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第一部
25話 キョウとサキの寸劇
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教室に3人一緒に戻るのはマズイので、『トイレに行く』と出てきた私から戻ることにした。
教室に戻ると、皆それぞれの席に座っていた。
時計を見ると、もうすぐ授業が始まる時間だ。
私はりんの席にお弁当箱を取りに行った。
「大丈夫か、あおい」
とりんは私を心配そうに見てくる。
私は笑顔で、
「ちょっとお腹が痛くて……」
と言った。
りんが心配したのはキョウの発言で私がはやし立てられたことだろうけど、わざと気付かないフリをした。
でも気持ちは受け取っているよ、ありがとう、りん。
私が自分の席に戻ってしばらく経つと、サキとキョウも教室に戻ってきた。
キョウは私と目が合うとパチッとウィンクしてきた。
他の人に気付かれたらどうするの……と私は少しあきれた。
うかつに見ることもできないなあと思う。
キョウくんに関する教訓。
※※※
授業が全て終わり放課後になると、キョウは再び女子に囲まれた。
「色々教えてよー」
「えっ。
色々って何だろう?」
とキョウは余裕の微笑みを浮かべながら言った。
「例えば、今までに付き合った子の話とか」
「残念ながらまだ彼女はできたことないなあ」
とキョウはあっさり言った。
えっ。キョウくん。意外とサワヤカ男子なの!?
……と私は少しトキメイタ。
(サワヤカ男子……この世界の言葉。清楚系女子の男バージョン。身持ちの堅い男性)
「じゃあ彼氏は?
彼氏はいたことある?」
と女子は詰め寄った。
と言うか女子はもともとキョウの『彼女』のことを聞きたくて、『今までに付き合った子』について聞いたわけではないのだ。
今までに付き合った『彼氏』のことを知りたかったのだ。
「彼氏かぁ……」
とキョウは私を見た。
私はキョウと再び目が合ってしまった。(早速『キョウくんに関する教訓』を忘れている私……)
キョウはニコニコと私を見てきて、私はひるむ。
女子もキョウの視線を追って私を見る。
そして、『えーっ』と言い出した、
「まさか鈴木(キョウ)くん。
佐藤(あおい)くんが初彼氏なの!?」
どうしてそうなった。
「違うよー。
あおいちゃんは初恋の人と言っただけだよ。
気持ちも伝えられないまま、あおいちゃんは転校したって言わなかった?」
女子はうなづいた、
「確かにそう言っていた……」
「彼氏もいたことないよ。
と言うか、僕、普通に女の子が好きだからね」
えっ……と女子がちょっとガッカリした風につぶやく。
「あおいちゃんのことは確かに好きだったけど。
もう高校生となった今は、やっぱり普通に女子がイイかなあ。
僕の初恋は、小学生時代の――まだ女男の体の違いが少ない頃の――淡い思い出と言うか。
たぶんもう男子を好きになることはないと思う」
とキョウが言うと一人の女子が反論した、
「でも、佐藤くんのこと、『可愛い』っていっぱい褒めてたよね?」
「あ、うん……」
とキョウは少しだけひるんだ様子を見せたが、すぐに立て直した、
「まあ、確かに?
