旦那様は、転生後は王子様でした

編端みどり

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第三十五話

「父上、ローランの説得はできましたか?」

「今すぐ結婚するかソレル家を取り潰すか二択だと言っておる。ローランの主張は正論だからな……。すぐに婚姻を認めても良いのだが……宰相がローランを連れてお相手の家に話し合いに行った。マリー、ソレル家がなくなっても構わないか?」

「特に情はないので構いませんが、取り潰されてから犯罪に走らないかは心配ですね」

「野放しにはせんから安心しろ。ソレル男爵は、監視はつけておるが、大人しくしておる。もしかしたら監視に気が付いておるかもしれぬ。先程マリアベルを退学にしたから、引き取るように通達を出した。1週間くらいで迎えが来るだろう。その時の態度次第だな」

「クリスティーナを狙ったのはマリアベルでしたか?」

「うむ。怪我はしておらぬがクリスティーナが急に動くから助けるのが大変だったと影が申しておった。ミシェルとクリスティーナには言うなよ。どんな状況でも助けるのが影であるし、ミシェルが聞いたら暴れ出しかねん」

「言いませんよ。ミシェルは僕より過激ですからね。ただ、クリスティーナが植木鉢の件をミシェルに伝えてしまったのでフォローした方が宜しいかと」

「分かった。それは後でやっておく」

「ソレル男爵は、確実に監視に気がついています。使用人を介して色々やろうとしているようです。まだ計画段階ですが、マリアベルが家に戻される事で計画を早める可能性はありますね。潰して宜しいですか?」

「どうせ潰すつもりだっただろう。ソレル男爵も、使用人にまで監視が付いているとは思っておらぬだろうからな。反省して心を入れ替えれば良いものを」

「反省しても許すつもりはありませんでしたけど、あそこまでわかりやすく悪党だと良心が痛まず潰せます。だから気にする事はありませんよ」

セドリックは、冷たく言いました。ああ、これはもうお終いですね。確実にソレル男爵は処刑でしょう。セドリックがここまで言うなら、元父の悪どい計画はずいぶん酷いもののようですね。

あとは、元母とマリアベルがどうなるか……。こちらの世界に慣れてしまって可哀想とはあまり思えません。でも……処刑……見ないといけないのですよね。さすがにキツいですわ。

「マリー、大丈夫だから。マリーに辛い思いはさせないよ。もう計画は立ててあるから」

「何をしようとしてるの?」

「ソレル男爵は、人身売買をしようとしてる。孤児院を買い取って子どもを売ろうとしてるんだ」

「嘘でしょ……?!」

いくらなんでも酷過ぎる。子どもを喰い物にしようとするなんて絶対許せないわ。

「安心して、ソレル男爵の領地は男爵になった時に移動させた。現在の領民は全員影だから、万が一子どもが売られても問題ない。売られた先で買主を逮捕するだけだ」

「子どもも?!」

「赤ん坊から老人まで全員王家のお抱えだよ。屋敷も移動させた。だから使用人を見張るのなんて簡単なんだ。悪巧みも全て筒抜けだよ」

「そんな大掛かりな事をしていたのね……」

「影はあちこちで育ててるんだ。普段は町の住民として普通に暮らしているから、領主をソレル男爵にしただけだよ。ソレル公爵の時の領地と、王家の直轄領の一部を入れ替えたんだ。公爵と男爵が同じ領地なんてあり得ないから誰も疑ってないから安心して。あの男、税を取るだけで何もしてないんだ。影達には他でフォローしてるから良いけど、普通の領民だったら餓死者が出るレベルだよ。元々の領民もかなり疲弊してた。王家の直轄領になったと告知したら泣いて喜んでたよ。だからどちらにしろ証拠を固めて潰す予定だったんだ。影の街がある事を知ってるのは王と王妃と、次期王と次期王妃だけ。だからミシェルに言っては駄目だよ」

「待って! 散々誰が王になるか揉めてたじゃない! いつからセドリックが王になる事になっていたの?!」

「マリーを見つけたその日に決まったよ。マリーに言うと気負わせてしまうから言わなかったけどね。やりたくないのは本当だから、やりたい人に押し付けたかったけど、内心は無理だって分かってた。マリーが王妃を嫌がるならどうにかして押し付けようと思ってたけど、マリーは王妃になってもならなくても構わないって言うから、僕が王になる前提で内々に話は進んでいたんだ」

「セドリックもミシェルも優秀だが、セドリックの方が王に向いておるからな。マリーを守る為に王になると言ったセドリックを支えてやってくれ」

「……わたくしの、為?」

「国の最高権力者なら、マリーを守るあらゆる手が取れるからね。その分面倒も多いけど、マリーは王妃に向いてるし社交も生き生きとしてやってる。外交だって好きでしょう? 和傘とか風鈴が出来て嬉しそうだったよね。王妃になればもっと大々的に色んな物を作れる。そういうの、好きだよね?」

「え、ええ……確かに好きよ。でも、セドリックの負担になりたくないわ」

「負担じゃないよ。それに、ミシェルは王にならない。なら僕がやるしかないでしょ。マリーが隣に居てくれるなら頑張れる。その分、絶対幸せにするから」

「分かったわ。元々そのつもりだったし、これからもセドリックの支えになるわ。その為に勉強したもの。なんとかなるわ」

「そうだね。だから場合によっては僕らもさっさと結婚しようと思うんだけど、どうかな?」

「え……卒業までまだ半年くらいあるわよね?」

「うん、あるね。でも、僕もマリーも卒業資格を取れてるでしょ?」

「ええ、取れてるわ」

「ローランもそうだから、結婚させろって騒いでるんだよ。学園を卒業すれば成人なら、卒業資格があれば婚姻出来るだろうってね。ローランだけだと目立つから、僕らも結婚式をしたらどうかなと思って」

「この世界の成人年齢は15歳だし、学園に行かない人は成人したら婚姻するものね。学園に入る人は、卒業してから婚姻する慣例があるけど、そこは大丈夫なの?」

「学園の在籍中に婚姻した前例はあるよ。親が他界して急いで爵位を継がなきゃいけないからって理由だったと思うけど」

「別に結婚しなくても爵位は継げるわよね?」

「そうだね。ただ、その家はゴタゴタしてて、婚約者とすぐ結婚しないと親戚の娘と結婚させて家を乗っ取ろうとしていたらしいよ。まぁ、どこまで本当が分からないけど。案外ローランみたいに婚約者を早く捕まえたかっただけかもしれないしね」

「どちらにしても愛し合っておられたみたいね」

「それは間違いないね。相思相愛で仲が良いって有名だったみたいだよ」

「そうなのね。わたくしはセドリックとしか結婚する気はないから、時期はいつでも構わないわよ。でも、結婚してすぐ子を産めと言われるならあまり若過ぎても困るかしら? もうわたくしの歳なら良いのかしら。一応、日本では女性は16歳から結婚出来るけど……」

「身体が出来上がっていない若い時期に子を産むと負担があるのは分かってるからね。結婚してもマリーに急いで子を求める人は居ないから大丈夫だよ」

「王妃ならすぐ跡取りを産めとか言われないの?」

「ないね。そんな事を言う貴族は既に父上が排除してるから」

「……え?」

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