【勢い小説】転生したらただの〇〇〇〇でした

しゅーげつ

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第一章 とある牢獄でひっそり横たわる男へ

第六話

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『ただしか』前回までは――



「こ……こんなに強いなんて……今の僕達じゃ……!」




「勇者!諦めるな!!」

「でもさ~このままじゃみんなやられちゃう~」

「……残念だけど一度逃げよう、生き残れば道は開け――」
「あのツノッパゲ、逃がさないぞって顔してんじゃん~」

「勇者……漂う小物臭からして倒して城に帰っても
『わはははは、わが名は~』だの
真の魔王が出て来そうなフラグが立ってるぞ」

「そんな……テンプレ……あるはずないよ!あっちゃいけないよ!!」


「勇者……私が攻撃を食い止める!
 その間に皆を連れて逃げるんだ!」

「な!何を!」

「それしかない! そして……新たな仲間と――
 必ずバラモスを倒してくれ!!」


「ラリホー!」
「ゆ、勇者……何を……スヤァ」

「と、トンスラ!何してんのよ~」

「……今のうちに二人で彼女を担いで逃げるんだ」
「トンヌラが死んだら誰が魔王を倒すのよ~~」

「すまない……けど女の子を盾に自分は逃げるなんて……
そんなのは勇者じゃない!!」



「僕は、勇者だ!」



荘厳な序曲が頭の中に響き渡る。
勇者の剣を高らかに掲げて、絶体絶命のピンチに、

死力を尽くして立ち上がる、トンスラの姿!


※イメージ映像です


***


クイックイッ
#手らしき突起を突き出す

クククイーッ
#両手で四角を描く

グイーッ!!
#腕を前から上にあげて~大きく背伸びの運動~はい♪


「こいつ……『ふかいなおどり』を使うぞ!勇者!」


ちげえよエロ戦士!!

クイックイックククイーッ!
グイーッ!!

「うーん……攻撃してくる気配もないけど」

クイックイックイックククイーックククイッ!
グイーッグイーッグイングイングイン!!

「ねぇー……トンスラ~もう帰ろうよ~」

くっそ駄目だ!!!
この身体じゃ語彙力が乏しすぎる!!!


『デ、デブゥ……(思案』



お、おおお??
まままさか、お前がオレの意図を察するのか!?


『デブゥ(夜のア。サラーム)』


おい豚。
お前今全然別の事考えてたろ。

頬を赤らめてんじゃねぇよ。


期待したオレがアホだった。
このままでは本当に帰ってしまう!!

何か……他に方法は無いのか……!!


コンマ数秒での現状把握を試みるオレの目の前には、

怪訝そうにこちらを伺う勇者、
警戒を解かず剣を構える戦士、
松明片手に枝毛を探す女僧侶、

妄想完了で賢者状態の遊び人。

ダメだこいつら。早くなんとかしないと。


オレのハの字型の垂れ目に、
まさしく一縷の希望の光が飛び込んだ!


オレは決死の覚悟でパーティーに突撃する!!


「うわあ!」
「お、おのれこいつ!!」

「デブゥ(事後」


「ちょ~~!こっちこないでよ~!!」



慌てふためく一行の合間を縫って、オレは僧侶に飛びついた!!
狙いはあれ……だ!
「やだ~!向こういってよ!!」

ぶぅん!!と言う風切り音と同時に放り投げたそれが地面に転がる。

ボゥッと風に揺れる赤い火花。
僧侶がうっかり手放したのは『松明』だ。


オレはすかさず石畳を焦がす松明の前に踊り出た!!


「あ~~アタシの松明~!トンスラ取り返してよ~!」

「え……僕いま丸腰……」

「勇者……情けないぞ!!」


逡巡する奴らを前に火をバックに、
オレはおもむろに、

身体を大きく、限りなく伸ばして両手を突き出す。


オレは出来る限り端的に、選び抜いた語句を、
考え抜いた方法で伝えようと試みる。

『影絵』だ――






……リは無理だ!
身体を再び真っ二つにされにゃならん!



とりあえずこれでヨシとしよう。

どうだ……少しは伝わったか!?


「なにこいつ~~」

だだだだだめか!!
オレじゃない!!壁を見ろ!後ろの壁だよ!!

オレはすかさず短い手をクイッと指して壁を注視させると、
急いで3文字を繰り返す。

こいつには骨は無いが、軋む思いで身体を捩り捻り上げる。

「勇者……何かを描いてるんじゃないか?」

ナイス痴女戦士!!
お前はヤる子だと思ってたぞ!!!

「デブゥ(傍観」

いいよお前は。余韻に浸っとけ。

「うーん……なんだろう?」

勇者は顎に手を置いて、牢屋の壁に投影される高速文字を凝視する。

「最初のこれは……h??
次は……tか。

Ht……それから……y?」



ししししまった!!
言葉が通じるからてっきり……この世界――


英語が標準語じゃねえか!!



え、英語で伝えるしかないのか……!?

いや!
駅前にも一人で行けないオレに留学歴は無い。
ノバれる訳が無い!!


どうする?どーすんの?オレ!!!

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