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○4章 手汗魔王と繋いだ手
4-1 『淡い天使の期待です』
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「以上が今回の報告となります」
「うむ、ご苦労であった。パーシェルよ」
大きな円卓を囲む天使族の老人たちを前に、パーシェルは傅いて深く頭を下げていた。
ヴリューセンによる町規模での大きな反乱。
その鎮圧に貢献したパーシェルの評価は、天使族の中ではうなぎ登りだった。
「世の平定こそが我ら調停者たる天使族の務め。その従事しそなたの心、まことに素晴らしくものである。神がそなたをこの地に使わせたに違いないであろう」
「もったいなきお言葉、痛み入ります」
ボクがもしこの場にいたなら、本当にもったいない言葉だと突っ込んでいるだろう。しかしなんだか既視感を覚えるのは気のせいだろうか。
「これはそなたの働きを讃えるものだ。受け取るがよい」
「ありがとうございます」
天使族の老人の一人から、以前よりも大きな桐の箱が渡される。それを見て、パーシェルは思わず涎をたらしていた。
咄嗟にそれを引っ込め、受け取ったそれを、気付かれないようにちょっと揺さぶったりして中身を確かめようとしている。
「開けてよいぞ」
円卓の最奥に腰をすえていた長老がそう言うと、パーシェルは迷うことなく紐を解いて中を見た。
気体に満ちていた彼女の顔が、一瞬にして怪訝なものに変わる。
「これは……いったい」
中に入っていたのは管楽器のような、動物の角で作られた笛だった。
「それは『天使のラッパ』。我ら天使族に伝わる秘宝である」
「ど、どうしてそのようなものを私に?」
「うむ。パーシェルよ、お前の働きは目覚しいものだ。天使族として、長老であるわしも鼻が高い。そこで、お前にこれを預けようと考え至ったわけだ。そのラッパをひとたび吹けば、我ら天使族の精鋭たる戦士たちが精神体となってすぐに駆けつけ、お前を護るであろうぞ。渦中にて事を進める際に、お前の手助けとなろう」
天使を召喚できる魔法具というわけだ。
それだけでかなり凄い代物なのだとわかる。
「ありがたき幸せでございます!」
パーシェルは再度深く頭を下げ、その笛が入った桐の箱をしっかり抱きかかえた。飴ではないことに一抹の不満さは見えるものの、それを必死に押し殺しているようだ。
それから全ての報告を終え、退席しようとしたパーシェルに長老が声をかける。
「パーシェルよ。災禍の渦はまだ納まってはおらん。よくよく注意するのだぞ」
「……? は、はい」
その意味をまったく理解できず――理解しようともせず、パーシェルはこっそり落胆しながらその場を去ったのだった。
「うむ、ご苦労であった。パーシェルよ」
大きな円卓を囲む天使族の老人たちを前に、パーシェルは傅いて深く頭を下げていた。
ヴリューセンによる町規模での大きな反乱。
その鎮圧に貢献したパーシェルの評価は、天使族の中ではうなぎ登りだった。
「世の平定こそが我ら調停者たる天使族の務め。その従事しそなたの心、まことに素晴らしくものである。神がそなたをこの地に使わせたに違いないであろう」
「もったいなきお言葉、痛み入ります」
ボクがもしこの場にいたなら、本当にもったいない言葉だと突っ込んでいるだろう。しかしなんだか既視感を覚えるのは気のせいだろうか。
「これはそなたの働きを讃えるものだ。受け取るがよい」
「ありがとうございます」
天使族の老人の一人から、以前よりも大きな桐の箱が渡される。それを見て、パーシェルは思わず涎をたらしていた。
咄嗟にそれを引っ込め、受け取ったそれを、気付かれないようにちょっと揺さぶったりして中身を確かめようとしている。
「開けてよいぞ」
円卓の最奥に腰をすえていた長老がそう言うと、パーシェルは迷うことなく紐を解いて中を見た。
気体に満ちていた彼女の顔が、一瞬にして怪訝なものに変わる。
「これは……いったい」
中に入っていたのは管楽器のような、動物の角で作られた笛だった。
「それは『天使のラッパ』。我ら天使族に伝わる秘宝である」
「ど、どうしてそのようなものを私に?」
「うむ。パーシェルよ、お前の働きは目覚しいものだ。天使族として、長老であるわしも鼻が高い。そこで、お前にこれを預けようと考え至ったわけだ。そのラッパをひとたび吹けば、我ら天使族の精鋭たる戦士たちが精神体となってすぐに駆けつけ、お前を護るであろうぞ。渦中にて事を進める際に、お前の手助けとなろう」
天使を召喚できる魔法具というわけだ。
それだけでかなり凄い代物なのだとわかる。
「ありがたき幸せでございます!」
パーシェルは再度深く頭を下げ、その笛が入った桐の箱をしっかり抱きかかえた。飴ではないことに一抹の不満さは見えるものの、それを必死に押し殺しているようだ。
それから全ての報告を終え、退席しようとしたパーシェルに長老が声をかける。
「パーシェルよ。災禍の渦はまだ納まってはおらん。よくよく注意するのだぞ」
「……? は、はい」
その意味をまったく理解できず――理解しようともせず、パーシェルはこっそり落胆しながらその場を去ったのだった。
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