13 / 23
生まれたての弱者
人間と魔物の対話
しおりを挟む
ユークリッドは視線を一度アシュリーへと向けると直ぐにアラックに戻した。
透けた身体から察するにゴースト系の魔物である。
「君は見たところレイスかな?」
「いや、レッサーレイスだ。今更出てきてこんなことを言うのもなんだけど攻撃はしてこないんだな」
「ふーむ、それは君も同じことじゃないか?」
「それはつまりこっちが攻撃してこなければそっちも攻撃はしないと?」
「まあ、そんなところだよ。ところで君は魔術師なのかい?」
「へ?いや、違うけど…」
「そうか、いやレイスという魔物は大概が実験に失敗した魔術師が成仏できずに彷徨って成るものと聞いているのでてっきりそうなのかと思ったんだ。では魔力が高いとか?」
「そ、そういう事もないです。あ、あの!」
突然アラックが声を上げた。
いや、先程から今か今かと言い出そうとしていたので意図せず声が大きくなったのだ。
「そんなに声を出さなくても聞こえているよ。で、何かな?」
「り、リーテス王国って知ってますか!?それとできればそこへの行き方とか教えてもらいたいんですけど!」
「ふむ、リーテス、リーテス、リーテス…」
ユークリッドは噛み締めるようにその言葉を口にする。
どうやら記憶を探っているらしくアラックはおとなしく待つ。
「すまないが私の知識の中にそのような国は無いようだ、何分私も全ての国を把握しているわけではなくてね。力になれずにすまないと思うよ。察するにそこは君の故郷かなにかなのだろ?」
「ああ、そうだ。俺の生まれ育った故郷だ」
「そうか、しかしそのなりで帰るには些か問題があるんじゃないのかい?」
「…」
「魔術師でも無い魔力が高い訳でもない者がレイスにはなりえない。君は、実に可笑しい」
ユークリッドが視線をアシュリーへと向けた。
「そこの君も同じ境遇なのかな?」
「へ?わ、私ですか!?」
「おっと、女性だったのか、すまない骸骨姿では皆目検討もつかなくてね」
「そ、そうなんですよ!彼と同じでしてへへへ…」
ユークリッドは一度空を仰ぐ。
気づけば太陽は真上を過ぎて傾き始める直前だった。
「私の専門はアンデッド退治でね」
「…ましゃか!?」
アンデッド退治と聞いてアシュリーの声が揺れる。
アラックもなんとなくだが察しがついた。
騎士にしてアンデッド退治を得意とするもの。
「私は聖騎士の職業を得ている」
聖騎士、騎士の上級職にして神に認められし者。
騎士の剣技と神官の信仰系魔術を行使するハイブリッド騎士だ。
体力、魔力共に強大で並みの者では太刀打ちできないほどだ。
それが今目の前にいる人物だという。
アシュリーはガタガタと震えてアラックの後ろへと隠れる。
アラックは不思議と彼を怖いとは思わなかった。
それが久々の人間に会えたことに対するものから来ているのか、本当にユークリッドが無害の様に思えているのかは正直分からない。
けれどアラックは怖くないという点だけは素直に思えたのだ。
「パラディンですか、凄いですね」
「君は後ろの彼女の様に怯えないのだね」
「そう…みたいですね。自分でもなんでかよくわからないんですけど」
アラックは頬を人差し指でかく。
それを見たユークリッドは目を瞑る。
「フフフ、君は実に人間味あふれるレイスなのだな。こんなレイス見るのは初めてだよ」
「まあレイスはレイスでもレッサーが付くけどね」
「私は王から勅命を受けていてね。その報告をしないといけないんだ。それもできるだけ早く。およそおとぎ話の中でしか聞いたことがないような魔王という存在の片鱗。君たちは今のところ無害な様だし今は見逃してあげようじゃないか。君たちに神の御加護がありますように」
そう言ったと思えばユークリッドはアラック達を横切って消えていった。
今の二人ではユークリッドの足の速さは正に消えたと言ったほうがしっくりくるだろう。
そこには圧倒的はレベルの差があったのだ。
アラックはその事に気が付くとそこで初めてユークリッドが少しだけ怖いと思った。
「な、なななな、なにしてやがりますかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「う、うるさ!?」
突然荒れ狂うアシュリー、それは正にモンスターの姿である。
「バカじゃないの!?相手はこの大陸、しかもこの森に単騎で来れるような正真正銘の化物なのよ!?そんな相手にバレてたとは言え前に出るなんてバカじゃないの!?」
「二回もバカって言うことないんじゃ」
