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○4章 手汗魔王と繋いだ手
-18『これがボクの覚悟です』
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◆
観客の誰もいない、ただただ空虚な広間。
そこに、空しい少女の声が響く。
「正統なる王位継承者、エミーネ・リーン・グラウンが宣言する。彼の物をわが生涯の夫とし、全幅の信頼の元、王位の譲渡をこの戴冠をもって表明いたします」
少女は玉座に腰掛ける白髪の髭老人から王冠を取り上げる。
その老人の息はなく、沈み込むように背にもたれかかっている。懐には真っ赤な血痕が広がり、流れ出る雫は床の絨毯の色と同化していた。
「前王ニールより、いま、時代への希望を込めて」
様式だった口上を述べる少女。
彼女の眼前には、傅き、頭を垂れる青年の姿があった。
苦悶に歪む少女の顔とは正反対に、不気味に、愉悦に満ちた表情を浮かべている。
「継承者、エミーネ・リーン・グラウンの名において。この王冠を貴方へ授けましょう」
「光栄の所存。ありがたく――」
青年の台詞が、ふと、止まる。
「まったく。神聖な行事だというのに、水を差す無粋な連中がいるようだな」
頭の上げた青年の瞳の先――玉座の間の入り口に立つは、みすぼらしいひ弱な外見の少年。しかしその瞳は揺らぐことなく、ただひたすらに、玉座の前の青年へと一直線に据えられていた。
「……へえ。むかつく目をしてんじゃねえか」
微笑を作って青年は立ち上がり、圧倒的強者の貫禄を纏わせながら尋ねる。
「何のようだ」
冷淡な詰問。
それに、少年はただ芯のある声で返した。
「お姫様を、取り返しに」と。
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観客の誰もいない、ただただ空虚な広間。
そこに、空しい少女の声が響く。
「正統なる王位継承者、エミーネ・リーン・グラウンが宣言する。彼の物をわが生涯の夫とし、全幅の信頼の元、王位の譲渡をこの戴冠をもって表明いたします」
少女は玉座に腰掛ける白髪の髭老人から王冠を取り上げる。
その老人の息はなく、沈み込むように背にもたれかかっている。懐には真っ赤な血痕が広がり、流れ出る雫は床の絨毯の色と同化していた。
「前王ニールより、いま、時代への希望を込めて」
様式だった口上を述べる少女。
彼女の眼前には、傅き、頭を垂れる青年の姿があった。
苦悶に歪む少女の顔とは正反対に、不気味に、愉悦に満ちた表情を浮かべている。
「継承者、エミーネ・リーン・グラウンの名において。この王冠を貴方へ授けましょう」
「光栄の所存。ありがたく――」
青年の台詞が、ふと、止まる。
「まったく。神聖な行事だというのに、水を差す無粋な連中がいるようだな」
頭の上げた青年の瞳の先――玉座の間の入り口に立つは、みすぼらしいひ弱な外見の少年。しかしその瞳は揺らぐことなく、ただひたすらに、玉座の前の青年へと一直線に据えられていた。
「……へえ。むかつく目をしてんじゃねえか」
微笑を作って青年は立ち上がり、圧倒的強者の貫禄を纏わせながら尋ねる。
「何のようだ」
冷淡な詰問。
それに、少年はただ芯のある声で返した。
「お姫様を、取り返しに」と。
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