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第10話
お姉様という釣り餌にまんまと金持ちが引っかかったわ。それに多分年収八百ゴールドとか嘘ね。服は王都の超人気店のオーダーメイド、出された紅茶も茶菓子も最高級の一品、お父様も、お母様もそっちまで気が回ってなかったようだけど、あのウィルって人かなりの金持ちだわ。
しかも商人で、貿易もしている。会社を経営している男性なんてオッサンばっかだけど、あの人ならまだまだ若いし見栄えもいい。結婚して子供を産んでしまえばあの人が死んでも遺産もがっぽり入る。
お姉様ったら、良い人捕まえてきてくれたじゃない。
「あ、お母様、お父様、私オリバーの家に寄っていきたいわ」
「でも急じゃあれじゃない?」
「私だけ降ろしてよ。帰りはオリバーの家の馬車で送って行ってもらうし。居なかったらそのまま帰るから」
不機嫌そうなこの二人の間を取り持つのも面倒くさいし、オリバーの家に泊まらせてもらいましょう。それにいろいろ話をしないと。やっぱり貴方と結婚するのはお姉様ですって。きっとあの人だって私のことの方が好きなはずよ。あんな出来の良いお姉様、嫌がる男性がほとんどだもの。隙が無い女は嫌われるのよ。
オリバーの屋敷に到着し馬車を一人おりて、大きな両扉のベルを鳴らすと、ホウキを持ったメイドが顔を出した。それに対してミアはにっこりと笑って「オリバーはいる?」と声をかけた。
「いらっしゃいます。どうぞ中へお入りください」
馬車の方に手を上げると、馬車は屋敷の方へ走り出した。屋敷の中に入るとミアは二階へと案内された。この屋敷は新しくウィルの屋敷よりずいぶん大きいけれども、センスがあるわけではない。
あの人の屋敷の方がアンティーク調でセンスあるわね。
角部屋からオリバーが出てきて、ミアはにっこりと笑った。
「どうしたんだ。ミア」
「お姉様が見つかったからそこへ行ってきた帰りなの」
それを聞いたオリバーは不機嫌そうにしてため息を吐いた。
「ソフィアか。どこに居たんだ」
「そんなのどこでもいいでしょう。話があるの」
「話?」
「では一階へいらしてください」
「ごめんなさい。それは大丈夫」
ミアはそう言うとオリバーの背中を押して先ほどオリバーが出てきた部屋に押し込んだ。部屋の中に入ると、ミアは部屋の扉を閉めた。
「なにがあったんだ」
「オリバー、伯爵家を継いだら、お給料はどれぐらいなの?」
「ミア、君がそんなこと気にする必要ないんだよ」
気にする必要ないって、何をそんなに隠す必要があるの。さっさと教えなさいよ。あの屋敷のケイルトンは堂々と収入を話したのに。
「大体一千ゴールドぐらいかな」
「え、すごーい。私オリバーのこと見直しちゃった」
これもまた嘘ね。私の前で大体の男は嘘をつくのよ。たぶん盛ってる。だいたい八百、九百ゴールドぐらいだと仮定すると、あのケイルトンの方が金を持っているし、身なりも良いし、センスがある。オリバーよりウィルの方が良い男だというのは一目瞭然。
「それでなんで給料の話?」
「あ、それはどうでもいいの。聞いてみただけ。本題なんだけど、私お姉様と仲直りしたいの」
「な、なんで。ソフィアなんかもう縁を切ってしまえば良いだろう」
縁を切ってしまったら、あの男を取り逃がしちゃうじゃない。
「だって、いじめられたって言っても、血のつながった姉妹なのよ。私とオリバーとお姉様とお話をして、仲直りをしたいの。お願い。仲直りのしるしにこじんまりした舞踏会を開きたいのよ。そこで堂々と仲直りしたいの」
その説明を聞いたオリバーはニヤッと笑い、ミアとソフィアの仲直り舞踏会に大いに賛成した。その舞踏会でまたソフィアを孤立させられると思ったのだ。
「それでその舞踏会をここで開きたいの。できない?」
「できるよ。大広間はまだほとんど使ったことが無いし。いろいろそろっている」
「本当に?ありがとう」
