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第二十七話
あれから、セドリックの動きは早かったです。
クリスティーナ様から聞き取りを行い、彼女の知る情報をすべて洗い出しました。
学園の入学までの期間は、クリスティーナ様を城に住まわせて常に護衛という名の監視を行います。クリスティーナ様は、イベントの発生が怖いらしく、監視もあっさり受け入れて下さいました。
「ごめんね、兄上の暴走に付き合うのは疲れただろう?」
「は、はい……いや、大丈夫です。セドリック様のおかげでイベントの発生が起きないから嬉しいんです。ドラマみたいにみんなが動くからイベントが本当に怖かったんです。まさか、ゲームと服装が違うだけでみなさんと普通にお話できるとは思いませんでした」
ミシェル様は、執事服を着てクリスティーナ様とお話しています。普段の王子の服装でクリスティーナ様とお会いした時は、甘く口説くだけでしたが、服装を変えれば普通に会話ができています。
発見したのはセドリックです。最初は、ミシェル様も女装させようとしたのですが、流石に王子が2人も女装するのはどうかと国王陛下が止めました。ミシェル様も、絶対イヤだと言ってセドリックと大喧嘩になりました。
喧嘩を止めたシューグレンを見て、セドリックがミシェル様に執事服を着せることを思いついたのです。執事服なら構わないとミシェル様も受け入れて、クリスティーナ様とお会いしました。ミシェル様が普通に話す様子を見て、クリスティーナ様が大泣きしたのも今ではいい思い出です。
「なるほど、服装を変えるだけでいいのか」
そう言ってセドリックは様々な格好でクリスティーナ様とお会いしました。結果、セドリックがおかしくなる服は3種類の普段着だと分かりました。前世では、ザ・王子様といった格好ですが、正装ではありません。ミシェル様も同じでした。
「王子様は、服装が3種類ありました。他の2人は、2種類しかなかったです」
クリスティーナ様の記憶を頼りに、残りの攻略対象と言われるお2人の衣装も特定されました。
「いいか、この服は私が指示する時以外は着るな。似たデザインの服を着ることも禁じる」
「「はっ」」
宰相のご子息であるローラン様と、騎士団長のご子息であるダニエル様は最初は半信半疑でしたが、一度クリスティーナ様とお会いしたら信じていただけました。
自分の意志に反して女性を口説くのはとても不快だったそうです。
「すごい……誰も信じてくれなかったのに、マリー様にお話したらみんな信じてくれた……それに、イベントも起きないし……嬉しい……」
「クリスティーナ様が勇気を出して教えてくれたからですわ」
「マリー様は転生者だし、お優しい方だから何でも相談しろって言われたんです。でも、同じ事を言った神父様は私の話を信じてくれなかった。前世があっても、ここは現実だって諭すだけ……だから、最後にしようと思っていました。マリー様が信じてくれなかったら、もうどうしていいか分からなかった。本当にありがとうございます」
「神父には今回のようなことがあるのだから、自分の常識だけで判断するなと言ってある。次はない」
「え……そんな厳しくしなくても……」
「クリスティーナ様が勇気を出してわたくしにお話して下さったから対処できましたが、神父様に言われて諦めてしまわれたらどうしようもありませんでした。厳しくするのは当然です」
「そっか、私の知ってる事って結構重要な事なんですね」
「そうだよ。ここは平和な前世とは違う。少し間違うだけで、大勢の人が死ぬ。でも、貴方のおかげでそうはならない。スパイは既にあぶり出してある。学園に入ったら貴方の言っていたイベントとやらを無理やり発生させ、スパイを全て逮捕する。もちろん、イベントは目撃されないようにするし、目撃者は特定してすぐ口止めする。国は救われるし、貴方は興味のない男と恋仲になる必要はない」
「ありがとう、ございます。お優しいんですね。初対面は、イベントだったし、次に会ったら悪役令嬢になってるし、ずっと怖い人かと思ってました」
「……クリスティーナ様?」
まさか……セドリックを好きになったなんて事はありませんわよね。前世のように、優しく排除しないといけないかしら。
「待って! マリー様! 誤解です! 怖いです! 私、マリー様に見捨てられたら耐えられません! マリー様があんなに大事にしてるセドリック様だけはない! ないです!」
「兄上、ないと言われてますよ」
「僕にはマリーが居れば良い。だが普通にしていればクリスティーナ嬢は学園で人気が出そうだな」
「セドリック?」
「おや? ヤキモチかい? マリー」
「ええそうよ」
そっぽを向くと、セドリックがキスをしてくれました。最近忙しかったので、なんだか久しぶりな気がします。
「クリスティーナ嬢、ここに居ると馬に蹴られそうだから場所を変えよう」
「あれ? セドリック様も転生者なんですか?」
「いや、違う。だが、兄上から何度も教えられた。他人の恋路を邪魔する者に対して使われる言葉なのだろう? 兄上の邪魔をしたら、馬に蹴られるくらいじゃ済まない」
クリスティーナ様から聞き取りを行い、彼女の知る情報をすべて洗い出しました。
学園の入学までの期間は、クリスティーナ様を城に住まわせて常に護衛という名の監視を行います。クリスティーナ様は、イベントの発生が怖いらしく、監視もあっさり受け入れて下さいました。
「ごめんね、兄上の暴走に付き合うのは疲れただろう?」
「は、はい……いや、大丈夫です。セドリック様のおかげでイベントの発生が起きないから嬉しいんです。ドラマみたいにみんなが動くからイベントが本当に怖かったんです。まさか、ゲームと服装が違うだけでみなさんと普通にお話できるとは思いませんでした」
ミシェル様は、執事服を着てクリスティーナ様とお話しています。普段の王子の服装でクリスティーナ様とお会いした時は、甘く口説くだけでしたが、服装を変えれば普通に会話ができています。
発見したのはセドリックです。最初は、ミシェル様も女装させようとしたのですが、流石に王子が2人も女装するのはどうかと国王陛下が止めました。ミシェル様も、絶対イヤだと言ってセドリックと大喧嘩になりました。
喧嘩を止めたシューグレンを見て、セドリックがミシェル様に執事服を着せることを思いついたのです。執事服なら構わないとミシェル様も受け入れて、クリスティーナ様とお会いしました。ミシェル様が普通に話す様子を見て、クリスティーナ様が大泣きしたのも今ではいい思い出です。
「なるほど、服装を変えるだけでいいのか」
そう言ってセドリックは様々な格好でクリスティーナ様とお会いしました。結果、セドリックがおかしくなる服は3種類の普段着だと分かりました。前世では、ザ・王子様といった格好ですが、正装ではありません。ミシェル様も同じでした。
「王子様は、服装が3種類ありました。他の2人は、2種類しかなかったです」
クリスティーナ様の記憶を頼りに、残りの攻略対象と言われるお2人の衣装も特定されました。
「いいか、この服は私が指示する時以外は着るな。似たデザインの服を着ることも禁じる」
「「はっ」」
宰相のご子息であるローラン様と、騎士団長のご子息であるダニエル様は最初は半信半疑でしたが、一度クリスティーナ様とお会いしたら信じていただけました。
自分の意志に反して女性を口説くのはとても不快だったそうです。
「すごい……誰も信じてくれなかったのに、マリー様にお話したらみんな信じてくれた……それに、イベントも起きないし……嬉しい……」
「クリスティーナ様が勇気を出して教えてくれたからですわ」
「マリー様は転生者だし、お優しい方だから何でも相談しろって言われたんです。でも、同じ事を言った神父様は私の話を信じてくれなかった。前世があっても、ここは現実だって諭すだけ……だから、最後にしようと思っていました。マリー様が信じてくれなかったら、もうどうしていいか分からなかった。本当にありがとうございます」
「神父には今回のようなことがあるのだから、自分の常識だけで判断するなと言ってある。次はない」
「え……そんな厳しくしなくても……」
「クリスティーナ様が勇気を出してわたくしにお話して下さったから対処できましたが、神父様に言われて諦めてしまわれたらどうしようもありませんでした。厳しくするのは当然です」
「そっか、私の知ってる事って結構重要な事なんですね」
「そうだよ。ここは平和な前世とは違う。少し間違うだけで、大勢の人が死ぬ。でも、貴方のおかげでそうはならない。スパイは既にあぶり出してある。学園に入ったら貴方の言っていたイベントとやらを無理やり発生させ、スパイを全て逮捕する。もちろん、イベントは目撃されないようにするし、目撃者は特定してすぐ口止めする。国は救われるし、貴方は興味のない男と恋仲になる必要はない」
「ありがとう、ございます。お優しいんですね。初対面は、イベントだったし、次に会ったら悪役令嬢になってるし、ずっと怖い人かと思ってました」
「……クリスティーナ様?」
まさか……セドリックを好きになったなんて事はありませんわよね。前世のように、優しく排除しないといけないかしら。
「待って! マリー様! 誤解です! 怖いです! 私、マリー様に見捨てられたら耐えられません! マリー様があんなに大事にしてるセドリック様だけはない! ないです!」
「兄上、ないと言われてますよ」
「僕にはマリーが居れば良い。だが普通にしていればクリスティーナ嬢は学園で人気が出そうだな」
「セドリック?」
「おや? ヤキモチかい? マリー」
「ええそうよ」
そっぽを向くと、セドリックがキスをしてくれました。最近忙しかったので、なんだか久しぶりな気がします。
「クリスティーナ嬢、ここに居ると馬に蹴られそうだから場所を変えよう」
「あれ? セドリック様も転生者なんですか?」
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