Monsters・W・Class―モンスターズ・W・クラス―

青髭

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生まれたての弱者

初めてのモンスター狩り

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 森の中を散策して直ぐのことだ、アラックはモンスターに出会った。
 それは子鬼ゴブリンと呼ばれるモンスターだった。
 やつも知っている記憶では雑魚の部類である。但しランクはDと人間と同じである。
 腐っても妖精種である故なのかゴブリンはFではなくDなのだ。
 
 つまりFランクのアラックでは歯が立たないのだ。
 とは言ったもののゴブリンは知能が基本的に低いことで有名だ。
 やりようによっては倒せるかも知れない。

「ここは計画を練らねば…」

 数日後、やっとのことで仕掛けが完成した。
 仕掛け自体は簡単なものだったがスキルの物体透過が邪魔して普通にしてては物が掴めなかったのだ。
 これは魔力を消費することでようやく触ったり掴んだりできるようになった。
 この訓練でまず時間がかかった。
 が、しかしそのおかげで新たなるスキルを獲得することが出来た。
 その名も「ポルターガイスト」これは攻撃系のスキルで使ってみると目視した小石がいくつか空中に浮いたのだ!

 え、それだけ?
 なんて言わないで欲しい。
 考えても見て欲しい触れない、掴めない人が自分の意志で何かを動かしたのだ。
 それはかなりすごいことではないだろうかと。
 え、話が微妙にずれてておかしい?
 あ、はい。
 とにかくスキルを手に入れたのだ。
 
 それと触れるように掴めるようになったにはなったがそれは魔力を消費してやっとである。
 魔力量5では一日数分が限度だったのだ。
 だから数日もかかってしまったのだ。今後の課題である。

 話を戻そう、ゴブリン退治の罠の話だ。
 これには崖を使う、まず崖の先一帯を茂みで隠してこの先にも地面があるように見せる。
 幸いにもこの森には真ん中に割れ目のような谷があるのでそこの崖を使うことにした。
 そしてゴブリンを挑発して怒らせる。
 するとゴブリンはこちらを追いかけてくる。
 それを利用して崖まで誘導、自分は崖の外で待機、襲いかかってくるゴブリンを通過して魔力を使い障れる状態にする。
 そうしたら崖から突き落とす。
 完璧な作戦である。

 ということで早速餌食になってくれる馬鹿なゴブリンを探す。
 条件としては単体で行動している奴。アホそうな奴。の2つだ。
 2つ目は最悪問題ないが1つ目は絶対である。
 いきなり欲張っても良い事はないだろう。
 そういうのは慣れてきてからで問題ない。

 そういうわけで森の中を散策、あまり罠から離れないように気をつける。
 と、早速獲物を見つけた。
 そこには見るからにアホそうで見るからにボッチなゴブリンが何をほうけているのか木の上にある木の実を眺めていた。
 ぷっ、まじで馬鹿そうなやつを見つけてアラックは笑ってしまう。

 おっといかんいかん気づかれたら作戦が失敗する恐れがあるからな。
 と再びゴブリンの方を見ると目が合った。
 いや、今のアラックに目玉はない。
 そいういうことではない、ゴブリンがこちらを向いているのだ。
 し、しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
 動揺して近くの木に滑り込む。
 
 こういう時ゴーストは便利である。
 と視界の隅に木に住んでいる毛虫。
 あ、お邪魔してます。とペコリとお辞儀。
 するとアラックが潜り込んだ木にゴブリンが蹴りを繰り出してきた。

「ギー!ギー!」

 鳴き声的にこちらを敵か何かと認識したのだろう。
 にしてもアホである。
 その蹴りは俺ではなく木に当たっているのだから。
 あれ?もしかしてこうしていればどんな敵にも攻撃されないのでは?
 などとアホ丸出しの考えをするアラック。
 とまあ冗談はさておいて、計画に移ろうと思う。
 
 まずはゴブリンの目の前に飛び出す。
 この時気をつけるべきは謝ってゴブリンを通過しないこと。
 ゴブリンの目の前がベストである。

「ばぁ!ぎゃはははは!」

 適当に煽るような行動をする。

「ギギ、ギー!ギー!」

 案の定ゴブリンは怒って拳をフルスイングした。
 そこでアラックは油断をしていた。
 腐っても2つ格上のゴブリンの拳を侮ったのだ。
 その結果体力が-2されたのだ。
 もし、仮にアラックが別のFランクモンスターで物理耐性を持っていなかったら大ダメージである。
 咄嗟に木の内側に逃げ込む。外では怒ったゴブリンが鳴き声を上げながら木を蹴ってくる。

 あ、あぶねーゴーストだけど死ぬところだった。
 てかゴーストが死んだらどうなるんだ?消滅?この世から完全に?
 考えると背筋がぞわっとした。
 と、再び木の住人毛虫さんに会った。
 毛虫さんが言っている…ような気がする。

「ここで死ぬ定めではない」
「分かったよ毛虫の旦那ァ、俺ちょっくら行ってくるぜ」

 意を決して今度は横へ飛び出す。
 そして挑発。

「べろべろぶぅぁぁぁ!」

 ま、舌とか無いんですけどね!
 それでも効果覿面なところを見るとゴブリンの想像力が豊かなのか本当にアホなのかわからないものである。
 …いや、アホだろうな。
 アラックはゴブリンの憤慨する顔を見てそう思った。

「ほらほら、こっち来いよおバカさぁん」
「ギギギギギギーー!!」
「ちょろわこいつ、ぷぷー」

 計画通りに崖へと誘導する。
 ここで注意すべき点はゴブリンが自分を見失わないように逃げることである。
 仮にも誘導なので当然だが生憎とアラックはゴーストなので障害物は関係なく、生身であるゴブリンは枝や葉っぱなどを避けて追いかけなければならない。
 なので時々追いつかれない程度にスピードを落とす。もしもここが平原だったなら追いつかれていたこともあったかもしれない。

 そうして調整してもゴブリンが俺を見失ったり諦めたりすることもある。
 そういう場合も対処する。
 
 ケース1、ゴブリンがこちらを見失った場合。
 挑発を入れて目の前に飛び出す。
 
 ケース2、ゴブリンがこちらを諦めた場合。
 挑発を更にして怒らせる。

 つまり挑発ですね。はい。
 こうしてうまく誘導できた俺は計画通り茂みの奥で立ち止まりべろべろぶぁぁぁと真似る。
 足を止めた俺ににやけ笑うゴブリン。
 ジャンプして拳を振りかざす。
 次の瞬間、俺はスキルにてゴブリンを通過。
 驚くゴブリンを尻目に魔力を込めて後ろから軽くパンチ。

「喰らえ必殺!ゴーストパァァァァンチ!」
「ギ!?」

 ゴブリンからしてみたらタッチに等しいかもしれないパンチは言葉通り必殺の役割を果たし、ゴブリンを崖に真っ逆さまに落とした。

 しばらくするとアラックに経験値が入ったのでゴブリンは死んだのだろう。
 グッバイ、ゴブリン。フォーエバー。
 そこでアラックは衝撃の事実に驚いた。

「レベルが…6まで上がってるー!!」

 アラックは1体しか倒していないにも関わらずこの上がり様である。

「そういえばゴブリンは2つ格上だったか。全くそう見えなかったけど」

 名前「アラック・リテスノーモ」
 種族「ゴースト」レベル「6/10」
 職業「ー」レベル「ー/ー」
 
 状態「正常」
 体力「3/3」
 魔力「5/5」
 筋力「1」
 耐久「1」
 敏捷「3」
 幸運「2」
 階位「F」

 技能「物体透過」「下位物理耐性」「神聖攻撃脆弱」「ポルターガイスト」

 そして「ステータスポイントが50余っています。割り振りをしてください」とテキストウィンドウが表示さてた。

「ここらへんは人間と魔物も同じなのか…さてどうしようかな」

 結果としてはまず体力に10、魔力に10、筋力に5、耐久に15、敏捷に5、幸運に5と割り振った。
 正直堪えましたね。体力残り1は。
 油断、ダメ、ゼッタイ。
 今日アラックはそのことをしかと心に刻んだのだった。
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