ここで舞踏会を開けるなら好都合ね。私の家と、ケイルトン家との中間地点。もしお姉様が来なかったら、馬車でもなんでも送ってやる、手紙だって何通だって出す。お姉様のことだし、ウィル様とそう簡単に結婚するわけないわ。あんなに警戒心が高くて、純粋なお姉様なんですもの。問題はウィル様がお姉様に対して積極的かどうか。お姉様は押に弱いし。
「じゃあ日時とか、色々決めるから。その時になったら教えるわね。本当にありがとう。愛してる」
「ああ、俺も愛してるよ」
軽いキスを交わして、ミアはにっこりと笑った。
しかも商人で、貿易もしている。会社を経営している男性なんてオッサンばっかだけど、あの人ならまだまだ若いし見栄えもいい。結婚して子供を産んでしまえばあの人が死んでも遺産もがっぽり入る。
お姉様ったら、良い人捕まえてきてくれたじゃない。
「あ、お母様、お父様、私オリバーの家に寄っていきたいわ」
「でも急じゃあれじゃない?」
「私だけ降ろしてよ。帰りはオリバーの家の馬車で送って行ってもらうし。居なかったらそのまま帰るから」
不機嫌そうなこの二人の間を取り持つのも面倒くさいし、オリバーの家に泊まらせてもらいましょう。それにいろいろ話をしないと。やっぱり貴方と結婚するのはお姉様ですって。きっとあの人だって私のことの方が好きなはずよ。あんな出来の良いお姉様、嫌がる男性がほとんどだもの。隙が無い女は嫌われるのよ。
オリバーの屋敷に到着し馬車を一人おりて、大きな両扉のベルを鳴らすと、ホウキを持ったメイドが顔を出した。それに対してミアはにっこりと笑って「オリバーはいる?」と声をかけた。
「いらっしゃいます。どうぞ中へお入りください」
馬車の方に手を上げると、馬車は屋敷の方へ走り出した。屋敷の中に入るとミアは二階へと案内された。この屋敷は新しくウィルの屋敷よりずいぶん大きいけれども、センスがあるわけではない。
あの人の屋敷の方がアンティーク調でセンスあるわね。
角部屋からオリバーが出てきて、ミアはにっこりと笑った。
「どうしたんだ。ミア」
「お姉様が見つかったからそこへ行ってきた帰りなの」
それを聞いたオリバーは不機嫌そうにしてため息を吐いた。
「ソフィアか。どこに居たんだ」
「そんなのどこでもいいでしょう。話があるの」
「話?」
「では一階へいらしてください」
「ごめんなさい。それは大丈夫」
ミアはそう言うとオリバーの背中を押して先ほどオリバーが出てきた部屋に押し込んだ。部屋の中に入ると、ミアは部屋の扉を閉めた。
「なにがあったんだ」
「オリバー、伯爵家を継いだら、お給料はどれぐらいなの?」
「ミア、君がそんなこと気にする必要ないんだよ」
気にする必要ないって、何をそんなに隠す必要があるの。さっさと教えなさいよ。あの屋敷のケイルトンは堂々と収入を話したのに。
「大体一千ゴールドぐらいかな」
「え、すごーい。私オリバーのこと見直しちゃった」
これもまた嘘ね。私の前で大体の男は嘘をつくのよ。たぶん盛ってる。だいたい八百、九百ゴールドぐらいだと仮定すると、あのケイルトンの方が金を持っているし、身なりも良いし、センスがある。オリバーよりウィルの方が良い男だというのは一目瞭然。
「それでなんで給料の話?」
「あ、それはどうでもいいの。聞いてみただけ。本題なんだけど、私お姉様と仲直りしたいの」
「な、なんで。ソフィアなんかもう縁を切ってしまえば良いだろう」
縁を切ってしまったら、あの男を取り逃がしちゃうじゃない。
「だって、いじめられたって言っても、血のつながった姉妹なのよ。私とオリバーとお姉様とお話をして、仲直りをしたいの。お願い。仲直りのしるしにこじんまりした舞踏会を開きたいのよ。そこで堂々と仲直りしたいの」
その説明を聞いたオリバーはニヤッと笑い、ミアとソフィアの仲直り舞踏会に大いに賛成した。その舞踏会でまたソフィアを孤立させられると思ったのだ。
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