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しおりを挟む今日は、雲ひとつない青空が広がる快晴で、何か良いことが起こりそうな予感……。
結局、橘三姉妹とツヨシと俺で、遊ぶことになっていた。
待ち合わせ場所に、ふたりの姿がみえた。
エッ、…ふたり?
近づくと、いやでもわかった…
いるはずの人がいなかった。
「あっれー、まりあ先輩は?」
「悪いなちょっと、用事が出来て… 来れない」
「あっ、そうなんだ…」
用事ってなんだろう?
会えると思ってたから、ショックを隠せない… けど…
「真聖先輩、元気ありませんよ」
「そっ、そんなことないよ。 気のせい、気のせい」
ヤバイ、みおちゃん意外とするどいなぁ~。
「それならいいんですけど…」
「みおちゃん、今日はよろしくね」
「あっ、はい。 ツヨシ先輩…」
ああ、そんなに顔真っ赤にしたら、変に思われるぞ。
ほら、みおちゃんが不思議そうに小首をかしげてる……。
「まずは、ジェットコースターかな」
「はいはい、みお、真聖先輩と乗りたい!」
エッ、俺と……。
それは、まずいなぁ~。
なんとかしないと……。
「ここは、ジャンケンで決めようぜ」
「ええーっ、真聖先輩とがいいのに……」
「みお、わがまま言わないの!」
「ちぇ~、わかりましたよーだ」
「では、ジャン、ケン、ポン!」
「なんだよこれ~」
「こんなのあり!?」
「男同士で、ジェットコースターに乗るはめに…」
「まあ、決まったことだし…」
不満げな顔のツヨシが、蚊の泣くような声で聞いてきた。
「おい、真聖… みおちゃんって、お前のこと好きなのかな?」
「そんなことないだろ」
「さっきから、お前にしか話しかけないし、俺なんか眼中にないみたいだ」
『ほら、みろ! だから言っただろ…』
『誰が見たって、お前に気があるように見えてるんだ』
でもさ、女の子って、好きでもない相手でも、気のあるフリをするって聞いたことがあるけど……
みおちゃんも、そんな感じじゃないかなぁ?
その後も、ジャンケンをしながら、色々と乗ったけど…
なかなか、思惑通りには、うまくいかず、ほぼ男同士で乗ってしまった。
「そろそろ、お腹空かないか?」
まことがそんなことを言い出した。
たしかに、お腹は減っていたが…
それ以上に、ツヨシの落ち込みがますますひどくなり、さすがに俺も、どうしたらいいか、わからなくなってきた。
「真聖先輩、好き嫌いありますか?」
エッ、なに? いきなり……
「俺は、たこ焼が好きだけど…」
『オレも、たこ焼大好き』
お前はいいの…。
「意外です。たこ、食べれるんですね?」
「ああ、ツヨシも、たこ焼好きだよなぁ?」
「エッ、うっ、ああ、そうだな」
「真聖先輩、好きな人いますか?」
これまた、ストレートな質問で…
「一応……いるよ」
「誰ですか?」
「教えるわけないだろ」
「エッ~、いいじゃないですか。減るもんじゃないんだから…」
「だ~め!」
何故、俺がこんなに質問攻めにあうんだ?
ツヨシの落ち込みが、手に取るようにわかるだけに… ツラい。
「私は… 知ってるよ」
まことが知った風なことを言った。
誰にも言ってないし、もちろん、ツヨシにも秘密だ……。
「はあー、何でだよ!」
「お前の態度を見ていたら、誰でも気づくよ」
そんなはずはない……。
うまくごまかせてるはずだ…。
「まことちゃん、教えて!」
「どうしようかな~」
ニヤニヤしながら、こっちの反応をうかがっている……。
そんなに、面白がらないでほしい。
「やめてくれ! 勝手なこと言うな」
俺は、ものすごくあわてた……。
まさか、こんな所でバラされそうになるなんて…。
今朝は良いことが起こりそうだったのに、今の気分は最悪だ……。
『だから言ったんだ。やめておけって…』
いまさらなぁ~
あとには引けない……。
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