55 / 74
第二部
55話 可愛い系男子
しおりを挟む
今日の帰り道も3人――あおい、キョウ、おれ――だった。
……と思ったら、後からサキが追いついてきて、あおいの隣に並んだ。
しばらく4人で1列に並んで歩いていたら、後ろから自転車に鈴を鳴らされる。
おれたち邪魔だな、迷惑だな。
と言うことで、あおいとサキが前に。
キョウとおれが後ろに2人ずつ2列になって歩いた。
前を歩くあおいとサキの様子が、必然的に目に入る。
仲良さそう。
と言うか、明らかにサキはあおいに好意を持っているように見える。
ニコニコあおいに話しかけていて、あおいの方も楽しそう。
チクリと胸が痛む。
サキがあおいを好きで、あおいもサキを好きになったら、絶対に勝てない気がする。
女の子に勝てる気がしない。
はあ……と音を立てずにため息を吐いた後。
チラリと隣を歩くキョウを見ると、キョウもあおいとサキに注目していた。
が、おれのように不安げではなく、微笑ましそうにしていて。
キョウってホント、心が広いよな……おれと違って、と軽く落ち込む。
キョウはあおいとサキを見ることに集中しているようで、おれの視線に気付いていない。
この機会にキョウを観察した。
キョウって可愛いよな――『可愛い系男子』――。
『薔薇もの』でよく見る『可愛い系男子』は、実のところ、あおいと言うよりキョウっぽい男子の方が多い。と思う。
きっとあおいは『薔薇もの』の主役になるにはちょっと女子っぽ過ぎるのだ。
あおいの様な女の子みたいな華奢な男の子と言うと、『薔薇もの』でも『ショタもの』になる。
小学生とか中学生になるんだよな。
だからおれの年に近い高校生くらいの『薔薇もの』を読むとなると、『可愛い系男子』はキョウっぽい感じになる。
身長もまあまあ高くて、見た目も女子と言うより明らかに男子。でも可愛い顔をしている、と言う感じ。
……などと無駄に(?)詳しくなってしまった『薔薇もの』のことを考えながらキョウを見ていると。
キョウもさすがに視線に気が付いて見返してきた。
不思議そうな顔をしている。
そんなキョウにおれは頼みごとをすることにした。
『薔薇もの』のまさに『可愛い系男子』のキョウに。
「あのさ……」
「ん? 何?」
「ちょっと……抱き締めてもいい?」
キョウは『!?』と目を丸くした。
「な、何で……」
と引いた後、立ち直ると、
「ま、いいけど……」
やはり彼は心が広いようだ。
おれは立ち止まるキョウをぎゅっと抱き締めた。
「何で?」
とキョウはおれの腕の中でつぶやく。
「う~ん……」
しばらく抱き締めて感触を確かめた後、うなりながらキョウを解放すると、
「やっぱり固いよな……」
キョウはジト目をした。
「そりゃそうだよ」
「意外としっかりした作りをしている……」
「どう言うことだよ」
「いや……ごめん。
悪い意味じゃないんだけど」
と謝る。
「ただ、キョウって華奢に見えるけど……」
あおいを抱き締めたときの感触とは違う。
と言おうとして、おれたちを見つめる視線にハッと気付く。
あおいとサキも立ち止まり、振り返ってこちらを見ていた。
あおいの方は緩んだ顔をしていたが。
サキの方はドン引き顔をしている。
「何道端で抱き合ってんの……」
とサキが言う。
「いや。
りんがさ、いきなり『抱き締めてもいい?』って言ってきて」
とキョウは答える。
コイツ……そのまま言わなくてもイイのに。
サキが不審げな顔をおれに向けてきて、緊張してしまい、
「いや。
スキンシップ……」
と言うよくわからない言い訳をしてしまった。
再び2人1組2列で歩き出すと、キョウが聞いてくる。
「いきなりのスキンシップ。
何が目的で?」
苦笑いを返しつつ、
「うん……。ちょっと確認と言うか。
キョウも『可愛い感じ』の男子だよな?」
「あんまり『可愛い』と言われても嬉しくないけどね」
とキョウはすねた顔をする。
おれにはうらやましく思えるけど、本人的にはそうなのかもしれない。
曖昧に笑い返した後、声を落として、
「でも、同じ可愛い系でも。
あおいとは全然、抱き締めたときの感触、違うなあ、って……」
「それは当たり前だよ」
とキョウは即答した後、何故か少し焦ったように付け足す。
「だってあおいちゃんの方が、僕より全然細いし……」
「うん……」
キョウに頷き返した後、先を歩くサキと並ぶあおいを見つめる。
女子のサキと同じくらいの細さで、サキの方が少し背が高いくらいだ。
と見ていると、今度はおれがキョウの視線に気付く番だった。
「僕を抱き締めてみて。
もしかしてトキめいたりした?」
とキョウがニコリと聞いてくる。
おれは首を横に振った。
「全然」
キョウは笑顔で「ヒドいなー」と言う。
苦笑いを返した後、
「キョウの方は?
