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1年目の秋~冬の件
事の始まりの“裏庭ダンジョン”に再突入する件
しおりを挟む毎朝のお仕事である家畜の世話を終えた土曜の朝、来栖家の面々はリビングで仲良く朝食を食べ終えた。学校が休みの香多奈のテンションに釣られて、皆も自然と明るい雰囲気。
今日の予定だが、実はあらかじめ家族会議で決まっている。明日の青空市に備えて、まぁ色々と準備の類いはしておくべき。
それより先に、再稼働した“裏庭ダンジョン”の駆逐作業を早急にこなさないと不味い。何しろ母屋と思い切り距離が近い、最悪の立地のダンジョンなのだ。
今回は幸いにも、再稼働でのオーバーフロー騒ぎは起きてなくて何より。ただし魔素鑑定装置での計測値は、割と高めで放置は危険と言う。
早急に、前のようにコア破壊を含める対処をしないと今後どうなる事やら。ハスキー軍団も落ち着いていたので、真夜中に蟻のモンスターがひょっこりなんて事態は起きなかったと信じたい。
まぁ、あの程度のレベルなら今のレイジー達なら朝飯前だろう。香多奈がハイテンションなのは、今日の探索に要因があるのかも。
姫香も明日の青空市に向けて、アイテムの追加収集に丁度良いとご機嫌である。家の仕事的には、畑の作業は取り敢えず落ち着いている。
白菜やキャベツ、玉ねぎの植え付けは終わっているので、収穫までの手間はそれ程には無い感じ。それなら午前から家族で潜ろうよと、末妹のお願いが通ってそうなる事態に。
浮かれた姉妹は、ルルンバちゃんをどの仕様にするかを外に飛び出して用意し始める始末。“裏庭ダンジョン”に出て来る敵は、ほぼ蟻型のモンスターばかりだった。
今回もそうなら、さほど手古摺らずに最深層にまで到着出来る筈。護人も今回の探索は、割と気軽に臨めそうとは内心で思っていたり。
やはり心情的に、こんな母屋に近い場所のダンジョンに嫌悪感は押さえられない。出来るなら、何とか埋め立ててしまいたい思いは今も強かったり。
それが出来ないので、次善の策の早々に潜ってのコア破壊である。
「叔父さんっ、ルルンバちゃんの小型ショベル形態じゃ、あの入り口は潜れないみたい。今回は、草刈り機モードにして貰って連れて行くねっ!」
「了解、それじゃあ俺も着替えて来るかな……おいおい、まだお出掛けじゃ無いからくっ付かないでくれ」
護人が移動すると知って、置いて行かれないようにくっ付こうとする薔薇のマントに対して。お決まりの小言を漏らしながら、自室に引っ込んで行く護人である。
このマント、完全にでは無いが人間の言葉を理解している様子。とにかく護人に懐いていて、出掛ける時には必ずついて行こうとする性癖がある。
かと言って、他の家族に同じ愛情を抱いているかと言う問題には疑問が。無視こそしないが、積極的にくっ付こうとはして来ない。
以前に香多奈が冗談で、薔薇のマントは♀なのかもねと口にした事があったけど。案外と、正解はそういう所にあるのかも。
それはともかく、数分後には全員の探索準備は揃った模様。前回の探索は、尾道と因島で旅行先のレクレーション気分で潜ったモノだった。
それでもそれなりに成果はあって、まず1つは“魔銃”をチームでゲット出来た。これの威力はまずまずで、弱い敵なら1発で倒す事も可能な威力。
ただしコストはそれなりに掛かって、1発につき爆破石が1個掛かる計算だ。それでも強い武器なので、ルルンバちゃん辺りに活用して貰う予定。
それから護人とレイジーの両者が、戦闘中に理力を何とか上手に使えるようになった。これによって、難敵にも物怖じせず立ち向かえるようになったのは大きいかも?
ついでに護人は、“四腕”も割とスムーズに操れるようになっていた。そのお陰で、何気に戦闘能力はチームでもトップクラスになっていたりして。
負けたくない姫香は、放課後の修行を真面目に頑張っているのだが。なかなか動き回りながら、理力を自在に操るのって難しい。
ハスキー軍団でも、上手に操れるのはレイジーのみな様子。さすがウチのエースだねと、香多奈などは素直に感心しているけど。
ミケはどうなのと、Wエースの片割れに露骨にパワーアップのお願いなど。そんな末妹の無茶振りに、ミケは全くの知らん顔。
ただまぁ、毎回子供たちの修行の現場には居合わせてるし、まるっきり無関心って事は無いのだろう。とにかくレベルアップして、MP量が増えるだけでもミケ的には充分なのかも。
そんなミケだが、今回も家族と一緒に探索に赴く気は満々の様子。後衛の頼りになる護衛の切り札なので、この同行は護人としても有り難い限り。
例えミケが子守りの気分でも、そこは全く無問題。
そんな訳で午前中の割と早い時間から、約半年振りの“裏庭ダンジョン”の探索がスタートとなった。今回の目的は間引き……では無く、より安全度の高いダンジョンコアの再度の破壊である。
今回も5層で終点なら問題無いけど、妖精ちゃんはちょっとは育ってるんじゃないかとの嫌な予想。コアを破壊して休息中のダンジョンも、成長だけは止められないらしい。
まぁ、あの最初の突入の4月よりも、来栖家チームは結構な力を付けて来ている。今更この程度の難易度のダンジョンで、手古摺る事は無いだろう。
そう思いつつ、ハスキー軍団を先頭にダンジョンに突入する一行。皆には酸を吐く大蟻だけには気を付けるよう、護人から通達はし終わっている。
ついでに洞窟タイプ用の、灯り対策も初期の頃よりバッチリだ。そんな訳で第1層だが、気持ち洞窟の幅が拡がっている気もする。
姫香が最初にそれに気付いて、護人に確認を取っている。そんな事をしてる間に、雑魚の兵隊蟻の群れが接近して来た。
それに対して、ハスキー達の牽制からの、姫香と護人での首飛ばし戦法がバッチリ決まって行く。そんな感じで、1層目は特に問題無く本道の端まで到着し終わった。
そして紗良の報告、支道は2つあったそうな。
「懐かしいね、このパターン……定番の、変な虫が待ち構えている感じかな?」
「アイテム落ちてればいいけどねぇ、1層じゃ無理かなぁ?」
などと話し合いながら、支道から小部屋へと向かう一行。部屋に全員が入るのは無理なので、代表して姫香とツグミが敵を倒すために進み出る。
とは言え、待ち構えているのは大ダンゴムシが2匹のみ。大した戦闘力も持たない雑魚を、ペアで難なく倒し終える。それから室内を見渡すも、特に価値のあるモノは無し。
そんな報告に、明らかにしょんぼりする香多奈である。隣の指導も似たようなモノで、1層は報酬も無くチームは2層に降りて行く事に。
次の層は、敵の密度がちょっとだけ濃くなって来ていた。それから青色の甲殻のサイズの大きな蟻も混じって来て、難易度は確かに上がった気もする。
それでも来栖家チームの、殲滅速度は一向に落ちる気配は無い。ハスキー軍団を中心に、あっという間に本道の敵を始末し終えて進んで行く。
それから支道の確認は、今回はルルンバちゃんとミケのペアが担当する事に。張り切るルルンバちゃんだが、残念ながらこの層にもドロップ品の類いは無し。
そんな訳で次の層へ、ここまでほんの40分程度しか経過していない。相変わらずの侵攻速度、そして3層には例の赤い甲殻の酸吐き蟻が混じり始めた。
コイツは護人とミケの遠隔攻撃で、とにかく慎重に距離を取って倒して行く。お陰で速度は少し遅くなったモノの、待望のドロップ品が支道の小部屋から。
今回の初報酬だが、穴開きの一斗缶の中に乱雑に鑑定の書が3枚と土色の魔玉が2個、それからプラスチックの瓶入りの薬品が2種類入っていた。
そして蟻を倒していたら、青色のの甲殻素材も1個ドロップ。
「やったね、ようやく運が向いて来たよっ! でも最初の時みたいに、スキル書がぽろぽろドロップみたいには行かないなぁ」
「アンタ、そりゃあ無茶だよ……それは初回ボーナスでしょ、普通のダンジョンのドロップはこんなモノだよ」
確かに姫香の言う通りだが、納得のいって無さそうな末妹である。来栖家チームも、ここまでの探索回数は15回近くをこなした計算。
その中で、良いイメージばかりが少女の脳裏に焼き付いているのかも。それはともかく第4層だが、この層で特筆すべき事も特には無かった。
紫の甲殻のちょっと強い大蟻が出現したのと、支道の小部屋に大ムカデがいた事くらい。相変わらず雑魚の兵隊蟻は、サクサク倒せてそこは問題無い。
支道の宝物率は一向に向上せず、そんなこんなでいつの間にか5層へと到着。最初の潜入では、ここは女王蟻の巣となって卵が壁沿いにわんさか並んでいた。
ところが今回は、雑魚を倒し終わって確認するに様子がヘン。どうも大ボスの間では無く、中ボス部屋の扉へと仕様変更されてるっぽい。
つまりは、確実にこの下にもダンジョンは拡がっていると言う証拠か。
「あらら、妖精ちゃんの予感は的中したっぽいねぇ……10層くらいまで出来たのかな、ここだけは全部攻略しなくちゃダメなのに。
倍の階層になると、かなり手間になるよねぇ」
「そうだね……でもまぁ、敵の強さは大した事無いって分かったし。中ボスも軽く撃破して、勢い付けてどんどん潜って行くよっ!
さっさとコアを破壊しなくちゃね、護人叔父さんっ!」
「そうだな、あまり無理せず安全重視で進むのを忘れずにな。女王アリだけは、かなり大きかった記憶があるからな」
そうだったねぇと、香多奈の呑気な返事。紗良も休憩しましょうかと、力の抜けた口調で護人に話し掛けて来る。
そこら辺は相変わらずの来栖家チーム、そんな訳で家族揃って小休憩へ。MPの回復も挟みながら、速攻の段取りについての打ち合わせも済ませる。
姫香も女王アリ退治なら任せてと、頼もしい言葉を口にして準備に余念がない。そしていざ中ボスの部屋の扉を開けての、中ボス戦がスタートとなった。
部屋の中も洞窟仕様で、天井も横幅も思ったより広い構造となっていた。その中心に、やっぱり待ち構えていたのは二階建ての建物程の大きさの女王アリ。
その前には護衛の青アリと紫アリが10匹以上、一度に対するにはかなりの戦力である。それに構わず、姫香のシャベルの投擲が女王アリの顔面にヒット!
巨大な中ボスは思わず絶叫、と言うかギチギチと甲高く鳴り響く威嚇音。金のシャベル攻撃で深く抉れた女王アリの顔面と、爆破石の破砕音が部屋の中に鳴り響く。
香多奈がヤンチャをしているのか、それとも引き続き魔銃を扱ってるルルンバちゃんの仕業か。ついでの様にレイジーの『魔炎』が、周囲を赤く染め上げる。
相変わらず速攻イケイケの来栖家チーム、後衛の安全は必ず確保するその意気込みは素晴らしい。敵の兵隊アリの数は、一瞬にして半分以下へと減っていった。
中ボスの筈の女王アリは、シャベルの2撃目を受けてその場から動いても無いのに既にフラフラ。待ち構えていたように、ミケが止めの『雷槌』を束にして落とす。
哀れな中ボスは、動く間もなく倒される破目に。
それと同時に周囲の壁にあった、兵隊アリの卵も自然と溶けて行く。異臭が漂う中、残りの護衛アリたちの掃討もハスキー達によって完遂される。
そして部屋に漂う異臭に、思い切り顔を顰めるハスキー軍団&ミケのペット勢たち。宝箱の中身の確認と休憩は、どうやら場所を変えた方が良さげ。
そんな訳で、6層への階段を少し降りた場所で、身を寄せ合っての入手アイテムの確認会。まず中ボスの女王アリが落としたのは、スキル書1枚と魔石(中)のみ。
たった2つとはショボいねと、香多奈はひたすらブー垂れる。そして宝箱の方からは、白い魔玉が2個に鑑定の書が2枚、それから木の実が4個にMP回復ポーション600ml。
更に、用途不明の薬品が2種ほど発見された。
木製の宝箱だったから、そんな大きな期待は無かったとはいえ。こちらも結構ショボくって、香多奈は明らかに気落ちした表情。
そんな毎回、当たりが出る訳無いでしょと、至極もっともな姫香の説教だけど。ミケを抱っこした末妹は、不本意そうにミケに何事か呟いている。
それを宙に飛んで眺める、妖精ちゃんも少し不本意そうだったり。
「とにかく6層以降もあるみたいだし、みんなもう少し頑張ってくれよ。お昼ご飯までには帰りたいな、まぁ無理して探索速度を上げる必要は無いけど」
「下の層がどうなってるかが問題だよね、護人叔父さん。5層までの造りと同じなら、多分そんなに時間は取らないと思うけど」
「今月はもう、10月下旬のチーム合同ダム探索は決定してるんですよね、護人さん。その前の山狩り参加もあるから、休みの日の予定は既に結構埋まってますね。
今日はだから、余り労力使いたくないのは本当ですねぇ」
本当に紗良の言う通り、10月の予定を思い出しながら護人はおもむろに頷きを返す。それじゃあパッパと攻略しちゃおうと、姫香が立ち上がって元気に声を上げる。
それに釣られて、休憩を終えて移動を始める来栖家チーム。ところが思わぬ展開が、6層に降り立った一行に待ち受けていた。
何と、ダンジョンにはありがちの仕様変更がこの“裏庭ダンジョン”にも。洞窟タイプに違いは無いのだが、初手でいきなりの三叉路が目の前に。
そしてそれぞれの道の奥から、モンスターの気配が漂って来ている。
――いやいや、単純な1本道の本道ルートはどこへ行った?
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