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始まりの森編
死の商人と鞄ゲット!
しおりを挟む考え始めると限が無いけど、結果だけ言うと効果はあった。液体が何なのかも分からないけど、効果は目にはっきりと窺えた。
つまり液体を浴びた弓使いが、隣の闇戦士を攻撃し始めたのだ。これは面白い、頭に来た闇戦士も思い切り仲間に反撃を開始する。
派手な仲間割れを目にしながら、俺は敵のHPをひたすらチェック。変にちょっかいを掛けて、こっちにタゲが来ても嫌だしね。
ってか、懲りない死の商人が再び液体散布のご無体攻撃を仕掛けて来る。構っていられないけど、俺はそれを浴びる訳にも行かず。
それより隣の戦いも、一層激しさを増している様子。どちらかが必殺技を使ったのか、派手な剣戟が響いて来ている。
ちょっと気になるな、あの液体の中身は何だろう? とは言え、自分でそれを浴びる気はまるでしないけどね。
暇なので、ちょっと商人の相手でもしようと思ったのが不味かった。隣の連中は放っておいても同士討ちで自滅するだろうと、甘い目論見を脳内で構成しつつ。
どうせなら、均等にHPが減った所に光の水晶玉で止めを刺してやろうと素敵なプランニング。そのためには、まだHPが半分残っている死の商人をもう少し弱らせたい。
以上、そんな感じでの急な相手指定だったんだけど。まさか商人ユニーク種が、別の特殊技を持っているとは思惑の範疇外だった。
ってか、それが技なのかも知らないけど、どうやら自己強化系の薬品を懐に忍ばせていたらしい。それを服飲した死の商人は、明らかにパワーアップしちゃってます、ハイ。
奴はしっかり武器も所持していた、無手だと思ってたのはこちらの勘違い。いやドーピングが使用の条件だったのか、護衛用のナイフを抜き去っての怒りの反撃。
やっぱり武器の扱いは素人っぽいけど、その勢いは厄介かも。普通に引っ掻きや噛み付きも織り交ぜて来るし、ゾンビの性質も忘れては無かった模様。
その勢いに怯んだ俺は、呆気無く予定変更して奥の手を選択。丁寧に相手のバーサク攻撃をブロックしつつ、ポーチから最後の光の水晶玉を取り出す。
そして特効の効果に期待して、敵が全て入るように範囲攻撃を仕掛けてやる。それに重ねるように、さっきの水晶玉投げ攻撃で思い切り味を占めたファーの援護が加わった。
2個の光の乱舞が森の一角で巻き起こり、まずは仲間割れ戦士ズが揃って没。どうやら味方同士で、随分と削り合ってくれていたらしい。
死の商人のHPに関しては、何と残り少しで生き延びるしぶとさを発揮していた。こちらは倒し切る気満々だったので、そこにわずかな隙が生まれてしまった。
イタチの最後っ屁、満を持してのさっきの液体散布攻撃をモロに浴びる破目に。油断していた訳ではないが、喰らった瞬間にアバターの視界が妙に揺れ始める。
それでも死に掛けのゾンビを、再び地に還す程度の作業は完遂出来た。
そして戦闘終了と同時に、何やら色々と嬉しいドロップ報酬の告知が舞い込んで来た。それを素直に喜べないのは、この何とも言えない気持ちの悪さ故。
さっき浴びた液体は何なんだろうと、自分のステを確認する事に思い至る。それによると、どうやら俺は“呪い”状態に陥っている最中らしい。
確認すると、確かにどんよりと負のオーラを発している俺のアバター。心配して飛んで来たファーに、短槍を振り下ろす暴挙に及んだ時には思いっ切り肝が冷えた。
なるほど、呪い状態の行動はさっきの闇戦士の仲間割れで判明済み。幸い勝手に動くのは身体の行動だけ、喋るのに制限は掛からないみたいで良かった。
そんな訳で、ファーに詫びを入れつつ自身の呪い状態の説明をする。それを聞いた相棒は、何とか例の妖精の粉で元に戻そうと奮闘してくれる。
その度に、無体にもその小さな存在に攻撃を仕掛ける俺。酷い話だ、危ないから近付かない様に言い含めるこの情けない状況ったら。
それよりこの洒落にならない窮地は、一体どうやったら治るんだ? 幸いメール機能も、普通にステータス画面から使えるみたいで活用する事に。
琴音に質問を飛ばしてみたら、すぐに答えは返って来た。自然に時間が経てば治るけど、素早く治療するには『聖水』が必要らしい。
それをふり掛けて貰えれば、呪いは解除可能との事。
それを持ってない俺は、自然治癒を待つしか手は無いのか……ファーにその事を伝えると、明らかにホッとした様子。その間は暇だから、ドロップ品の確認でもしておこうかな?
まずはスキルは4Pと、強敵だっただけにレア種並みに貰えてしまった。呪い散布を初手で浴びていたら、反撃も出来なかった可能性もあるし完璧に詰んでいたな。
今も俺のアバターは、我知らずポーションを勝手に地面にぶち撒けてる、何て勿体無い。しかし、自分の身体が意に反して動くのって、物凄く気味が悪いな。
視界は薄暗くなっているが、意識はちゃんとあるだけに怖さは倍増と言うか。おっと、報酬確認の続きを……元が商人だけに、奴のドロップは豪華絢爛だった。
何と、初期の鞄よりずっと容量の大きい『商人の鞄』が貰えてしまった! 他にも『商人の靴』に『商人のマント』、これらは装備品だな。
他は『闇の契約書』と『探索のコンパス』、それからお金が5600モネーほど。
闇の契約書は、さっき死の商人が使っていた護衛呼び出し用の召喚アイテムだな。これは強い敵との戦闘には、重宝しそうな予感はあるモノの。
契約時間は15分程度とあまり長く無いみたいで、しかも1回こっきりの使い捨て。ちょっと勿体無いので、いざと言う時まで保管しておこうか。
そして『探索のコンパス』と言うアイテム効果が、ちょっと面白くて便利そう。どうやらこれ、持っているだけで探索範囲が拡がるらしい。
しかもレーダー的な役割で、視界の端に自分や建物や異物の場所を表示してくれる。魔法のアイテムなのかな、説明を読むと凄く便利そうではある。
おっと、またポーションを1瓶駄目にした……妖精が、勿体無いナって顔をしているのが分かる。余り近付かない様に、まだ襲い掛かってしまう恐れがあるからね。
それから今夜初めてのレベルアップ、11へと上がってしまった。順調だとは思う、今は呪われ中だけど。経験の飴玉の効果もあるのかも、良く分からないけど。
早く操作を取り戻せないかな、割と切実にそう願う次第。
今はようやく落ち着いて、新しくゲットした鞄と風呂敷代わりのマントの荷物の入れ替えをしている所。魔除けの香炉はもちろん焚いて、回復込みの休憩中でもある。
さて、これで風呂敷と化していた『海賊のマント』が本来の装備として使えるようになった。しかしここに来て、死の商人が『旅人のマント』をドロップしたと言う。
ちょっと悩ましいな、さてどっちのマントを装備するべきだろう? 旅人の靴は速攻で使うとして、マントはそれぞれに違った特徴がある。
旅人シリーズは耐久値に優れており、スタミナ減率を改善してくれる能力があるっぽい。一方の海賊のマントは、防御力に秀でていて敵対心を煽る効果があるらしい。
これはソロだと必要無いけど、後衛と一緒にパーティを組むと凄く重要と言う話だ。琴音にメールして聞いたのだから、間違いないだろう。
琴音のアバターは、現状では完全に後衛仕様では無いらしい。でもどちらかと言えば、前に出て殴る作業は苦手としている。
このソロエリアを脱出してパーティを組む場合、前衛役は俺が担う必要が出て来る訳だ。ただこの装備、魅力値が-2もされると言う酷い仕様。
さて迷うな、今までは選ぶほど装備は手元に無かったって言うのに。
――海賊のマント 耐久8、防+7、敵対+2、魅力-2
――旅人のマント 耐久12、防+5、スタミナ減‐20%up
――旅人の靴 耐久12、防+5、スタミナ減‐20%up
旅人シリーズのスタミナ消費減が重複するのなら、靴とマントを両方装備するのはアリアリだ。他に特筆すべき事はあるかな、例えばデザインとか?
うん、旅人のマントは凄く地味な色合いで意匠の類いは一切ない。一方の海賊のマントは、何と言うか骸骨と骨の翼の絵柄が描かれていてとっても派手。
色も赤と白に金の刺繍付きで、遠目からでもかなり目立ちそう。ちなみに、一緒に眺めているファーはどうも派手な方がお気に入りらしい。
それじゃあ海賊のマントをメインにするかな、旅人のマントは予備と言う事で。早速装備して、相棒に「似合うか?」と訊ねてみると。
バッチグーとの答えが返って来て、まぁ良かった。
このデザインが、ひょっとしたら魅力値-2の原因なのかも知れないんだけどね。まぁそれは言わぬが華だろう、防御は高いんだし良品には違いない。
それでは、スタミナ回復にお肉の串焼きでも食べようかな。
ついでに受け取れなかったログインボーナス等を、しっかりアイテム化して整理などしつつ。今日の支給品の一口チョコを、妖精にお裾分けしてあげる。
ファーは夢中になって、ポリポリと齧り始めたので好物なのかも。こちらは既に完食して、お茶でも欲しいなぁと思っている所。
ポーション以外の飲み物、この架空世界にもあれば良いのにね。
さて、そんな些細な事は置いといて、現在の俺のアバターのステータス公開。
名前:ヤスケ 初心者Lv11 種族:ミックスB
筋力 22 体力 26 HP 98(+10)
器用 25 敏捷 23(+2) MP 70
知力 19 精神 18(-4) SP 67
幸運 16(+8) 魅力 7(+1) スタミナ**
職業(1):『新米冒険者』Lv11
武器(4):《ブン回し》《落とし突き》《撃ち上げ花火》《》
補正(3):《投擲威力20%up》《》《》
武器:弓矢1P
:短剣1P
:短槍4P《落とし突き》
:両手棍8P《ブン回し》《撃ち上げ花火》
:盾1P
:投擲4P《投擲威力20%up》
魔法:『闇』5P《Dタッチ》
:『風』8P《風の茨》《風属性付与》
:『光』4P《フラッシュ》
種族:『ミックスB』(幸運+2、魅力-1)
称号:『蝶舞』『猪突』
モネー:27、100
スキルP:17
***『新米冒険者』ヤスケ 装備一覧***
武器 :大猪の牙の木槍(4) 攻+5
武器2:粗末な木の棍棒(4) 攻+4(両手時+6)
予備 :研ぎ直した粗末な石斧 耐久3、攻+4(投擲可)
盾 :粗末な木の盾(3) 防+2
頭 :犬獣人の兜(4) 防+3
上着 :質素な狼皮ベスト(5) 防+5
下着 :クールな下着(5) 防+1、耐寒+20%up
指輪1:耐魔の指輪(2) 耐魔20%
指輪2:契約の指輪(-) 従者+3
腕 :粗末な革の腕輪(-) 防+0
ベルト:革の幅広ベルト(7) 防+5、ポーチ×4
下肢 :疾風のズボン(8) 防+7、敏捷+2
靴 :旅人の靴(12) 防+5、スタミナ減‐20%up
背中 :海賊のマント(8) 防+7、敵対+2、魅力-2
従者:妖精Lv1 幸運+6、魅力+4、精神-4
鞄:魔法の鞄(初心者用)+商人の鞄
アイテム:ポーション(大)×2、ポーション(小)×24、毒消し×4、マナポ×6
:雷の術書、水の術書、潤いの蜂蜜×7、魔石(小)×6、魔石(中)
:蛇の皮、蛇の牙、大猪の毛皮、虹色の果実×4、海賊のサーベル
:料理キット、冒険者セット《地図形成》《水中呼吸》蟷螂の大鎌
:宝珠《清き水》、緋色の頭巾、闇の眼帯、海賊の大斧、海賊の長槍
:魔除けの香炉、金のメダル×3『初級海賊』薬品箱、松脂1瓶
:剣術指南書、巨大な大腿骨《キャノンB》炎の術書、幽霊の呼び水
:闇の契約書、探索のコンパス、飛竜の血、闇蝙蝠の牙、闇蝙蝠の皮膜
レベルが11に上がって、俺のアバターはついにHPが100を超えた。ステータス的には割と前衛っぽくなってるけど、魔法を使うのにも今の所不便は無い。
魔法を新たに2つ覚えて、更に便利屋っぽい冒険者になって来ているな。しかし突っ込み所はそこでは無い、何とさっきの戦闘で盾スキルが自然に生えて来た。
どうしよう、これも伸ばすべきなのかな? 伸ばすならそれでも構わない、何しろ今夜のレア敵ラッシュで、貯まったスキルPが大量にあるのだ。
ってか、貯めてるだけなのも勿体無い、何か伸ばそうかな? 武器系なら盾か短槍が最有力かな……ただし、盾はさっきの戦闘でボロボロ状態である。
下手すると、今夜の冒険中に壊れてしまう可能性が。それなら短槍が良いかも、まぁ後で考えよう。別に緊急性を感じないし、物足りなくなったらと言う事で。
魔法スキルに関しては、今日はもう弄らなくてもいいかな? 敢えて言えば光魔法の強いのが欲しいけど、今夜はもう2つも覚えてしまったし。
取り敢えずは、今夜は《フラッシュ》と付与魔法でのゴリ押し戦法で冒険するとしよう。それで苦労するようなら、また何か取得しても良いけどね。
装備では、マントと靴を交換してグッと冒険者っぼくなった気が。そのせいで魅力値が減ってしまったが、もう1着マントもあるし気になるなら即チェンジで。
他にコメントするとしたら、とにかく新しい鞄を入手した! これによって、収納容量が一気に4倍近くになって本当に大助かりである。
これで探索も収集も大幅に捗ると言うモノ、ユニークモンスターって凄いな! マジで感謝である、この先歩いてたらまた出逢えないかな?
もう一つの『探索のコンパス』だが、イマイチ使い方が分からない。まぁこれは別に良いや、取り敢えずは鞄の中に放り込んでおくとして。
今夜の目的地は、確かもうすぐそこの筈。
――前言撤回、ワイバーン級のレア種には出遭いませんように……。
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