おれにトキめいた?」
と聞いてみる。
キョウの答えも「全然」だった。
こちらも「ヒドいな」と返しておいた。
あおいとキョウ。
全然違うけど、どちらも『可愛い系男子』。
でも抱き締めてもキョウには全然トキめかなかった。
可愛いとも特に思わなかったし。
ほんとにただのスキンシップだった。
やはりあおいは特別なのだ、と結論づける。
それとも混乱しているのだろうか?
男子の中では線の細い方のキョウと比較しても、あまりに華奢なあおいの身体。
もしかしておれの脳はあおいと女子の区別が付いていないのではないか。
どれだけ考えても、結局のところ何もわかっていない気がする。
と思いながら、あおいの後ろ姿をぼんやりと見つめた。
ここ数日、あおいの後ろ姿しか、まともに見ていない気がして、胸が痛んだ。
……と思ったら、後からサキが追いついてきて、あおいの隣に並んだ。
しばらく4人で1列に並んで歩いていたら、後ろから自転車に鈴を鳴らされる。
おれたち邪魔だな、迷惑だな。
と言うことで、あおいとサキが前に。
キョウとおれが後ろに2人ずつ2列になって歩いた。
前を歩くあおいとサキの様子が、必然的に目に入る。
仲良さそう。
と言うか、明らかにサキはあおいに好意を持っているように見える。
ニコニコあおいに話しかけていて、あおいの方も楽しそう。
チクリと胸が痛む。
サキがあおいを好きで、あおいもサキを好きになったら、絶対に勝てない気がする。
女の子に勝てる気がしない。
はあ……と音を立てずにため息を吐いた後。
チラリと隣を歩くキョウを見ると、キョウもあおいとサキに注目していた。
が、おれのように不安げではなく、微笑ましそうにしていて。
キョウってホント、心が広いよな……おれと違って、と軽く落ち込む。
キョウはあおいとサキを見ることに集中しているようで、おれの視線に気付いていない。
この機会にキョウを観察した。
キョウって可愛いよな――『可愛い系男子』――。
『薔薇もの』でよく見る『可愛い系男子』は、実のところ、あおいと言うよりキョウっぽい男子の方が多い。と思う。
きっとあおいは『薔薇もの』の主役になるにはちょっと女子っぽ過ぎるのだ。
あおいの様な女の子みたいな華奢な男の子と言うと、『薔薇もの』でも『ショタもの』になる。
小学生とか中学生になるんだよな。
だからおれの年に近い高校生くらいの『薔薇もの』を読むとなると、『可愛い系男子』はキョウっぽい感じになる。
身長もまあまあ高くて、見た目も女子と言うより明らかに男子。でも可愛い顔をしている、と言う感じ。
……などと無駄に(?)詳しくなってしまった『薔薇もの』のことを考えながらキョウを見ていると。
キョウもさすがに視線に気が付いて見返してきた。
不思議そうな顔をしている。
そんなキョウにおれは頼みごとをすることにした。
『薔薇もの』のまさに『可愛い系男子』のキョウに。
「あのさ……」
「ん? 何?」
「ちょっと……抱き締めてもいい?」
キョウは『!?』と目を丸くした。
「な、何で……」
と引いた後、立ち直ると、
「ま、いいけど……」
やはり彼は心が広いようだ。
おれは立ち止まるキョウをぎゅっと抱き締めた。
「何で?」
とキョウはおれの腕の中でつぶやく。
「う~ん……」
しばらく抱き締めて感触を確かめた後、うなりながらキョウを解放すると、
「やっぱり固いよな……」
キョウはジト目をした。
「そりゃそうだよ」
「意外としっかりした作りをしている……」
「どう言うことだよ」
「いや……ごめん。
悪い意味じゃないんだけど」
と謝る。
「ただ、キョウって華奢に見えるけど……」
あおいを抱き締めたときの感触とは違う。
と言おうとして、おれたちを見つめる視線にハッと気付く。
あおいとサキも立ち止まり、振り返ってこちらを見ていた。
あおいの方は緩んだ顔をしていたが。
サキの方はドン引き顔をしている。
「何道端で抱き合ってんの……」
とサキが言う。
「いや。
りんがさ、いきなり『抱き締めてもいい?』って言ってきて」
とキョウは答える。
コイツ……そのまま言わなくてもイイのに。
