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シーズン1 チャプター2 それでもおれは正義のヒーローなんかじゃないっ!!
031 スライム娘”タイラント”VS連邦国防軍”チェロキー”
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「“悪魔の片鱗”かァ……」
おれは地上へ一気に落下していく。スライム娘には“打撃”も大した効果を示さない。小粋との戦闘で学習済みだ。その証拠にもちっという感覚だけで20階のホテルから痛みなく降りられた。
「ああ、オマエら下がってろ。つっても大半がさっきの攻撃でやられちまったか……」
黒人の巨漢がそこにいた。身長は2メートルをゆうに超えるだろう。しかしおれは一切身震いすることなく、その黒人──チェロキーに宣言する。
「おい、非戦闘員への攻撃はなにかしらの条約に引っかかるだろ。オマエそれでも軍人かよ」
「あー? テロリストのお仲間に条約が適用されるわきゃねェだろ。じゃあ逆に訊くぞ? オマエそれでもテロリストかよ?」
にらみ合い、互いの出方を待つ。
先に動いたのはチェロキーだった。最前の数倍ほどの隕石らしき物体が、まっすぐおれへ飛んでくる。目で捉えることもできない速度で。
「いまさらこんな攻撃で怖気付くかよ!!」
「分かってねェな、おめェ!!」
当然避けることもできないので、おれはそれをもろに食らう。しかしスライム娘に打撃技があまり効果を示さないのは最前でも立証済み。なにを考えている──!?
「ごはあッ!?」
「おい、スライム娘。おめェは確かに打撃技に強ェー。だがな、それはなにも無敵ってわけじゃねェんだよッ!!」
スライムを吐き出し、体格がやや縮んでいく。だが追撃が起こる以上、スライムを取り込んでいる暇はない。
ならば地面にばらまかれたスライムになんらかの細工をすれば良い。つい最近まで寒さ対策としてガソリンを飲んでいたから、地面に散らばるスライムも引火性があるはずだ。
ぼぉッ!! と炎が巻き起こる。距離を狭めようとしたチェロキーは一旦足を止めた。
「“吸収能力”か。ガソリンかなにかを吸収し、それを魔力で発火させたな? 小賢しい技だ」
「小賢しい? だったらこのラインを越えておれのところまで来てみろよ」
チェロキーはニヤリと笑った。悪寒が走るほどに。
「炎戒火山!!」
瞬間、炎をまとった隕石が数十個落ちてきた。
は? こんなの避けられるわけねえじゃん。しかもフレンドリー・ファイアだろ、これ。チクショウ、こういうときに使えそうなスライム娘の特性ってなんだ……!?
吸収してしまうには量が多すぎる。再生もしないかもしれない。おれの脳裏に死がよぎる。
異世界転生21日目16時間23分34秒。なにか策はないのか!?
「おらァ!! きょうの天気は最悪だなぁ!! 晴れ時々隕石落下ってか!? ほら、ロスト・エンジェルス最重要指名手配犯の実力見せてくれよォ!!」
各地で悲鳴が聴こえる。実のところ、ここにいる怪物はすくない。むしろ警察官という人間のほうが圧倒的に多い。そして、彼らの嗚咽がおれの本能に語りかけてきた。
「……。カイザ・マギアか」
刹那、おれは叫び逃げ惑う警察官たちから魔力を抜き取った。質量のある魔力は隕石が落下してくる寸前のところでほとんどすべての者を守った。
おれは地上へ一気に落下していく。スライム娘には“打撃”も大した効果を示さない。小粋との戦闘で学習済みだ。その証拠にもちっという感覚だけで20階のホテルから痛みなく降りられた。
「ああ、オマエら下がってろ。つっても大半がさっきの攻撃でやられちまったか……」
黒人の巨漢がそこにいた。身長は2メートルをゆうに超えるだろう。しかしおれは一切身震いすることなく、その黒人──チェロキーに宣言する。
「おい、非戦闘員への攻撃はなにかしらの条約に引っかかるだろ。オマエそれでも軍人かよ」
「あー? テロリストのお仲間に条約が適用されるわきゃねェだろ。じゃあ逆に訊くぞ? オマエそれでもテロリストかよ?」
にらみ合い、互いの出方を待つ。
先に動いたのはチェロキーだった。最前の数倍ほどの隕石らしき物体が、まっすぐおれへ飛んでくる。目で捉えることもできない速度で。
「いまさらこんな攻撃で怖気付くかよ!!」
「分かってねェな、おめェ!!」
当然避けることもできないので、おれはそれをもろに食らう。しかしスライム娘に打撃技があまり効果を示さないのは最前でも立証済み。なにを考えている──!?
「ごはあッ!?」
「おい、スライム娘。おめェは確かに打撃技に強ェー。だがな、それはなにも無敵ってわけじゃねェんだよッ!!」
スライムを吐き出し、体格がやや縮んでいく。だが追撃が起こる以上、スライムを取り込んでいる暇はない。
ならば地面にばらまかれたスライムになんらかの細工をすれば良い。つい最近まで寒さ対策としてガソリンを飲んでいたから、地面に散らばるスライムも引火性があるはずだ。
ぼぉッ!! と炎が巻き起こる。距離を狭めようとしたチェロキーは一旦足を止めた。
「“吸収能力”か。ガソリンかなにかを吸収し、それを魔力で発火させたな? 小賢しい技だ」
「小賢しい? だったらこのラインを越えておれのところまで来てみろよ」
チェロキーはニヤリと笑った。悪寒が走るほどに。
「炎戒火山!!」
瞬間、炎をまとった隕石が数十個落ちてきた。
は? こんなの避けられるわけねえじゃん。しかもフレンドリー・ファイアだろ、これ。チクショウ、こういうときに使えそうなスライム娘の特性ってなんだ……!?
吸収してしまうには量が多すぎる。再生もしないかもしれない。おれの脳裏に死がよぎる。
異世界転生21日目16時間23分34秒。なにか策はないのか!?
「おらァ!! きょうの天気は最悪だなぁ!! 晴れ時々隕石落下ってか!? ほら、ロスト・エンジェルス最重要指名手配犯の実力見せてくれよォ!!」
各地で悲鳴が聴こえる。実のところ、ここにいる怪物はすくない。むしろ警察官という人間のほうが圧倒的に多い。そして、彼らの嗚咽がおれの本能に語りかけてきた。
「……。カイザ・マギアか」
刹那、おれは叫び逃げ惑う警察官たちから魔力を抜き取った。質量のある魔力は隕石が落下してくる寸前のところでほとんどすべての者を守った。
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