【完結】妹に人生を狂わされた代わりに、ハイスペックな夫が出来ました

コトミ

文字の大きさ
11 / 17

第10話

 お姉様という釣り餌にまんまと金持ちが引っかかったわ。それに多分年収八百ゴールドとか嘘ね。服は王都の超人気店のオーダーメイド、出された紅茶も茶菓子も最高級の一品、お父様も、お母様もそっちまで気が回ってなかったようだけど、あのウィルって人かなりの金持ちだわ。
 しかも商人で、貿易もしている。会社を経営している男性なんてオッサンばっかだけど、あの人ならまだまだ若いし見栄えもいい。結婚して子供を産んでしまえばあの人が死んでも遺産もがっぽり入る。

 お姉様ったら、良い人捕まえてきてくれたじゃない。

「あ、お母様、お父様、私オリバーの家に寄っていきたいわ」
「でも急じゃあれじゃない?」
「私だけ降ろしてよ。帰りはオリバーの家の馬車で送って行ってもらうし。居なかったらそのまま帰るから」

 不機嫌そうなこの二人の間を取り持つのも面倒くさいし、オリバーの家に泊まらせてもらいましょう。それにいろいろ話をしないと。やっぱり貴方と結婚するのはお姉様ですって。きっとあの人だって私のことの方が好きなはずよ。あんな出来の良いお姉様、嫌がる男性がほとんどだもの。隙が無い女は嫌われるのよ。

 オリバーの屋敷に到着し馬車を一人おりて、大きな両扉のベルを鳴らすと、ホウキを持ったメイドが顔を出した。それに対してミアはにっこりと笑って「オリバーはいる?」と声をかけた。

「いらっしゃいます。どうぞ中へお入りください」

 馬車の方に手を上げると、馬車は屋敷の方へ走り出した。屋敷の中に入るとミアは二階へと案内された。この屋敷は新しくウィルの屋敷よりずいぶん大きいけれども、センスがあるわけではない。
 あの人の屋敷の方がアンティーク調でセンスあるわね。

 角部屋からオリバーが出てきて、ミアはにっこりと笑った。

「どうしたんだ。ミア」
「お姉様が見つかったからそこへ行ってきた帰りなの」

 それを聞いたオリバーは不機嫌そうにしてため息を吐いた。

「ソフィアか。どこに居たんだ」
「そんなのどこでもいいでしょう。話があるの」
「話?」
「では一階へいらしてください」
「ごめんなさい。それは大丈夫」

 ミアはそう言うとオリバーの背中を押して先ほどオリバーが出てきた部屋に押し込んだ。部屋の中に入ると、ミアは部屋の扉を閉めた。

「なにがあったんだ」
「オリバー、伯爵家を継いだら、お給料はどれぐらいなの?」
「ミア、君がそんなこと気にする必要ないんだよ」

 気にする必要ないって、何をそんなに隠す必要があるの。さっさと教えなさいよ。あの屋敷のケイルトンは堂々と収入を話したのに。

「大体一千ゴールドぐらいかな」
「え、すごーい。私オリバーのこと見直しちゃった」

 これもまた嘘ね。私の前で大体の男は嘘をつくのよ。たぶん盛ってる。だいたい八百、九百ゴールドぐらいだと仮定すると、あのケイルトンの方が金を持っているし、身なりも良いし、センスがある。オリバーよりウィルの方が良い男だというのは一目瞭然。

「それでなんで給料の話?」
「あ、それはどうでもいいの。聞いてみただけ。本題なんだけど、私お姉様と仲直りしたいの」
「な、なんで。ソフィアなんかもう縁を切ってしまえば良いだろう」

 縁を切ってしまったら、あの男を取り逃がしちゃうじゃない。

「だって、いじめられたって言っても、血のつながった姉妹なのよ。私とオリバーとお姉様とお話をして、仲直りをしたいの。お願い。仲直りのしるしにこじんまりした舞踏会を開きたいのよ。そこで堂々と仲直りしたいの」

 その説明を聞いたオリバーはニヤッと笑い、ミアとソフィアの仲直り舞踏会に大いに賛成した。その舞踏会でまたソフィアを孤立させられると思ったのだ。

「それでその舞踏会をここで開きたいの。できない?」
「できるよ。大広間はまだほとんど使ったことが無いし。いろいろそろっている」
「本当に?ありがとう」

 ここで舞踏会を開けるなら好都合ね。私の家と、ケイルトン家との中間地点。もしお姉様が来なかったら、馬車でもなんでも送ってやる、手紙だって何通だって出す。お姉様のことだし、ウィル様とそう簡単に結婚するわけないわ。あんなに警戒心が高くて、純粋なお姉様なんですもの。問題はウィル様がお姉様に対して積極的かどうか。お姉様は押に弱いし。

