別室を貸すからマリー嬢とソレル伯爵で話してくると良い」
「父上、マリーを危険にさらしたくありません」
「問題ない、あの部屋は懺悔室だ。ガラスで隔ててあるから暴力はできない」
「私は問題ありませんわ。セドリック様、心配してくださってありがとうございます」
昨日まで普通に殴られてましたし、殴られないなら罵倒されるくらい問題ありません。それに、国王陛下の表情を見る限り父は終わりでしょう。
どうせなら、わたくしを思いっきり罵倒して証拠を押さえて頂ければいいわ。
懺悔室は、父の入ってきた扉のすぐ上に覗き窓がありました。わたくしの居る部屋にはありません。なるほど、あの窓からやりとりをご覧になるのですね。
謁見室にいたのは、国王陛下と王妃様、セドリックにセドリックの弟君と妹君。王家の方は全員揃っています。それから、神殿長ですね。
これだけの人が見ているなら父が何かしてもすぐ助けてもらえると思います。
「では、親子でゆっくり話すと良い。マリー嬢の部屋の会話は聞こえないから安心してくれ」
そう言って国王陛下は部屋を出られました。そのとたん、父はわたくしを睨みつけて怒鳴ります。
「おい、はやく国王陛下に誤解だと言え。お前はうちの奴隷だ。奴隷が主人に逆らうな。まったく、王子をひっかけたのは奴隷にしてはよくやったが、家から逃げようなどと考えるな。どうせ王子にもすぐ飽きられる。前世がなんだ。お前は一生うちで飼い殺しだ。まぁ、王子に飽きられたら慰謝料をせしめてやるよ。お前は俺の命令に逆らうな」
「お父様、わたくしを洗礼に連れて行かなかったのはどうして? それに、どうしてそんなにわたくしを嫌うの?」
ひとまず、一番気になる事を聞きましょう。
「奴隷に洗礼などいらん。お前は私達に似ていないし可愛くないからな。貴族としては欠陥品だ。美しい平民の子を拾ったから、その子をお前として育てて、お前は家で一生俺の仕事をさせようと思っていたんだ。そうすれば、マリアベルは幸せに暮らせるからな。可愛いマリアベルに過酷な領主の仕事などさせるわけないだろう」
「マリアベルには婚約者がいます。いずれは伴侶となりふたりで領地運営をするでしょう。わたくしが陰で仕事をしないといけない理由が分かりません。今までは、食事抜きと言われるから仕方なく仕事していましたけど」
「ちっ……躾が足りなかったか。今後は仕事が終わるまで食事は与えん、地下牢で仕事しろ。マリアベルに苦労をかけるわけないだろう。それに、アイツは次期宰相だ。マリアベルが領地のすべての仕事を出来るほど頭がいいから問題なく宰相を継げるからと婿養子になる話に同意したんだ。マリアベルがアイツがいいと言ったからな。飲める条件はすべて飲んだんだ」
「無茶苦茶ですわ。わたくしとソレル伯爵の縁はもう切れています。サインしたのは貴方でしょう?」
「だからさっさと撤回しろ。洗礼はお前が泣いて拒否したことにしろ」
「嫌です」
「なら食事は抜きで地下牢だ」
「もうわたくしはあの家に帰りません。妹から借りたドレスは帰ってきたでしょう? 返却しないといけないものはないはずよ。あの家に未練はありません。わたくしの味方なんていませんでしたものね。可愛い妹と、どうぞお幸せに」
「ふざけるな。お前は俺の所有物だ。わざわざ家庭教師もつけて学ばせていただろう。お前の教育費は今までで金貨500枚はかかっているんだ。ちゃんと生涯俺に仕えろ。王子をひっかけたんだから俺に利益をもたらせ」
「わたくしを捨てようとしたくせに都合がいいことを言いますわね」
「ふん、お前は生意気だからな。何度か見合いをして自分が不細工だと自覚していだろう。もっと心が折れて俺の言う事だけ聞くようにしたかったのになかなか思い通りにならん。だから王子のパーティにでも行って馬鹿にされて帰ってくると思っていたのに、まさかお前が転生者とはな。だから、私にも妻にも似ていないし可愛くなかったのか」
「似てないから、わたくしに何をしてもいいと思いましたの?」
「ああ、そうだ。まぁ、奴隷の分際でよくやったと褒めてやる。だから、うちと縁を切るなどといったふざけた契約は破棄させろ。王子はお前にぞっこんのようだからな。お前が言えば了承するだろう」
「するわけないでしょ、こんな毒親こちらから願い下げよ」
「毒親……? なんだそれは?」
「毒となる親、貴方みたいなクズの事よ。母上もわたくをヒステリックに殴るし、皆に自慢する手芸品は全部わたくしに作らせるし。マリアベルも同じよ」
「当たり前だ、それに、マリアベルなどと呼び捨てにするな。マリーは、私と妻、マリアベルの奴隷だ」
「違います」
「なんだと! オレに逆らうな!」
父がキレてわたくしに向かってこようとします。その前にドアが開いて、父は取り押さえられました。
「ソレル公爵の爵位は、1代限りの男爵とし、次に問題を起こしたら爵位は返上してもらう。これは決定事項だ。すぐに通達しろ。この会話内容と共にな」
「ふむ、親子での話し合いが必要だな。そちらの別室を貸すからマリー嬢とソレル伯爵で話してくると良い」
「父上、マリーを危険にさらしたくありません」
「問題ない、あの部屋は懺悔室だ。ガラスで隔ててあるから暴力はできない」
「私は問題ありませんわ。セドリック様、心配してくださってありがとうございます」
昨日まで普通に殴られてましたし、殴られないなら罵倒されるくらい問題ありません。それに、国王陛下の表情を見る限り父は終わりでしょう。
どうせなら、わたくしを思いっきり罵倒して証拠を押さえて頂ければいいわ。
懺悔室は、父の入ってきた扉のすぐ上に覗き窓がありました。わたくしの居る部屋にはありません。なるほど、あの窓からやりとりをご覧になるのですね。
謁見室にいたのは、国王陛下と王妃様、セドリックにセドリックの弟君と妹君。王家の方は全員揃っています。それから、神殿長ですね。
これだけの人が見ているなら父が何かしてもすぐ助けてもらえると思います。
「では、親子でゆっくり話すと良い。マリー嬢の部屋の会話は聞こえないから安心してくれ」
そう言って国王陛下は部屋を出られました。そのとたん、父はわたくしを睨みつけて怒鳴ります。
「おい、はやく国王陛下に誤解だと言え。お前はうちの奴隷だ。奴隷が主人に逆らうな。まったく、王子をひっかけたのは奴隷にしてはよくやったが、家から逃げようなどと考えるな。どうせ王子にもすぐ飽きられる。前世がなんだ。お前は一生うちで飼い殺しだ。まぁ、王子に飽きられたら慰謝料をせしめてやるよ。お前は俺の命令に逆らうな」
「お父様、わたくしを洗礼に連れて行かなかったのはどうして? それに、どうしてそんなにわたくしを嫌うの?」
ひとまず、一番気になる事を聞きましょう。
「奴隷に洗礼などいらん。お前は私達に似ていないし可愛くないからな。貴族としては欠陥品だ。美しい平民の子を拾ったから、その子をお前として育てて、お前は家で一生俺の仕事をさせようと思っていたんだ。そうすれば、マリアベルは幸せに暮らせるからな。可愛いマリアベルに過酷な領主の仕事などさせるわけないだろう」
「マリアベルには婚約者がいます。いずれは伴侶となりふたりで領地運営をするでしょう。わたくしが陰で仕事をしないといけない理由が分かりません。今までは、食事抜きと言われるから仕方なく仕事していましたけど」
「ちっ……躾が足りなかったか。今後は仕事が終わるまで食事は与えん、地下牢で仕事しろ。マリアベルに苦労をかけるわけないだろう。それに、アイツは次期宰相だ。マリアベルが領地のすべての仕事を出来るほど頭がいいから問題なく宰相を継げるからと婿養子になる話に同意したんだ。マリアベルがアイツがいいと言ったからな。飲める条件はすべて飲んだんだ」
「無茶苦茶ですわ。わたくしとソレル伯爵の縁はもう切れています。サインしたのは貴方でしょう?」
「だからさっさと撤回しろ。洗礼はお前が泣いて拒否したことにしろ」
「嫌です」
「なら食事は抜きで地下牢だ」
「もうわたくしはあの家に帰りません。妹から借りたドレスは帰ってきたでしょう? 返却しないといけないものはないはずよ。あの家に未練はありません。わたくしの味方なんていませんでしたものね。可愛い妹と、どうぞお幸せに」
「ふざけるな。お前は俺の所有物だ。わざわざ家庭教師もつけて学ばせていただろう。お前の教育費は今までで金貨500枚はかかっているんだ。ちゃんと生涯俺に仕えろ。王子をひっかけたんだから俺に利益をもたらせ」
「わたくしを捨てようとしたくせに都合がいいことを言いますわね」
「ふん、お前は生意気だからな。何度か見合いをして自分が不細工だと自覚していだろう。もっと心が折れて俺の言う事だけ聞くようにしたかったのになかなか思い通りにならん。だから王子のパーティにでも行って馬鹿にされて帰ってくると思っていたのに、まさかお前が転生者とはな。だから、私にも妻にも似ていないし可愛くなかったのか」
「似てないから、わたくしに何をしてもいいと思いましたの?」
「ああ、そうだ。まぁ、奴隷の分際でよくやったと褒めてやる。だから、うちと縁を切るなどといったふざけた契約は破棄させろ。王子はお前にぞっこんのようだからな。お前が言えば了承するだろう」
「するわけないでしょ、こんな毒親こちらから願い下げよ」
「毒親……? なんだそれは?」
「毒となる親、貴方みたいなクズの事よ。母上もわたくをヒステリックに殴るし、皆に自慢する手芸品は全部わたくしに作らせるし。マリアベルも同じよ」
「当たり前だ、それに、マリアベルなどと呼び捨てにするな。マリーは、私と妻、マリアベルの奴隷だ」
「違います」
「なんだと! オレに逆らうな!」
父がキレてわたくしに向かってこようとします。その前にドアが開いて、父は取り押さえられました。
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