旦那様は、転生後は王子様でした

編端みどり

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第二十三話

「国が、めちゃくちゃ……ですか?」

「はい! 悪役令嬢は、小さな頃から親に虐待されていて全てを恨んでるんです。それで、家を出たいから婚約者を探してるんですけど、悪役令嬢が婚約者に狙ってる人が、私が選ぶ攻略対象なんです」

「ゲームにライバル役の方がいらっしゃって、主人公の行動によってライバル役の方の行動も変わるということですか?」

「そうです! マリー様大正解です!」

「それでどうして国がめちゃくちゃになるんでしょうか?」

まだ理解できていませんが、国がめちゃくちゃになるのは看過できません。きちんと聞き取りをして、セドリック達と対策を立てなくては。

わたくしが否定せずに、話を聞く態度を見せた事でクリスティーナ様は安心されたご様子で、どんどん話をして下さいました。例え意味が分からない話でも、まずは言いたい事を話してもらいます。クリスティーナ様が心を閉ざしてしまわれる事だけは避けねばなりません。

「マリー様、私の話を信じてくれるんですか?」

クリスティーナ様は、びっくりした顔をなさっています。今までは信じて貰えなかったのか、言わなかったのか、どちらなのでしょうか?

「クリスティーナ様が嘘を仰ってるようには見えませんもの。他の方にこの話をした事はありますか?」

「両親に話したら、庶民が学園に行くなんて夢みたいな事言うなって怒られました。親友だと思っていた子にイベントの発生に付き添って貰ったら、全部私の言う通りの事が起きるなんて気持ち悪いって絶交されました。それからは誰にも言いません。でも、洗礼を受けて転生者だって認められたら、急に親が優しくなりました。転生者の親だからって補助が出たらしくて。でも……もう親を親と思えなくて。悪役令嬢の子も、こんな気持ちだったのかな。でも……悪役令嬢は可哀想なんだけど……彼女は破滅して貰わないと国が壊れちゃうんです」

「悪役令嬢の名前は分かりますか?」

「分かりません。公爵令嬢って事だけは分かってます。長子の筈です。妹ばかり可愛がる両親を恨んでるんです」

……なんだか、身につまされるんですけど……。

「公爵家、長子の女性、妹が居る。他に情報はありますか?」

「んー……親も結構悪い事してた筈です。だから倫理観が壊れてて、敵国に国の情報全部バラしちゃうんです。あと、姉妹2人だけだったと思います。長女なのに家を継げないから、公爵家より立場が上になりそうな家の男ばっかり狙ってるって設定だったんで。悪役令嬢、すっごく頭が良いんですよ! 学園に敵国のスパイが潜んでるんですけど、すぐにそれを見抜いて利用するんです。で、自分の望みを叶える為にどんどん情報漏洩しちゃうんです。王子が攻略対象なら、王族の情報を、宰相の息子なら国の機密情報を、騎士団長の息子なら軍事情報をバンバン漏洩させます。私が対象を攻略出来れば、ギリギリでバレて情報漏洩せずに無事なんですけど、攻略失敗したら国は敵国に戦争を仕掛けられて滅びます」

「敵国のスパイがどなたかは分かりますか?」

「分かりません。ゲームではスパイは悪役令嬢だけが気がついたとしか描写されないので。悪役令嬢は、ものすごい美人です。顔を見ればすぐ分かります!」

「今までお会いした事はありますか?」

「ないです!」

「では、まずは悪役令嬢となる女性を探しましょう。……1人、心当たりが居ます」

「ホントですか?! 凄いです! さすがマリー様」

「他にも、わかる限りの事を教えて下さい。クリスティーナ様は、攻略対象と呼ばれる方と恋愛をしたいんですか?」

「しなくて良いなら、したくないです。好きな人くらい自分で決めたいですし。でも、私が動かないと戦争になるのは嫌だから、諦めてたところはあります」

「庶民として生きていたクリスティーナ様に、国の問題を押し付けるなどありえません。きちんと国王陛下と対策を取り、まずはスパイを炙り出します。クリスティーナ様、貴重な情報をありがとうございます。またご相談すると思いますが、よろしくお願いします」

「ありがとうございます……話を……ちゃんと聞いてくれたのはマリー様が初めてです……転生者と分かった時も……神殿の人は話を聞いてくれたけど、信じてくれなかった。ここは現実だっていうだけで……分かってます、これだけ生きてれば現実だって……でも、イベントは起きるし……私……どうして良いか分からなくて……」

クリスティーナ様は、そう言って泣き出してしまわれました。わたくしも最初は信じておりませんでしたから、胸がチクリと痛みます。今後は彼女の信頼を裏切らないように努めましょう。

すぐにセドリックに会い、今後の話し合いを進めましょう。悪役令嬢は、きっと……。

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