言ったけど。
何て言うか……『変わってないね』と言う意味で言ったんだよ――『相変わらず可愛いね』って。
深い意味で言ったんじゃない」
「そうなんだ……」
とたいていの女子は諦めたが、疑り深い女子の一人は言った、
「もしかして鈴木くん。
佐藤くんのこと、かばっていたりしない?」
「かばう?」
とキョウはことさらきょとん顔をした。
「ほんとは佐藤くんもボーイズラブなんだけど。
佐藤くんは隠したがっていると判断して。
鈴木くんは、自分もボーイズラブではないと言うことで佐藤くんを間接的にかばっている」
「なるほどー。
そう言う想像もできるか」
とキョウは腕組みをしつつ感心したように言ったあと、ニッコリした、
「でも違うよ。
小学生時代は確かにあおいちゃんが好きだった。
だからあの頃は確かにボーイズラブだったのかもしれない。
でも高校生となった今は……」
キョウは教室のある一点を指差した、
「昼休みに職員室まで案内してくれた、田中(サキ)さんみたいなのがタイプだなあ。
すごい美人だよね」
女子がさーっと冷めていくのが、少し離れた席にいる私にもわかった。
たしかに冷める――『ボーイズラブ?』と思っていた可愛い男の子が、『ほんとは美少女が好き』と言い出したらそりゃ冷めるよ! 私でも冷める。
女子がサキのことを普段から嫌いとか嫉妬しているとかじゃない。
普通に女子もサキのことを美少女だと認め、憧れてさえいる。
しかし、男が美少女を好き、と言い出すと『やっぱり結局そうなのか……』とつい思ってしまうのだ。その美少女がサキだろうが違う誰かであろうが。
その上今回は『ボーイズラブの夢』を見た後に、『美少女好き』をアピールされたのだ。
ドン引きの勢いで冷めてしまうのも仕方ないと思う。
サキはイヤそうな顔をしながらキョウの方へ振り返った、
「私は鈴木くんみたいな、軽薄そうな子は好きじゃない」
「僕のどこが軽薄なの?
まだ女子と付き合ったこともないんだよ!」
「それ自慢げに言うこと?」
とサキはキョウをジトーッとした目で見た。
キョウは口をとがらせた、
「田中さん。
顔は美人だけど、性格はキツいね」
「そのままお返しする」
と言うとサキはさっさと教室を出て行った。
女子達も二人のやりとりを見たあと、そのうちキョウから離れて行った。
きっともう、皆『ボーイズラブの夢』を見るのはあきらめたのだ。
しかし、キョウくん上手だな、と私はつい感心してしまった。
ボーイズラブの誤解をほぼ解いてしまったし。
『美少女のサキがタイプ』と言うことで女子を冷めさせてしまった。
そして『サキとも結局仲が深まりそうにない』と言う演出(?)までやってのけた。
サキとキョウ。
昼休み、私が教室に先に戻った後に、二人で打ち合わせでもしたのかなあ……。
そこら辺はよくわからない。
教室に戻ると、皆それぞれの席に座っていた。
時計を見ると、もうすぐ授業が始まる時間だ。
私はりんの席にお弁当箱を取りに行った。
「大丈夫か、あおい」
とりんは私を心配そうに見てくる。
私は笑顔で、
「ちょっとお腹が痛くて……」
と言った。
りんが心配したのはキョウの発言で私がはやし立てられたことだろうけど、わざと気付かないフリをした。
でも気持ちは受け取っているよ、ありがとう、りん。
私が自分の席に戻ってしばらく経つと、サキとキョウも教室に戻ってきた。
キョウは私と目が合うとパチッとウィンクしてきた。
他の人に気付かれたらどうするの……と私は少しあきれた。
うかつに見ることもできないなあと思う。
キョウくんに関する教訓。
※※※
授業が全て終わり放課後になると、キョウは再び女子に囲まれた。
「色々教えてよー」
「えっ。
色々って何だろう?」
とキョウは余裕の微笑みを浮かべながら言った。
「例えば、今までに付き合った子の話とか」
「残念ながらまだ彼女はできたことないなあ」
とキョウはあっさり言った。
えっ。キョウくん。意外とサワヤカ男子なの!?
……と私は少しトキメイタ。
(サワヤカ男子……この世界の言葉。清楚系女子の男バージョン。身持ちの堅い男性)
「じゃあ彼氏は?
彼氏はいたことある?」
と女子は詰め寄った。
と言うか女子はもともとキョウの『彼女』のことを聞きたくて、『今までに付き合った子』について聞いたわけではないのだ。
今までに付き合った『彼氏』のことを知りたかったのだ。
「彼氏かぁ……」
とキョウは私を見た。
私はキョウと再び目が合ってしまった。(早速『キョウくんに関する教訓』を忘れている私……)
キョウはニコニコと私を見てきて、私はひるむ。
女子もキョウの視線を追って私を見る。
そして、『えーっ』と言い出した、
「まさか鈴木(キョウ)くん。
佐藤(あおい)くんが初彼氏なの!?」
どうしてそうなった。
「違うよー。
あおいちゃんは初恋の人と言っただけだよ。
気持ちも伝えられないまま、あおいちゃんは転校したって言わなかった?」
女子はうなづいた、
「確かにそう言っていた……」
「彼氏もいたことないよ。
と言うか、僕、普通に女の子が好きだからね」
えっ……と女子がちょっとガッカリした風につぶやく。
「あおいちゃんのことは確かに好きだったけど。
もう高校生となった今は、やっぱり普通に女子がイイかなあ。
僕の初恋は、小学生時代の――まだ女男の体の違いが少ない頃の――淡い思い出と言うか。
たぶんもう男子を好きになることはないと思う」
とキョウが言うと一人の女子が反論した、
「でも、佐藤くんのこと、『可愛い』っていっぱい褒めてたよね?」
「あ、うん……」
とキョウは少しだけひるんだ様子を見せたが、すぐに立て直した、
「まあ、確かに?
言ったけど。
何て言うか……『変わってないね』と言う意味で言ったんだよ――『相変わらず可愛いね』って。
深い意味で言ったんじゃない」
「そうなんだ……」
とたいていの女子は諦めたが、疑り深い女子の一人は言った、
「もしかして鈴木くん。
佐藤くんのこと、かばっていたりしない?」
「かばう?」
とキョウはことさらきょとん顔をした。
「ほんとは佐藤くんもボーイズラブなんだけど。
佐藤くんは隠したがっていると判断して。
鈴木くんは、自分もボーイズラブではないと言うことで佐藤くんを間接的にかばっている」
「なるほどー。
そう言う想像もできるか」
とキョウは腕組みをしつつ感心したように言ったあと、ニッコリした、
「でも違うよ。
小学生時代は確かにあおいちゃんが好きだった。
だからあの頃は確かにボーイズラブだったのかもしれない。
でも高校生となった今は……」
キョウは教室のある一点を指差した、
「昼休みに職員室まで案内してくれた、田中(サキ)さんみたいなのがタイプだなあ。
すごい美人だよね」
女子がさーっと冷めていくのが、少し離れた席にいる私にもわかった。
たしかに冷める――『ボーイズラブ?』と思っていた可愛い男の子が、『ほんとは美少女が好き』と言い出したらそりゃ冷めるよ! 私でも冷める。
女子がサキのことを普段から嫌いとか嫉妬しているとかじゃない。
普通に女子もサキのことを美少女だと認め、憧れてさえいる。
しかし、男が美少女を好き、と言い出すと『やっぱり結局そうなのか……』とつい思ってしまうのだ。その美少女がサキだろうが違う誰かであろうが。
その上今回は『ボーイズラブの夢』を見た後に、『美少女好き』をアピールされたのだ。
ドン引きの勢いで冷めてしまうのも仕方ないと思う。
サキはイヤそうな顔をしながらキョウの方へ振り返った、
「私は鈴木くんみたいな、軽薄そうな子は好きじゃない」
「僕のどこが軽薄なの?
まだ女子と付き合ったこともないんだよ!」
「それ自慢げに言うこと?」
とサキはキョウをジトーッとした目で見た。
キョウは口をとがらせた、
「田中さん。
顔は美人だけど、性格はキツいね」
「そのままお返しする」
と言うとサキはさっさと教室を出て行った。
女子達も二人のやりとりを見たあと、そのうちキョウから離れて行った。
きっともう、皆『ボーイズラブの夢』を見るのはあきらめたのだ。
しかし、キョウくん上手だな、と私はつい感心してしまった。
ボーイズラブの誤解をほぼ解いてしまったし。
『美少女のサキがタイプ』と言うことで女子を冷めさせてしまった。
そして『サキとも結局仲が深まりそうにない』と言う演出(?)までやってのけた。
サキとキョウ。
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