「じゃあ日時とか、色々決めるから。その時になったら教えるわね。本当にありがとう。愛してる」
「ああ、俺も愛してるよ」

 軽いキスを交わして、ミアはにっこりと笑った。

あなたにおすすめの小説

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

追放された宮廷花師が辺境の荒野に花を咲かせたら、王都の庭園だけが枯れ続けているようです

歩人
ファンタジー
「花を飾るだけの令嬢は不要だ」——王城の庭園を十年守った伯爵令嬢フローラは追放された。 翌月、王城の庭園が一夜にして枯れ果てる。さらに隣国への外交花束を用意できず国際問題に—— フローラの花束に込められた花言葉が、実は外交メッセージそのものだったのだ。 一方、辺境の荒野に降り立ったフローラが地面に触れると花が芽吹き始める。 荒野を花畑に変えていくスローライフの中で、花の感情が色で見える加護が目覚めて——。

【完結】私から全てを奪った妹は、地獄を見るようです。

凛 伊緒
恋愛
「サリーエ。すまないが、君との婚約を破棄させてもらう!」 リデイトリア公爵家が開催した、パーティー。 その最中、私の婚約者ガイディアス・リデイトリア様が他の貴族の方々の前でそう宣言した。 当然、注目は私達に向く。 ガイディアス様の隣には、私の実の妹がいた── 「私はシファナと共にありたい。」 「分かりました……どうぞお幸せに。私は先に帰らせていただきますわ。…失礼致します。」 (私からどれだけ奪えば、気が済むのだろう……。) 妹に宝石類を、服を、婚約者を……全てを奪われたサリーエ。 しかし彼女は、妹を最後まで責めなかった。 そんな地獄のような日々を送ってきたサリーエは、とある人との出会いにより、運命が大きく変わっていく。 それとは逆に、妹は── ※全11話構成です。 ※作者がシステムに不慣れな時に書いたものなので、ネタバレの嫌な方はコメント欄を見ないようにしていただければと思います……。

妹の様子が、突然おかしくなりました

柚木ゆず
恋愛
「お姉様っ、奪うなんて言ってごめんなさいっ! あれは撤回しますっ! ジョシュア様に相応しいのはやっぱりお姉様だったわっっ!!」  私の婚約者であるランザルス伯爵家のジョシュア様を好きになり、奪い取ると宣言していた妹のロレッタ。そんなロレッタはある日突然こう言い出し、これからは私を応援するとも言い出したのでした。  ロレッタはお父様とお母様にお願いをして、私を軟禁してまで奪おうとしていたのに……。何があったのでしょうか……? ※9月7日 タイトルの一部とあらすじの一部を変更させていただきました。

精霊の愛し子が濡れ衣を着せられ、婚約破棄された結果

あーもんど
恋愛
「アリス!私は真実の愛に目覚めたんだ!君との婚約を白紙に戻して欲しい!」 ある日の朝、突然家に押し掛けてきた婚約者───ノア・アレクサンダー公爵令息に婚約解消を申し込まれたアリス・ベネット伯爵令嬢。 婚約解消に同意したアリスだったが、ノアに『解消理由をそちらに非があるように偽装して欲しい』と頼まれる。 当然ながら、アリスはそれを拒否。 他に女を作って、婚約解消を申し込まれただけでも屈辱なのに、そのうえ解消理由を偽装するなど有り得ない。 『そこをなんとか······』と食い下がるノアをアリスは叱咤し、屋敷から追い出した。 その数日後、アカデミーの卒業パーティーへ出席したアリスはノアと再会する。 彼の隣には想い人と思われる女性の姿が·····。 『まだ正式に婚約解消した訳でもないのに、他の女とパーティーに出席するだなんて·····』と呆れ返るアリスに、ノアは大声で叫んだ。 「アリス・ベネット伯爵令嬢!君との婚約を破棄させてもらう!婚約者が居ながら、他の男と寝た君とは結婚出来ない!」 濡れ衣を着せられたアリスはノアを冷めた目で見つめる。 ······もう我慢の限界です。この男にはほとほと愛想が尽きました。 復讐を誓ったアリスは────精霊王の名を呼んだ。 ※本作を読んでご気分を害される可能性がありますので、閲覧注意です(詳しくは感想欄の方をご参照してください) ※息抜き作品です。クオリティはそこまで高くありません。 ※本作のざまぁは物理です。社会的制裁などは特にありません。 ※hotランキング一位ありがとうございます(2020/12/01)

なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?

ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。 だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。 これからは好き勝手やらせてもらいますわ。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました

饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。 わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。 しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。 末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。 そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。 それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は―― n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。 全15話。 ※カクヨムでも公開しています