蒼龍ノ爪痕-少女になっちゃった老将軍、高校生活楽しんだり新たな弟子育てたりする第二の人生始めるらしい-

東山統星

文字の大きさ
18 / 49
シーズン1 いざMIH(メイド・イン・ヘブン)学園へ

018 メビウスの第二の人生はまだまだ続く。

しおりを挟む
 目が点になる、とはこういう表情を指すのだろうか。クール・レイノルズとアーク・ロイヤルの顔は間抜けでしかなかった。

「え? メビウスさんMIH学園入るの?」

「同じことを何度も言わすな。すでに身分証明書の偽造を進めているし、私は本気だぞ」

「国家のトップに対して偽造罪を申告するとァ良い度胸ですね。まあ、おれはOBってことになるんでいまのMIHを知ってるわけじゃないしなぁ」

「まあ、大統領の時代からなにも変わってないと思います。実力史上主義、強さこそ美徳という考えは」

 ただ、クールとアークはすぐ落ち着きを取り戻す。
 金髪彗眼の美少年アークが知っているのかは分からないが、クールは知っている。メビウスは一度決めたことを決して翻さない。それにクールはOB。あまり関係のない話なのだ。

 アークもクールの態度に同調した。セブン・スターという役職は年がら年中仕事が舞い込んでくる。どのみち、彼もまたMIH学園へはあまりいられないのだ。

「さて、クールよ。本当は手合わせ中に訊こうと思っていたが、君とスターリング工業とのつながりについてだな──」

 *

『釈放されたの!?』

『されたよ』

『良かったー!! あれ正当防衛だもんね!! バンデージさんが勾留されたらと思うと……』

『悪かった』

『いえいえ!! バンデージさんがああしてくれなかったら、私たちにも危害が及んでいたかもしれないんです!! 謝る必要なんてないよ!』

 メビウスは宝石店で出会ったラッキーナ・ストライクとのダイレクト・メールに明け暮れていた。
 老眼だった目はすっかり見えるようになったのだが、どうしても長い文章を打つことに苦労する。キーボードもろくに叩けない人間にスマートフォンの文字入力を期待するほうがおかしい。

「しかし……メッセージ上では元気だな」

 リビングでそんな作業に勤しむメビウスの元へ、モアが現れた。

「やあ、おじいちゃん。いや、お姉ちゃん」

「小遣いなら渡したはずだが?」

「違うよっ! ヒトのこと金食い虫みたいに言わないでよね!」

「じゃあ、なんの用だ? 君は自分の部屋が好きなのだろう?」

「いや~。あのさ、その、いまおじいちゃんにかけてる若返り薬アンド性別変換剤なんだけどさ」

「もう効能が切れてしまうのか?」

「うん。元々いたずらのつもりだったしね」

 永遠なんて存在しないのだから、いずれはまた老人に戻る運命なのか。

「でもね、この一週間くらいを観察してさ、やっぱひとつ分かったんだよ。TSは世界を救うって」

 モアは意味の分からないことを言い、なにやら錠剤を出してきた。

「これがTSの最終進化形態。ブリタニカの魔女がつくった“若返り薬”とあたしのつくった“性別返還剤”、そして魔術理論で見つけた化学成分を入れることで……寿命の限りTSライフを過ごすことができるんだよっ!!」

 目を見開いて説明してきたモアにぎょっとしながらも、メビウスは微笑みを浮かべる。

「これをわしに飲めと?」

「うん!! だっておじいちゃん、少女生活楽しんでるじゃん!!」

 メビウスの第二の人生はまだまだ続く。

****
シーズン1おしまいです。よろしければレビューや良いねなどお願いします。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

「魔物の討伐で拾われた少年――アイト・グレイモント」

(イェイソン・マヌエル・ジーン)
ファンタジー
魔物の討伐中に見つかった黄金の瞳の少年、アイト・グレイモント。 王宮で育てられながらも、本当の冒険を求める彼は7歳で旅に出る。 風の魔法を操り、師匠と幼なじみの少女リリアと共に世界を巡る中、古代の遺跡で隠された力に触れ——。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン
ファンタジー
 世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。  大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。  GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。  ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。  そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。  探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。  そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。  たまに有り得ない方向に話が飛びます。    一話短めです。

処理中です...