あっち向いてホイっ!

ありま

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「なあ、ツヨシ。今度の休みどっか行かねぇ?」
 
「そうだなー、映画でも行くか!」
 
 いやいや、そうじゃないんだ…
 
 お前とみおちゃんをなんとかしたいから……
 
 ここは、やっぱり定番の…
 
「う~ん、遊園地がいいんじゃないかなぁ」
 
「遊園地?  男同士で……」
 
「だからぁ、女子も誘わね?」
 
「ああ、まことだろ」
 
「まこともいいけど…  みおちゃんなんかどうかな?」
 
「エッ、ああ、うん…」
 
 モゴモゴ言いながら、あわてて顔を赤くするあたり、本気で好きなんだと思う。
 
「じゃあ、決まり!  まことには俺から聞いとくから、それでいいか?」
 
「オッ、オウ。  頼むな」
 
 
『なあ、余計なお世話じゃねぇ?』
 
 そんなことないだろ、喜んでくれるって…
 
『でもな…  みおの気持ちも確かめないで…』
 
 大丈夫だよ。
 
 ツヨシはスゲーいい奴なんだから、絶対うまくいくって…
 
 それにさ、自分のこと好きな奴と一緒の方が幸せだと思うぜ。
 
『それは、お前の考えだろ』
 
 
 ついでに、まりあ先輩も誘ってみようかな?
 
 もっと仲良くなりたいし…
 
 三年生は、受験で大変かもしれないけど、気分転換にどうか、聞いてみようかな……。
 
 ここは、まことに頼むべきか?
 
 自分で聞くべきか……。
 
 
『お前、勝手だな…』
 
 なんのことだよ!
 
『本人の気持ちを無視して…』
 
 勝手でもなんでも、もう決めたから、ごちゃごちゃ言うなよ。
 
『どうなっても知らないぞ!』
 
 
『オレは、忠告したからな…』
 
 茶々丸には、本能でわかっていたと思う。
 
 俺は、ツヨシと自分のことしか、考えていなかった。
 
 
 このときの俺は、すごくいいアイデアだと疑わずにいた。
 
 
 今、思えば……
 
 なんてバカなことをしたんだろうと後悔…  している。
 
 俺の無神経さに、ホトホトあきれかえる……。
 
 
 
「おーい、まこと。」
 
「何の用?」
 
「今度の休みに遊園地に行こうと思ってんだけど…  一緒にどうかなぁと…」
 
「遊園地!?  ふたりで?」
 
 ただでさえ大きな目が、更に見開いていた。
 
 そんなに驚くことか?
 
「いやいや、ツヨシと一緒なんだけど…」
 
 他にも誘った方がよかったかなぁ…
 
「まりあ先輩やみおちゃんもどうかなぁと、思って…」
 
「ふーん、そういうこと」
 
 なぜか、含みのある言い方をしながら、ニヤニヤしている。
 
 勘づかれたか?
 
 まあ、バレてもいいけど…
 
 この際、協力してもらおうかな…
 
 いや、でも…  弱みをみせるのは…
 
 ちょっと、まずいかなぁ……。
 
「返事、明日でもいいか?」
 
「ああ、じゃあ頼むよ」
 
「オッケー、それじゃあ明日」
 
『ホントにこれでいいのか?…』
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