サキが不審げな顔をおれに向けてきて、緊張してしまい、
「いや。
スキンシップ……」
と言うよくわからない言い訳をしてしまった。
再び2人1組2列で歩き出すと、キョウが聞いてくる。
「いきなりのスキンシップ。
何が目的で?」
苦笑いを返しつつ、
「うん……。ちょっと確認と言うか。
キョウも『可愛い感じ』の男子だよな?」
「あんまり『可愛い』と言われても嬉しくないけどね」
とキョウはすねた顔をする。
おれにはうらやましく思えるけど、本人的にはそうなのかもしれない。
曖昧に笑い返した後、声を落として、
「でも、同じ可愛い系でも。
あおいとは全然、抱き締めたときの感触、違うなあ、って……」
「それは当たり前だよ」
とキョウは即答した後、何故か少し焦ったように付け足す。
「だってあおいちゃんの方が、僕より全然細いし……」
「うん……」
キョウに頷き返した後、先を歩くサキと並ぶあおいを見つめる。
女子のサキと同じくらいの細さで、サキの方が少し背が高いくらいだ。
と見ていると、今度はおれがキョウの視線に気付く番だった。
「僕を抱き締めてみて。
もしかしてトキめいたりした?」
とキョウがニコリと聞いてくる。
おれは首を横に振った。
「全然」
キョウは笑顔で「ヒドいなー」と言う。
苦笑いを返した後、
「キョウの方は?
おれにトキめいた?」
と聞いてみる。
キョウの答えも「全然」だった。
こちらも「ヒドいな」と返しておいた。
あおいとキョウ。
全然違うけど、どちらも『可愛い系男子』。
でも抱き締めてもキョウには全然トキめかなかった。
可愛いとも特に思わなかったし。
ほんとにただのスキンシップだった。
やはりあおいは特別なのだ、と結論づける。
それとも混乱しているのだろうか?
男子の中では線の細い方のキョウと比較しても、あまりに華奢なあおいの身体。
もしかしておれの脳はあおいと女子の区別が付いていないのではないか。
どれだけ考えても、結局のところ何もわかっていない気がする。
と思いながら、あおいの後ろ姿をぼんやりと見つめた。
ここ数日、あおいの後ろ姿しか、まともに見ていない気がして、胸が痛んだ。
0
あなたにおすすめの小説
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について
のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。
だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。
「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」
ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。
だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。
その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!?
仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、
「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」
「中の人、彼氏か?」
視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!?
しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して――
同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!?
「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」
代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる