転生した俺は身バレしたくない〜ニ鬼を追うもの〜

海月ウミヅキ

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はじまり

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「もうすっかり日も昇ってしまいましたね…」
「腹減った…肉狩ってくる」


「ち、ちょ、ちょっと待って!!!」



ズボンを引き上げ、慌ててアルドを止める
何だって?肉を狩るって?やめて。

夜明けと共に出発の筈が、すっかり日は高く昇ってしまったらしい。色々あったからね、色々
お腹が減ったのは分かる、俺もペコペコだ。
だが、肉を狩るのは全力でお断りしたい

そもそもアルドが不味い肉を狩に行ったせいで、ロワンに血吸われるし、スライムの石拾っちゃうし、何もいい事ない!

だが空腹はどうにかしないといけない。


「ご飯は俺のスキルで!!食べよう!」


「いいのですか?」
「肉はあるか?肉」


目を輝かせたロワンと、鼻息荒めのアルドが俺へと詰め寄って来る

肉はどうだろう…あったかなあ。

嬉しそうな2人の間に挟まれ、ステータス画面からノギノ商店を開いた
一応朝ごはんだしな…菓子パンかな?


「ロワンは肉食べれる?」
「大丈夫ですよ」


画面をスクロールすると、ソーセージパンの画像
惣菜パンにしよう。そうしよう
ソーセージも一応肉だよね、うん

ソーセージが乗ったパンに、コーンが乗ったパン、あとはツナと、ピザパンもいいなぁ…チーズのも美味しそう。
とりあえず全部買っちゃえ!とそれぞれ3つずつ購入。
飲み物も欲しいなあ。とスクロール
飲み物はお茶と水しかない…けれども缶詰を発見。焼き鳥缶が美味しそうだったので、とりあえずこれも購入し、アイテムボックスからガサゴソと取り出した。
光る苔の上へと種類別に並べていると、隣に居るアルドの喉がゴクリと鳴る

そうだね、早く食べよう。お腹減った


「好きなもの食べて?説明が欲しかったらするけど…」

「食えたら何でもいい」

「私は昨夜トウヤから沢山聞いたので大丈夫ですよ」


胡座を掻いたアルドが迷いなくソーセジパンへと手を伸ばす。
隣で正座したロワンが、俺の手にその手を重ねてジッと俺の瞳を見つめた。美形に見つめられると照れる…緊張するよ、キラッキラしてるんだから本当…


「ありがとうございます。頂きますね」
「…は、はい。ドウゾ」



ええ?!なに、今の!!
ニッコリと、美しすぎる顔でロワンに微笑まれ、思わず心臓が跳ね上がった。びっくりした…手法がキャバ嬢と一緒だよロワン……

ドキドキする俺の横で、ロワンがピザパンへと手を伸ばし封を開けた。
そんな姿を横目でチラリと見ながら、俺はコーンが乗ったパンを手にする
パンを齧りながら、そういえば昨日、アルドを待ってる時に何個か買ったのがアイテムボックスに入ってるな…と思い、何があるかを確認する為アイテムボックスを開いた。
飲み物に乾き物…ラーメンもある。たべたい。菓子パンにミックスナッツに、さっき買った缶詰…と。食べ物はこれくらいかな?
菓子パンとか早く食べた方がいいよね?賞味期限的に…
ボックスの中から菓子パンを引っ張り出して、同じ様に苔の上へ並べようとしたが、……無い…さっき買ったばかりのパンが全然無い…

ロワンはまだピザパンを食べている…チラリとアルドを見ると、その足下に散らばるビニール袋の残骸たち。


え、うそ?もう食べた?
15個あったパンがもう2つしか無い
その残った2つのうちの1つ、チーズパンに手をかけたアルドが、俺の視線に気づいたのか、袋を破りながらこちらを向いた。


「もっと食いたい。金なら払う」


ガブリ、と一口でパンの半分程を頬張ったアルドが、腰のポーチから汚い巾着を取り出した
その巾着を俺の前へと置くと、残りの半分を一口で食べ、ラスト1つとなったツナパンへと手を伸ばしている
ロワンも俺も、まだ一つ目なんだけど…と思い、早急に昨日買った菓子パンを苔の上へと並べた
今ある分をとりあえず並べてから、目の前に置かれた巾着を開けると、銅色と銀色のコインがジャラジャラ。


「あとどれくらい食べる…?」
「20個は余裕」

「相変わらずですね…」

「えーっと、このお金は…いくらくらいに??」
「知らねえ。全部やるからさっさと出せ」


アルドの返答にドン引きの俺と、呆れ顔のロワン
アルドに言われたので巾着の中の硬貨を全てチャージしてみた結果、
3.8000円也…

こんな汚い巾着にまあまあの額…

パン20個買ってもお釣りがくる額だ
聞くのも面倒なので、とりあえず俺チョイスで惣菜パンと菓子パンを20個購入
そして、目の前には山のように盛られる色々なパン
ええ…これ全部食べるの?胸悪っ…

朝食だし軽い物を…とかいう俺の気遣いは全く必要無かったようだ。
見てるだけで本当に胸の辺りがムカムカしたので、ペットボトルの水を喉へと流し込む

暫くはアルドの方を見ないでおこう…吐きそう
と、アルドには申し訳ないが、背中を向けてロワンの方だけを見ることにさせていただく。



「…これが1番です!」


天使でも降りてくるんじゃないかってくらい、キラキラを振り撒いているロワンがメロンパンに齧り付いている。
胸焼けがスッと晴れていくようだ…イケメンすごい…美しい

ニッコニコでメロンパンを頬張るロワンを見て、穏やかな気持ちになりながら、そういえば聞きたい事があった事を思い出した。
できれば蒸し返したくない話ではあるが…気になってるんだよなあ



「ロワン、今後の為にも知っておきたいていうか…、なんというか………、スライムの石って何??」


メロンパンを頬張るロワンに遠慮がちに質問すると、キョトンとしたロワンが、ああ!と思い出したような顔をし、口内のパンをゆっくり咀嚼した後嚥下した


「あれはですね、瀕死状態になったスライムは、よく石になります。自己休眠ですね。石の状態で魔力を貯め、実体を取り戻します」

「…えっ、瀕死?」

「あれだろ、大方俺が狩って来たレッドチキンマトンに、一飲みにでもされてたんじゃねえ?」

「まあそうでしょうね」



あの不味いお肉さんに一飲みにされて、瀕死状態になってて、それを偶々俺が燃え滓のなかから見つけたっていうのか???



「もう一度言いますけど、落ちてる物は勝手に拾ってはダメですよ」

「はい。2度とシマセン…」


剣を持ったロワンの姿を思い出し、スッと背筋に悪寒が走った。
本当まじで、2度と拾わない

それにしても、2人は至って普通に俺に接して来ているが、なにも思うところは無いのだろうか…
俺?俺はめっちゃあります
2人があまりに普通なので、俺も出来るだけ普通にしているが、2人の所作一つ一つに、色々思い出してしまう

1度目は自分からはしたなく誘ったような物だし、2度目はスライム連れ込んでの……はあ。
いや勿論、アルドが我慢してスライムだけどうにかしてくれていれば、って思うところもあるが、据え膳食わねばともいう訳で……アルドは性魔力も好きだし

ああ。考えれば考えるほどしんどい。
やっぱり思考は放棄するべきだ

でも2人を見ていたら不意に考えてしまっているのも事実

どうにかして、この2日間の記憶消せないかな…そういう魔法ないかな…



「トウヤ?大丈夫ですか?」

「っえ?あ、うん。大丈夫!考え事!」


ロワンに顔を覗き込まれ、慌てて笑顔で取り繕う。
手に残ったコーンパンを口に詰め込み、水で流し込んだ
考えても仕方ない。そもそも町に辿り着くまで頼れるのはこの2人しか居ないわけだし、2人が普通に接してくれている内は、俺も普通にしておこう。

そのうちアルドに
男とヤっちまったなんて気持ち悪ィ。なんて言われそうな気もしないでもないが…
今は何も考えずに町を目指そう、そうしよう。


それにしても、俺がちょっと考え込んでいる内に、20個ものパンを食べ切ったアルドは本当凄いと思うよ。本当に



「もうすぐ10時頃です。出発しましょう」
「そうだなぁ、日のあるうちに着かなきゃなんねぇしな」


ロワンの声と共にアルドが立ち上がったので、俺も苔の上に散らばったゴミを、さっさとアイテムボックスに詰め込んでいく。
こんな幻想的で美しい洞窟にゴミなんて置いていくわけにもいかないしね…まあ、あの血溜まりは俺にはどうする事も出来ないのだけれど。

この洞窟にやって来た時と同じように、前にロワン、後ろにアルド、真ん中に俺。といった陣形で美しい洞窟を後にした。
出来ればまた来たいなあ。

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