「バカよバカ!バカすぎるわよ…」
力が抜けたのか急にへなへなと崩れるアシュリー。
「こ、腰ぬけた…」
「いやちゃんとついてるよ」
「言葉の綾よ!スケルトンジョーク!」
「って、ここってどっかの大陸なの?」
アラックは色々と知らないことがまだあるんだなと思った。
透けた身体から察するにゴースト系の魔物である。
「君は見たところレイスかな?」
「いや、レッサーレイスだ。今更出てきてこんなことを言うのもなんだけど攻撃はしてこないんだな」
「ふーむ、それは君も同じことじゃないか?」
「それはつまりこっちが攻撃してこなければそっちも攻撃はしないと?」
「まあ、そんなところだよ。ところで君は魔術師なのかい?」
「へ?いや、違うけど…」
「そうか、いやレイスという魔物は大概が実験に失敗した魔術師が成仏できずに彷徨って成るものと聞いているのでてっきりそうなのかと思ったんだ。では魔力が高いとか?」
「そ、そういう事もないです。あ、あの!」
突然アラックが声を上げた。
いや、先程から今か今かと言い出そうとしていたので意図せず声が大きくなったのだ。
「そんなに声を出さなくても聞こえているよ。で、何かな?」
「り、リーテス王国って知ってますか!?それとできればそこへの行き方とか教えてもらいたいんですけど!」
「ふむ、リーテス、リーテス、リーテス…」
ユークリッドは噛み締めるようにその言葉を口にする。
どうやら記憶を探っているらしくアラックはおとなしく待つ。
「すまないが私の知識の中にそのような国は無いようだ、何分私も全ての国を把握しているわけではなくてね。力になれずにすまないと思うよ。察するにそこは君の故郷かなにかなのだろ?」
「ああ、そうだ。俺の生まれ育った故郷だ」
「そうか、しかしそのなりで帰るには些か問題があるんじゃないのかい?」
「…」
「魔術師でも無い魔力が高い訳でもない者がレイスにはなりえない。君は、実に可笑しい」
ユークリッドが視線をアシュリーへと向けた。
「そこの君も同じ境遇なのかな?」
「へ?わ、私ですか!?」
「おっと、女性だったのか、すまない骸骨姿では皆目検討もつかなくてね」
「そ、そうなんですよ!彼と同じでしてへへへ…」
ユークリッドは一度空を仰ぐ。
気づけば太陽は真上を過ぎて傾き始める直前だった。
「私の専門はアンデッド退治でね」
「…ましゃか!?」
アンデッド退治と聞いてアシュリーの声が揺れる。
アラックもなんとなくだが察しがついた。
騎士にしてアンデッド退治を得意とするもの。
「私は聖騎士の職業を得ている」
聖騎士、騎士の上級職にして神に認められし者。
騎士の剣技と神官の信仰系魔術を行使するハイブリッド騎士だ。
体力、魔力共に強大で並みの者では太刀打ちできないほどだ。
それが今目の前にいる人物だという。
アシュリーはガタガタと震えてアラックの後ろへと隠れる。
アラックは不思議と彼を怖いとは思わなかった。
それが久々の人間に会えたことに対するものから来ているのか、本当にユークリッドが無害の様に思えているのかは正直分からない。
けれどアラックは怖くないという点だけは素直に思えたのだ。
「パラディンですか、凄いですね」
「君は後ろの彼女の様に怯えないのだね」
「そう…みたいですね。自分でもなんでかよくわからないんですけど」
アラックは頬を人差し指でかく。
それを見たユークリッドは目を瞑る。
「フフフ、君は実に人間味あふれるレイスなのだな。こんなレイス見るのは初めてだよ」
「まあレイスはレイスでもレッサーが付くけどね」
「私は王から勅命を受けていてね。その報告をしないといけないんだ。それもできるだけ早く。およそおとぎ話の中でしか聞いたことがないような魔王という存在の片鱗。君たちは今のところ無害な様だし今は見逃してあげようじゃないか。君たちに神の御加護がありますように」
そう言ったと思えばユークリッドはアラック達を横切って消えていった。
今の二人ではユークリッドの足の速さは正に消えたと言ったほうがしっくりくるだろう。
そこには圧倒的はレベルの差があったのだ。
アラックはその事に気が付くとそこで初めてユークリッドが少しだけ怖いと思った。
「な、なななな、なにしてやがりますかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「う、うるさ!?」
突然荒れ狂うアシュリー、それは正にモンスターの姿である。
「バカじゃないの!?相手はこの大陸、しかもこの森に単騎で来れるような正真正銘の化物なのよ!?そんな相手にバレてたとは言え前に出るなんてバカじゃないの!?」
「二回もバカって言うことないんじゃ」
「バカよバカ!バカすぎるわよ…」
力が抜けたのか急にへなへなと崩れるアシュリー。
「こ、腰ぬけた…」
「いやちゃんとついてるよ」
「言葉の綾よ!スケルトンジョーク!」
「って、ここってどっかの大陸なの?」
アラックは色々と知らないことがまだあるんだなと思った。
0
あなたにおすすめの小説
大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ
鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。
それが約50年前。
聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。
英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。
俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。
でも…英雄は5人もいらないな。
《カクヨム様で15000PV達成‼️》悪魔とやり直す最弱シーカー。十五歳に戻った俺は悪魔の力で人間の頂点を狙う
なべぞう
ファンタジー
ダンジョンが生まれて百年。
スキルを持つ人々がダンジョンに挑む世界で、
ソラは非戦闘系スキル《アイテムボックス》しか持たない三流シーカーだった。
弱さゆえに仲間から切り捨てられ、三十五歳となった今では、
満身創痍で生きるだけで精一杯の日々を送っていた。
そんなソラをただ一匹だけ慕ってくれたのは――
拾ってきた野良の黒猫“クロ”。
だが命の灯が消えかけた夜、
その黒猫は正体を現す。
クロは世界に十人しか存在しない“祝福”を与える存在――
しかも九つの祝福を生んだ天使と悪魔を封印した“第十の祝福者”だった。
力を失われ、語ることすら封じられたクロは、
復讐を果たすための契約者を探していた。
クロは瀕死のソラと契約し、
彼の魂を二十年前――十五歳の過去へと送り返す。
唯一のスキル《アイテムボックス》。
そして契約により初めて“成長”する力を与えられたソラは、
弱き自分を変えるため、再びダンジョンと向き合う。
だがその裏で、
クロは封印した九人の祝福者たちを狩り尽くすための、
復讐の道を静かに歩み始めていた。
これは――
“最弱”と“最凶”が手を取り合い、
未来をやり直す物語
なぜ、最強の勇者は無一文で山に消えたのか? ──世界に忘れられ、ひび割れた心のまま始めたダークスローライフ。 そして、虹の種は静かに育ち始め
イニシ原
ファンタジー
ダークスローライフで癒しに耐えろ。
孤独になった勇者。
人と出会わないことで進む時間がスローになるのがダークスローライフ。
ベストな組み合わせだった。
たまに来る行商人が、唯一の接点だった。
言葉は少なく、距離はここちよかった。
でも、ある日、虹の種で作ったお茶を飲んだ。
それが、すべての始まりだった。
若者が来た。
食料を抱えて、笑顔で扉を叩く。
断っても、また来る。
石を渡せば帰るが、次はもっと持ってくる。
優しさは、静けさを壊す。
逃げても、追いつかれる。
それでも、ほんの少しだけ、
誰かと生きたいと思ってしまう。
これは、癒しに耐える者の物語。
***
登場人物の紹介
■ アセル
元勇者。年齢は40に近いが、見た目は16歳。森の奥でひとり暮らしている。
■ アーサー
初老の男性。アセルが唯一接点を持つ人物。たまに森を訪れる。
■ トリス
若者。20代前半。アーサー行方不明後、食料を抱えて森の家を訪れる。
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
悪役皇子、ざまぁされたので反省する ~ 馬鹿は死ななきゃ治らないって… 一度、死んだからな、同じ轍(てつ)は踏まんよ ~
shiba
ファンタジー
魂だけの存在となり、邯鄲(かんたん)の夢にて
無名の英雄
愛を知らぬ商人
気狂いの賢者など
様々な英霊達の人生を追体験した凡愚な皇子は自身の無能さを痛感する。
それゆえに悪徳貴族の嫡男に生まれ変わった後、謎の強迫観念に背中を押されるまま
幼い頃から努力を積み上げていた彼は、図らずも超越者への道を歩み出す。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる