32 / 80
チャプター2 実力と陰謀の学び舎、メイド・イン・ヘブン学園
032 ××××外交?
しおりを挟む
雅の顔はトマトのように赤くなった。決して恋する乙女のような顔ではない。苛立っているのだ。
「……クールさん、アンタふざけてるのか?」
「ふざけてる? おれはいつだってマジだぜ」
クールは楽しげに手を広げる。
「峰ェ! てめェワシにこんなクソガキの傘下へつけって言ってるのかァ!? ワシはクールを締め上げた人間の子分になるわけで、××××外交でお飾りのボスになったヤツの配下につくつもりはねェぞ!?」
ルーシは煙草を灰皿に置き、すこし口角を上げながら、
「峰さん、悪いことはいわねェ。私の盃もらったほうが良い。こんな小物につくよりは、良い思いできるぜ?」
あからさまに雅をバカにするような口ぶりになる。
「えーえー! そうですか! クールさんはロリコンだと! この会談は無しだ! こんなガキの下についたら、ワシたち全員笑いものだ! メンツもクソもあったもんじゃないからな!」
「ふーん」
「……オヤジ、ルーシCEOは豪傑ですよ」峰はそういった。
「豪傑だァ!? 10歳程度のガキに貫禄もなんもねェだろうが! ヤクザ舐めてるンじゃねェぞ、てめェら!」
「ヤクザをなめるな、か」
ルーシは前世で、サクラ・ファミリーをゆうに超える暴力団をその手中に収めたことがある。それに比べれば、雅など小物も良いところである。いかに雅が吠えようと、ルーシはまったく怖じ気つかない。
そんな中、ルーシは、スカートの裏にしまっておいた拳銃を雅に向け、目にも留まらぬ速度で銃弾を発射した。
「……ッッッ!?」
「オマエら、なめられて当然なんだよ。いや、オマエがなめられて当然なんだ。もとは幹部候補生としてサクラ・ファミリーに入って、出世の目がないほどビビリで、なのに上にいるヤツらがみんな死んじまったから4代目になっている。とても3000人を率いる人間の吠え方には見えねェ」
ルーシの銃弾は、雅の髪を落ち武者のようにしていた。
「じゃあこちらからもいわせてもらうぞ? スターリング工業をなめるな。小便もらしてビビっているオマエが、私やクール、ポールや他の構成員たちにかなうと思うなよ? 良いか? いまは優しく誘ってやっているんだ。クソもらす前に……いや、男優やる前に決めろ。私の盃を受けるか、ここで男廃業するか」
ガタガタ……と震えきる雅。
ルーシの目つきが本物だと感じた峰は、
「わかりました……。サクラ・ファミリーはスターリング工業の傘下に入ります」
賢明な判断をくだした。
「よろしい。賢明な部下がいてなによりだ。ポール」
「ええ。帝ノ国については調べてあります。しかし、我々は正座ができないので……」
「あぐらで良い。そして、盃の前に役割決めるぞ。クール」
「ああ。つか、なんでオマエ、ブリタニカ語書けねェんだよ」
クールはホワイトボードに文字を書いていく。ルーシは英語ならば書けるのだが、この国の文字は特殊なのでクールへ任せることにした。
(なんでこんなに読みにくいんだ? やはり田舎だからか?)
「さっき姉弟が通達されたように書いた。スターリング工業はあくまでも企業だ。なんで役職がいる。この場にいるヤツらには全員役職を与えるからな」
CEO:ルーシ・スターリング。
「当たり前だけど、ボスは姉弟のルーシだ。企業序列第1位。異論は?」
誰も彼も、首を横に振ることなんてできるわけない。クールとポールモールは了承していて、雅はすっかりルーシへ恐怖心を抱いている。それに従う峰もまた、文句をつけることはできない。
「ねェな。じゃ、次。COOだ。最高執行責任者だな。これはおれだ」
「異論はないですね」ポールモールは当然といった態度だった。
それに反したのが、最前まで震えているだけの雅だった。
「ちょっとまってくださいよCEO! ここは3000人の子分を持つワシがなるべきでしょう!? クールさんは配下に100人程度しかいないんだから!」
「あ?」ポールモールは雅を睨む。
だが、雅も負けていない。
「この提案には大反対ですわ! CEOの直下につかないんなら、ワシは離脱しますよ!?」
「しゃーねェな……」
ルーシも3000人の兵力を失うのはもったいないと思っているので、ここは適当に雅を納得させる言葉を考え、口に出す。
「じゃ、オマエはスターリング工業常務取締役だ。立ち位置的にはNo.3ってことにしてやる。だが、喧嘩もできねェ経済マフィアに飛車角の立場は与えられねェ。わかったか?」
「喧嘩ができない、だとォ!? CEOはサクラ・ファミリーがどれほどの武力を持ってるかしらんのですか?」
「知っているよ、馬鹿野郎」あっさりと、「だが、クール・ファミリーと互角程度だろ? 100人と3000人じゃ偉い違いなのに、それでも互角ならば、そりゃ前者のほうが優れているってことになる。……ま、これ以上囀るようだったら」
ルーシは拳銃を取り出し、今度は雅の頭に構える。
「保証はできん。わかったな?」
目つきが本物だ。雅は押し黙るしかなかった。これが、どんな組織にも属さず、LTAS屈指の武闘派で知られたクール・ファミリーをも傘下に取り入れた幼女である。
「よし、次だ。ポーちゃん、オマエはCFO──最高財務責任者だな」
「よろこんで」反応が薄いのは、わかっていたのだろう。
「最後に峰。オマエはCFO補佐兼取締役だ。異論は?」
「貴方たちに異論などあるわけがないでしょう」
「よくわかってるな。よっしゃ、役職決定だ。あとは盃? だな。おれと姉弟は正式に五分の姉弟になって、ほかは姉弟の子だ。ま、決定事項だよ」
*
人数が少なかったぶん、式はすぐに終わった。マフィアがヤクザの伝統をもとに階級を決めるのも変な話だが、なにせルーシが気に入っているので、ほかの者も文句はいわなかった。
「よっしゃ、時間が結構経っちまったな。私はカラオケに行ってくる」
「姉弟カラオケとか行くのかよ」
「友だちができてさ。おもしれェヤツらだったから、ここは親睦を深めておきたいんだ」
「……クールさん、アンタふざけてるのか?」
「ふざけてる? おれはいつだってマジだぜ」
クールは楽しげに手を広げる。
「峰ェ! てめェワシにこんなクソガキの傘下へつけって言ってるのかァ!? ワシはクールを締め上げた人間の子分になるわけで、××××外交でお飾りのボスになったヤツの配下につくつもりはねェぞ!?」
ルーシは煙草を灰皿に置き、すこし口角を上げながら、
「峰さん、悪いことはいわねェ。私の盃もらったほうが良い。こんな小物につくよりは、良い思いできるぜ?」
あからさまに雅をバカにするような口ぶりになる。
「えーえー! そうですか! クールさんはロリコンだと! この会談は無しだ! こんなガキの下についたら、ワシたち全員笑いものだ! メンツもクソもあったもんじゃないからな!」
「ふーん」
「……オヤジ、ルーシCEOは豪傑ですよ」峰はそういった。
「豪傑だァ!? 10歳程度のガキに貫禄もなんもねェだろうが! ヤクザ舐めてるンじゃねェぞ、てめェら!」
「ヤクザをなめるな、か」
ルーシは前世で、サクラ・ファミリーをゆうに超える暴力団をその手中に収めたことがある。それに比べれば、雅など小物も良いところである。いかに雅が吠えようと、ルーシはまったく怖じ気つかない。
そんな中、ルーシは、スカートの裏にしまっておいた拳銃を雅に向け、目にも留まらぬ速度で銃弾を発射した。
「……ッッッ!?」
「オマエら、なめられて当然なんだよ。いや、オマエがなめられて当然なんだ。もとは幹部候補生としてサクラ・ファミリーに入って、出世の目がないほどビビリで、なのに上にいるヤツらがみんな死んじまったから4代目になっている。とても3000人を率いる人間の吠え方には見えねェ」
ルーシの銃弾は、雅の髪を落ち武者のようにしていた。
「じゃあこちらからもいわせてもらうぞ? スターリング工業をなめるな。小便もらしてビビっているオマエが、私やクール、ポールや他の構成員たちにかなうと思うなよ? 良いか? いまは優しく誘ってやっているんだ。クソもらす前に……いや、男優やる前に決めろ。私の盃を受けるか、ここで男廃業するか」
ガタガタ……と震えきる雅。
ルーシの目つきが本物だと感じた峰は、
「わかりました……。サクラ・ファミリーはスターリング工業の傘下に入ります」
賢明な判断をくだした。
「よろしい。賢明な部下がいてなによりだ。ポール」
「ええ。帝ノ国については調べてあります。しかし、我々は正座ができないので……」
「あぐらで良い。そして、盃の前に役割決めるぞ。クール」
「ああ。つか、なんでオマエ、ブリタニカ語書けねェんだよ」
クールはホワイトボードに文字を書いていく。ルーシは英語ならば書けるのだが、この国の文字は特殊なのでクールへ任せることにした。
(なんでこんなに読みにくいんだ? やはり田舎だからか?)
「さっき姉弟が通達されたように書いた。スターリング工業はあくまでも企業だ。なんで役職がいる。この場にいるヤツらには全員役職を与えるからな」
CEO:ルーシ・スターリング。
「当たり前だけど、ボスは姉弟のルーシだ。企業序列第1位。異論は?」
誰も彼も、首を横に振ることなんてできるわけない。クールとポールモールは了承していて、雅はすっかりルーシへ恐怖心を抱いている。それに従う峰もまた、文句をつけることはできない。
「ねェな。じゃ、次。COOだ。最高執行責任者だな。これはおれだ」
「異論はないですね」ポールモールは当然といった態度だった。
それに反したのが、最前まで震えているだけの雅だった。
「ちょっとまってくださいよCEO! ここは3000人の子分を持つワシがなるべきでしょう!? クールさんは配下に100人程度しかいないんだから!」
「あ?」ポールモールは雅を睨む。
だが、雅も負けていない。
「この提案には大反対ですわ! CEOの直下につかないんなら、ワシは離脱しますよ!?」
「しゃーねェな……」
ルーシも3000人の兵力を失うのはもったいないと思っているので、ここは適当に雅を納得させる言葉を考え、口に出す。
「じゃ、オマエはスターリング工業常務取締役だ。立ち位置的にはNo.3ってことにしてやる。だが、喧嘩もできねェ経済マフィアに飛車角の立場は与えられねェ。わかったか?」
「喧嘩ができない、だとォ!? CEOはサクラ・ファミリーがどれほどの武力を持ってるかしらんのですか?」
「知っているよ、馬鹿野郎」あっさりと、「だが、クール・ファミリーと互角程度だろ? 100人と3000人じゃ偉い違いなのに、それでも互角ならば、そりゃ前者のほうが優れているってことになる。……ま、これ以上囀るようだったら」
ルーシは拳銃を取り出し、今度は雅の頭に構える。
「保証はできん。わかったな?」
目つきが本物だ。雅は押し黙るしかなかった。これが、どんな組織にも属さず、LTAS屈指の武闘派で知られたクール・ファミリーをも傘下に取り入れた幼女である。
「よし、次だ。ポーちゃん、オマエはCFO──最高財務責任者だな」
「よろこんで」反応が薄いのは、わかっていたのだろう。
「最後に峰。オマエはCFO補佐兼取締役だ。異論は?」
「貴方たちに異論などあるわけがないでしょう」
「よくわかってるな。よっしゃ、役職決定だ。あとは盃? だな。おれと姉弟は正式に五分の姉弟になって、ほかは姉弟の子だ。ま、決定事項だよ」
*
人数が少なかったぶん、式はすぐに終わった。マフィアがヤクザの伝統をもとに階級を決めるのも変な話だが、なにせルーシが気に入っているので、ほかの者も文句はいわなかった。
「よっしゃ、時間が結構経っちまったな。私はカラオケに行ってくる」
「姉弟カラオケとか行くのかよ」
「友だちができてさ。おもしれェヤツらだったから、ここは親睦を深めておきたいんだ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活
髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。
しかし神は彼を見捨てていなかった。
そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。
これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる