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第三十話
「そうか……全く伝わっていないのか」
「ええそうよ」
「それは困ったな。どうするセドリック」
「どうするって……どうすりゃいいの?! 兄上はどうやって姉上を口説いたのさ?!」
「お見合いだったからな」
「そうね」
「ああもう、当てにならないよ! どうしよう!」
「頑張れ」
「頑張ってとしか言えないわ。ああそうだ、クリスティーナ様に王妃は厳しいかもしれないわ。だって、前世が山下さんよ?」
「ああ、なんか似てると思ってたけど、やっぱり彼女だったんだ。そうだな。いい子ではあるし、優秀だが王妃には向かないな」
「どういう事?!」
「彼女は優しすぎるのよ」
「前世でも顧客の評判は良かったんだが、厳しい事を言うのが苦手でな……麻里と組ませてからは実力を発揮していたんだけど、それまで評価は底辺だった」
「そうね、実力はあるんだけど……裏方タイプなのよ。表に出る事の多い王妃は物凄いストレスだと思うわ」
「……兄上ぇ」
「分かってる。ミシェルの恋がちゃんと実るなら、国王になるのは僕だろう。マリー、苦労をかけるけど良いかな?」
「元々覚悟は出来ていたわ。どちらでも構わないから、兄弟で決めてちょうだい。セドリックと一緒に居られるなら、王妃でもなんでもやるわ。王妃教育も、順調の筈でしょう?」
「マリー……ありがとう」
「姉さん、ごめん」
「気にしないで。それよりも、どうやってクリスティーナ様を口説くか考えてちょうだい。彼女は手強いわ。前世でも……ねぇ」
「クリスティーナは、恋人とか居たの?」
「うちの会社に在籍している間はずっとフリーだった」
「そうね……何度か彼女にアプローチした社員も居たけど、全員玉砕していたわ」
「なんで?! そんなに理想が高いの?! クリスティーナの好きなタイプは分かる?!」
「「二次元のヒーロー」」
「は? 二次元って何?」
「二次元って言うのは、要は絵よ。わたくし達の前世では、絵が動いて喋ったりするアニメとか、物語を体験するゲームがあったの。今回対策してるのも、ゲームよ」
「アドベンチャーブックみたいなものだって兄上が言うから、そう思ってたけど、実際はもっと違うの?」
「すまん、説明しづらくてこの世界のあるもので説明したんだ」
「こんな感じで、絵が動いたり、絵を中心に物語を表現するの。物語の中だから、完璧な人が多いのよ。主人公のピンチを颯爽と救ったり、現実じゃありえないくらい優しかったり、頭が良かったり、強かったり。そういう男性をヒーローと呼んだりするの。要は英雄ね。クリスティーナ様は、そういった物語やゲームに出てくるヒーローがお好きだったの」
そう言って、軽く絵を描いてミシェル様に見せます。わたくしの絵は写実的なので漫画とは違いますが、イメージは伝わるでしょう。
「それじゃあ……僕はクリスティーナの恋愛対象外って事……?」
「諦めるのは早いぞ。ミシェルなら対象になるかもしれん」
「ど、どうすればいいのさ?!」
「とりあえずミシェルを意識してもらおう。しばらくは、彼女の言うシナリオ通り演じる時以外はクリスティーナ嬢に関わるな」
「なんで?! タダでさえ相手にされてないんだよ?!」
「だからだよ。まずは意識してもらわないと始まらないだろ。幸い、この国には彼女の好きなゲームやアニメはない。そして、ミシェルは彼女の好きだったゲームの登場人物に瓜二つだ。僕は見た目が違うし、他の2人は既に婚約者が居るから彼女の恋愛対象になることはない」
「婚約者が居ても惹かれるとかは……ない? だって前世で好きだったんでしょ?!」
「ありえないと思うわ。クリスティーナ様も、前世の山下さんも倫理観に外れたことは大嫌いだもの。でも、セドリックの作戦は良いと思うんだけど、ちゃんとフォローしないと彼女はあっさり身を引くわよ」
「そうか……マリー、悪いけどフォローを頼む」
「任せて。ミシェル様に嫌われたと勘違いされないように、会う時は今以上に親しくして頂戴。邪魔をする令嬢は居なくなったけど、新入生は分からないから、しばらくは警戒が必要よ」
「分かった。休みが明ければ2年生だしね。明日は城に帰るだろう? 母上に会うのが怖い……」
「頑張るしかない。それからマリーの妹が入学してくる。マークはするけど、マリーは関わらないで」
「大丈夫よ。わたくしから話しかける事はないわ。貴族の殆どは事情を知っているし……クリスティーナ様にも警戒するように言っておいたから。クリスティーナ様は可愛らしいし、元平民だと隠していないから、ターゲットになったら困るもの。わたくしにはさすがに近寄らないと思うわよ。そこまでお馬鹿ではないと……思うけど……」
「甘いね。まぁでも大丈夫。マリーに接触した瞬間に退学だと通達してあるから」
「兄上……抜かりがなさ過ぎて怖いんだけど?」
「ミシェルもクリスティーナ嬢を守りたいならこれくらいは出来るようになれ」
「ええそうよ」
「それは困ったな。どうするセドリック」
「どうするって……どうすりゃいいの?! 兄上はどうやって姉上を口説いたのさ?!」
「お見合いだったからな」
「そうね」
「ああもう、当てにならないよ! どうしよう!」
「頑張れ」
「頑張ってとしか言えないわ。ああそうだ、クリスティーナ様に王妃は厳しいかもしれないわ。だって、前世が山下さんよ?」
「ああ、なんか似てると思ってたけど、やっぱり彼女だったんだ。そうだな。いい子ではあるし、優秀だが王妃には向かないな」
「どういう事?!」
「彼女は優しすぎるのよ」
「前世でも顧客の評判は良かったんだが、厳しい事を言うのが苦手でな……麻里と組ませてからは実力を発揮していたんだけど、それまで評価は底辺だった」
「そうね、実力はあるんだけど……裏方タイプなのよ。表に出る事の多い王妃は物凄いストレスだと思うわ」
「……兄上ぇ」
「分かってる。ミシェルの恋がちゃんと実るなら、国王になるのは僕だろう。マリー、苦労をかけるけど良いかな?」
「元々覚悟は出来ていたわ。どちらでも構わないから、兄弟で決めてちょうだい。セドリックと一緒に居られるなら、王妃でもなんでもやるわ。王妃教育も、順調の筈でしょう?」
「マリー……ありがとう」
「姉さん、ごめん」
「気にしないで。それよりも、どうやってクリスティーナ様を口説くか考えてちょうだい。彼女は手強いわ。前世でも……ねぇ」
「クリスティーナは、恋人とか居たの?」
「うちの会社に在籍している間はずっとフリーだった」
「そうね……何度か彼女にアプローチした社員も居たけど、全員玉砕していたわ」
「なんで?! そんなに理想が高いの?! クリスティーナの好きなタイプは分かる?!」
「「二次元のヒーロー」」
「は? 二次元って何?」
「二次元って言うのは、要は絵よ。わたくし達の前世では、絵が動いて喋ったりするアニメとか、物語を体験するゲームがあったの。今回対策してるのも、ゲームよ」
「アドベンチャーブックみたいなものだって兄上が言うから、そう思ってたけど、実際はもっと違うの?」
「すまん、説明しづらくてこの世界のあるもので説明したんだ」
「こんな感じで、絵が動いたり、絵を中心に物語を表現するの。物語の中だから、完璧な人が多いのよ。主人公のピンチを颯爽と救ったり、現実じゃありえないくらい優しかったり、頭が良かったり、強かったり。そういう男性をヒーローと呼んだりするの。要は英雄ね。クリスティーナ様は、そういった物語やゲームに出てくるヒーローがお好きだったの」
そう言って、軽く絵を描いてミシェル様に見せます。わたくしの絵は写実的なので漫画とは違いますが、イメージは伝わるでしょう。
「それじゃあ……僕はクリスティーナの恋愛対象外って事……?」
「諦めるのは早いぞ。ミシェルなら対象になるかもしれん」
「ど、どうすればいいのさ?!」
「とりあえずミシェルを意識してもらおう。しばらくは、彼女の言うシナリオ通り演じる時以外はクリスティーナ嬢に関わるな」
「なんで?! タダでさえ相手にされてないんだよ?!」
「だからだよ。まずは意識してもらわないと始まらないだろ。幸い、この国には彼女の好きなゲームやアニメはない。そして、ミシェルは彼女の好きだったゲームの登場人物に瓜二つだ。僕は見た目が違うし、他の2人は既に婚約者が居るから彼女の恋愛対象になることはない」
「婚約者が居ても惹かれるとかは……ない? だって前世で好きだったんでしょ?!」
「ありえないと思うわ。クリスティーナ様も、前世の山下さんも倫理観に外れたことは大嫌いだもの。でも、セドリックの作戦は良いと思うんだけど、ちゃんとフォローしないと彼女はあっさり身を引くわよ」
「そうか……マリー、悪いけどフォローを頼む」
「任せて。ミシェル様に嫌われたと勘違いされないように、会う時は今以上に親しくして頂戴。邪魔をする令嬢は居なくなったけど、新入生は分からないから、しばらくは警戒が必要よ」
「分かった。休みが明ければ2年生だしね。明日は城に帰るだろう? 母上に会うのが怖い……」
「頑張るしかない。それからマリーの妹が入学してくる。マークはするけど、マリーは関わらないで」
「大丈夫よ。わたくしから話しかける事はないわ。貴族の殆どは事情を知っているし……クリスティーナ様にも警戒するように言っておいたから。クリスティーナ様は可愛らしいし、元平民だと隠していないから、ターゲットになったら困るもの。わたくしにはさすがに近寄らないと思うわよ。そこまでお馬鹿ではないと……思うけど……」
「甘いね。まぁでも大丈夫。マリーに接触した瞬間に退学だと通達してあるから」
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