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第一部
12話 サキは清楚系ビッチ!?
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放課後。
タカが教室にやってきた。
わざわざ『サキの悪いウワサ』を伝えに来てくれたのだ。
「田中さんさあ。
中学んとき、あおいくんみたいな可愛い系の男子と付き合っていたことがあるらしい……」
タカの話はこうだ……
☆☆☆
タカはある日、田中サキを廊下で見かけた、
「今すれ違ったあの子、すごい可愛くない?
誰か知ってる?」
とタカは友達に、サキの後ろ姿をこっそり指さしながら聞いた。
「ああ……。
田中さんだな」
と友達はそっけなく言った。
「知ってんの?
友達とか?」
「中学、同じ」
「え~。
仲良いなら、紹介して」
「仲良くないし」
と友達は顔をしかめつつ、
「アイツはやめておいたほうがいい」
と言うとサキの過去のことを話し始めた、
「田中さんは中学んとき、男を取っかえ引っかえしていたよ。
1週間でフラれる子とかも普通にいたし」
「マジ?
いやぁ、めちゃくちゃ清楚系に見えたけど……」
「清楚系ビッチってやつだよ――中学んときからそうだったよ。
ま、もっとも今は特に悪いウワサ聞かないし、高校入ってキャラ変したのかもな」
「今は心を入れ替えたんならいいじゃん~」
とタカが呑気に言うと、友達はあきれたように
「はあ?
お前はバカか?」
と頭を人差し指でトントン叩きながら言った、
「人間、そう簡単には変わらないんだよ。
表面的に変わったように見えても、根っこは変わんないんだよ。
田中さんが今は男遊びをしなくなったように見えたとしても、そんなの表面的な情報に過ぎねーだろ!
高校に入って行動範囲が広くなり外で遊んでいるだけかもしれねーし。
中学んとき悪いウワサが流れたのを教訓にして高校では真面目なふりをして、やっぱり外で遊んでいるのかもな。
簡単に見た目に騙されんなよな。
悪いオンナは魅力的かもしれねーけど、好きになっても良いことなんてねーんだよ」
「まるで親でも殺されたようなこと言うんだな~」
とタカが熱く語る友達に軽く引きながら言うと、友達は彼をにらんだ、
「親は殺されてないけど。
友達はヤラレタ」
タカはびっくりした、
「ええ!?
殺ラレタ…!?
って何!? 友達死んだの!?」
「違う。
ヤラレタのヤはカタカナのヤ」
「ヤラレタ……。
ああ。そっちか。
って。ええ!?
友達、もしかしてヤリ捨てされたのか!?」
「ヤリ捨てじゃない。
田中さんの家行ってさ。
キスされそうになって、『まだ付き合ってそんなに経ってないし心の準備が』とか断ったら、田中さんすげー怒ったんだと。
それで
『じゃぁもう帰ってよ!』
『男が女の部屋に来た時点でOKって言っているようなもんなのよ。普通そうでしょ!』
『やらないならもう終わりだからね!』とか言われて別れたんだと」
『ヤラレタ』と言う割りに実際はヤラレてはいないのか……とタカは思ったものの、それはそれで怖い経験だっただろうなと思った。
ヤラレていないにしても、女が男を部屋に連れ込んで、『やらないなら帰ってよ』。
十分怖い。
かわいそう。
しかも中学生のときのことだったのだ。
タカもそれきり田中サキに憧れることはなくなった。
すれ違っても『清楚系ビッチの男の敵』としか思わなくなった……
☆☆☆
……以上がタカの話だった。
私はタカの話を自分では気付かないうちに口をポカンと開けて、聞いていた。
思った以上に『悪いウワサ』で、ビックリだわ!
と言うか『ウワサ』じゃなくない?
かなり、信憑性があるじゃない。
タカの友達の、友達がサキの被害者ってわけでしょ……。
これはやばいやつだー!
「それで、そのヤラレそうになった友達って言うのがさ、可愛い系の男子なんだって。
当時、背も田中さんと同じくらいで華奢な感じだったって。
おれの友達、言ってたぜ、
『田中さんは大体、どちらかというと可愛い系の男子とウワサになることが多かった。
そうじゃないのもいたけど』。
それで、可愛い系男子のあおいくんが田中さんと一緒に仲良く話しているのを見て、
『これは事件だ!』
って思って、ケイに教科書借りるついでにご進言したわけ」
とタカはどこか得意げだったが……。
そう……。ついでに、ね。
私がケイをチラリと見ると、ケイは腕を組みつつ真剣な顔で言った、
「と言うわけで、あおい。
お前が
『おれはモテない可愛い系男子だから田中サキはおれのことなど眼中にない』
と言うのは間違っている!
間違いない!
田中さんはあおいのことタイプなんだ!」
な、なんだってー!?
いや、バカなのかもしれないけど、ここまで聞いてもやはり現実感がなかった。
脳が話としては理解しているけど、現実とは認識していない感じ……。
それを言うと『サキの悪いウワサ』もそう。
そんな悪いオンナだったんだ、と思いつつも信じられない。
クラスメートのためにプリントをコピーしたり先生のために本を取りに行ったりするサキが……(まあ係の仕事だろうが)。
それにサキのあの屈託のない笑顔。
悪いオンナだと、脳が現実のことだと認識していない。
「あおい?」
とりんが心配そうに顔をのぞき込んだ。
りんの顔のドアップに、そんな場合じゃないのにどうしても顔がニヤついてしまう、
「あはは……」
と私は顔のニヤつきをごまかすために笑ってから、
「でもさ、やっぱりナイと思うけどなあ……」
「なんで?」
とりんが目を細めて、少し冷たい調子で言う。
「だってさあ。
おれ可愛いって言っても、大して可愛くないし。
サキとは釣り合わないし~。
大丈夫だって」
「お前はバカか?」
とタカが頭をトントン人差し指で叩きながら言った。
それから「ごめん。ちょっと言いたかっただけ」と謝ると、言った、
「田中さんにとっては『遊び』なんだよ。
釣り合うとか、釣り合わないとか関係ないし!」
こいつ。私とサキは釣り合わない、って言っているも同然だわ。
「そうだよ、あおい!
『遊ぶだけなら顔はどうでもいい、巨〇であればそれでいい』
って言うオンナだって世の中にはいるんだぞ!?」
とハヤトが言った。
どうやら私、顔をディスられた模様。
それに言っておくけどねー。
女子が皆、巨〇好きとか思うのは間違っている!
少なくとも私は全く気にしない!
好きになった人が好きなサイズよ!(何言ってるんだか……)
もしもりんが……いやこれ以上は何も言えない……考えられない……考えちゃダメ……。
「あおい。
おまえちょっと女らしいところあるよな。
女子っぽい」
とケイが神妙に言うので、私はドキドキしてしまった、
「そうか?
おれって女っぽいかなあ~。
自分ではよくわからない」
ケイは私をズバリ! と指さした、
「しかし!
お前は実際には『女子』じゃない、『男子』だ。
だからお前には女子の気持ちはわからない。
女子はな、お前が思っている以上にケダモノなんだよ!
『この子とならヤれる』
みたいなこと男子と接しているときは常に思ってんだよ。
清楚系ビッチの田中さんならなおさらそうだ。
いいか、あおい。
田中さんはやめておけ。
『一生に一度あんな美少女と付き合ってみてー』とか、
『おれなら彼女を変えられる』
とか言う甘いこと、決して思うな」
ずいぶんサキの株が下がったものだ……。
数日前までサキを見ると、わーわー憧れを語っていたのに。
それだけ『悪いオンナは男の敵』と言う意識が強いのだろう。
「あおい。
ケイの言うとおりだ。
男に対する女の欲求をナメちゃいけないんだよ。
自衛しないと」
りんが真面目な顔で言うので、私は素直に頷いた、
「わかった、気を付ける」
「よし。えらい!」
と言って、りんは私を軽く抱き締めた。
りんの広い胸……久々……。
ずっとこうしていたいよ……(変態だー!)。
しかし。
『男に対する女の欲求をナメちゃいけない』か。
……私自身の欲求もナメちゃいけないのだろうか?
暴走することもあるのだろうか?
私は自制してりんの胸から離れた。
私は悪いオンナじゃない!
男子を尊重する淑女よ!
まあ、男子と一緒に着替えたり男子トイレに入ったり。
男子のフリして、男子に抱き締められたりしているけど……。
私はもっと淑女にならなきゃ! と思った。
『男装』により犯している罪を相殺できるくらいの淑女に……(無理?)
タカが教室にやってきた。
わざわざ『サキの悪いウワサ』を伝えに来てくれたのだ。
「田中さんさあ。
中学んとき、あおいくんみたいな可愛い系の男子と付き合っていたことがあるらしい……」
タカの話はこうだ……
☆☆☆
タカはある日、田中サキを廊下で見かけた、
「今すれ違ったあの子、すごい可愛くない?
誰か知ってる?」
とタカは友達に、サキの後ろ姿をこっそり指さしながら聞いた。
「ああ……。
田中さんだな」
と友達はそっけなく言った。
「知ってんの?
友達とか?」
「中学、同じ」
「え~。
仲良いなら、紹介して」
「仲良くないし」
と友達は顔をしかめつつ、
「アイツはやめておいたほうがいい」
と言うとサキの過去のことを話し始めた、
「田中さんは中学んとき、男を取っかえ引っかえしていたよ。
1週間でフラれる子とかも普通にいたし」
「マジ?
いやぁ、めちゃくちゃ清楚系に見えたけど……」
「清楚系ビッチってやつだよ――中学んときからそうだったよ。
ま、もっとも今は特に悪いウワサ聞かないし、高校入ってキャラ変したのかもな」
「今は心を入れ替えたんならいいじゃん~」
とタカが呑気に言うと、友達はあきれたように
「はあ?
お前はバカか?」
と頭を人差し指でトントン叩きながら言った、
「人間、そう簡単には変わらないんだよ。
表面的に変わったように見えても、根っこは変わんないんだよ。
田中さんが今は男遊びをしなくなったように見えたとしても、そんなの表面的な情報に過ぎねーだろ!
高校に入って行動範囲が広くなり外で遊んでいるだけかもしれねーし。
中学んとき悪いウワサが流れたのを教訓にして高校では真面目なふりをして、やっぱり外で遊んでいるのかもな。
簡単に見た目に騙されんなよな。
悪いオンナは魅力的かもしれねーけど、好きになっても良いことなんてねーんだよ」
「まるで親でも殺されたようなこと言うんだな~」
とタカが熱く語る友達に軽く引きながら言うと、友達は彼をにらんだ、
「親は殺されてないけど。
友達はヤラレタ」
タカはびっくりした、
「ええ!?
殺ラレタ…!?
って何!? 友達死んだの!?」
「違う。
ヤラレタのヤはカタカナのヤ」
「ヤラレタ……。
ああ。そっちか。
って。ええ!?
友達、もしかしてヤリ捨てされたのか!?」
「ヤリ捨てじゃない。
田中さんの家行ってさ。
キスされそうになって、『まだ付き合ってそんなに経ってないし心の準備が』とか断ったら、田中さんすげー怒ったんだと。
それで
『じゃぁもう帰ってよ!』
『男が女の部屋に来た時点でOKって言っているようなもんなのよ。普通そうでしょ!』
『やらないならもう終わりだからね!』とか言われて別れたんだと」
『ヤラレタ』と言う割りに実際はヤラレてはいないのか……とタカは思ったものの、それはそれで怖い経験だっただろうなと思った。
ヤラレていないにしても、女が男を部屋に連れ込んで、『やらないなら帰ってよ』。
十分怖い。
かわいそう。
しかも中学生のときのことだったのだ。
タカもそれきり田中サキに憧れることはなくなった。
すれ違っても『清楚系ビッチの男の敵』としか思わなくなった……
☆☆☆
……以上がタカの話だった。
私はタカの話を自分では気付かないうちに口をポカンと開けて、聞いていた。
思った以上に『悪いウワサ』で、ビックリだわ!
と言うか『ウワサ』じゃなくない?
かなり、信憑性があるじゃない。
タカの友達の、友達がサキの被害者ってわけでしょ……。
これはやばいやつだー!
「それで、そのヤラレそうになった友達って言うのがさ、可愛い系の男子なんだって。
当時、背も田中さんと同じくらいで華奢な感じだったって。
おれの友達、言ってたぜ、
『田中さんは大体、どちらかというと可愛い系の男子とウワサになることが多かった。
そうじゃないのもいたけど』。
それで、可愛い系男子のあおいくんが田中さんと一緒に仲良く話しているのを見て、
『これは事件だ!』
って思って、ケイに教科書借りるついでにご進言したわけ」
とタカはどこか得意げだったが……。
そう……。ついでに、ね。
私がケイをチラリと見ると、ケイは腕を組みつつ真剣な顔で言った、
「と言うわけで、あおい。
お前が
『おれはモテない可愛い系男子だから田中サキはおれのことなど眼中にない』
と言うのは間違っている!
間違いない!
田中さんはあおいのことタイプなんだ!」
な、なんだってー!?
いや、バカなのかもしれないけど、ここまで聞いてもやはり現実感がなかった。
脳が話としては理解しているけど、現実とは認識していない感じ……。
それを言うと『サキの悪いウワサ』もそう。
そんな悪いオンナだったんだ、と思いつつも信じられない。
クラスメートのためにプリントをコピーしたり先生のために本を取りに行ったりするサキが……(まあ係の仕事だろうが)。
それにサキのあの屈託のない笑顔。
悪いオンナだと、脳が現実のことだと認識していない。
「あおい?」
とりんが心配そうに顔をのぞき込んだ。
りんの顔のドアップに、そんな場合じゃないのにどうしても顔がニヤついてしまう、
「あはは……」
と私は顔のニヤつきをごまかすために笑ってから、
「でもさ、やっぱりナイと思うけどなあ……」
「なんで?」
とりんが目を細めて、少し冷たい調子で言う。
「だってさあ。
おれ可愛いって言っても、大して可愛くないし。
サキとは釣り合わないし~。
大丈夫だって」
「お前はバカか?」
とタカが頭をトントン人差し指で叩きながら言った。
それから「ごめん。ちょっと言いたかっただけ」と謝ると、言った、
「田中さんにとっては『遊び』なんだよ。
釣り合うとか、釣り合わないとか関係ないし!」
こいつ。私とサキは釣り合わない、って言っているも同然だわ。
「そうだよ、あおい!
『遊ぶだけなら顔はどうでもいい、巨〇であればそれでいい』
って言うオンナだって世の中にはいるんだぞ!?」
とハヤトが言った。
どうやら私、顔をディスられた模様。
それに言っておくけどねー。
女子が皆、巨〇好きとか思うのは間違っている!
少なくとも私は全く気にしない!
好きになった人が好きなサイズよ!(何言ってるんだか……)
もしもりんが……いやこれ以上は何も言えない……考えられない……考えちゃダメ……。
「あおい。
おまえちょっと女らしいところあるよな。
女子っぽい」
とケイが神妙に言うので、私はドキドキしてしまった、
「そうか?
おれって女っぽいかなあ~。
自分ではよくわからない」
ケイは私をズバリ! と指さした、
「しかし!
お前は実際には『女子』じゃない、『男子』だ。
だからお前には女子の気持ちはわからない。
女子はな、お前が思っている以上にケダモノなんだよ!
『この子とならヤれる』
みたいなこと男子と接しているときは常に思ってんだよ。
清楚系ビッチの田中さんならなおさらそうだ。
いいか、あおい。
田中さんはやめておけ。
『一生に一度あんな美少女と付き合ってみてー』とか、
『おれなら彼女を変えられる』
とか言う甘いこと、決して思うな」
ずいぶんサキの株が下がったものだ……。
数日前までサキを見ると、わーわー憧れを語っていたのに。
それだけ『悪いオンナは男の敵』と言う意識が強いのだろう。
「あおい。
ケイの言うとおりだ。
男に対する女の欲求をナメちゃいけないんだよ。
自衛しないと」
りんが真面目な顔で言うので、私は素直に頷いた、
「わかった、気を付ける」
「よし。えらい!」
と言って、りんは私を軽く抱き締めた。
りんの広い胸……久々……。
ずっとこうしていたいよ……(変態だー!)。
しかし。
『男に対する女の欲求をナメちゃいけない』か。
……私自身の欲求もナメちゃいけないのだろうか?
暴走することもあるのだろうか?
私は自制してりんの胸から離れた。
私は悪いオンナじゃない!
男子を尊重する淑女よ!
まあ、男子と一緒に着替えたり男子トイレに入ったり。
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