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はじまり
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しおりを挟む「こっち来いよ」
ベッドに腰掛けたアルドが、焼けつくような鋭い視線で俺を見る。
その左手で、ポフポフとベッドの上…アルドの隣を叩くので、いよいよこの時が来たか、と心臓が大きく脈打った
アルド満腹スヤスヤ作戦は勿論見事に失敗に終わった。よくよく冷静になって考えれば、パンを朝食に30個も食べる胃袋馬鹿野郎だ。
そう簡単に満腹になるわけがない。でも俺は頑張った…新しく2台目のコンロも購入して、ラーメンを作り続け、焼き鳥の缶詰も出し、パンも沢山出した。自分が食べるのさえ忘れて、アルドに食事を与え続けた。
でも、胃袋馬鹿野郎には敵わなかった…まじでブラックホール
「あの、そうだ!あれは!性魔力!モンスター寄ってこない?」
「問題ねェ。宿屋はどこも各部屋、防音に防魔かけてっからなァ」
そ、そうかぁ~!抜かり無いね!
街全体にも防魔の魔法掛かってるって言ってたもんね!
「えっと、あの、そう!汗!
オレ!キタナイ!」
「…………」
必死で取り繕う俺を、隻眼の瞳が冷ややかに見ている。
でも本当、俺汚いよ。いっぱい歩いて汗かいたし!アルドもそうだろう?
そもそも、汗臭い男とベッドを共になんかしたくないだろう!そうだろう!俺はそうだ。
「なら、シャワー浴びてこいよ」
ん、とアルドが指差す先は、部屋の右奥に備え付けれた小さなドア
うそ…だろう。
異世界のお約束はどうした??シャワーなんて基本無いだろう?井戸の水で身体拭いたりするくらいじゃ無いの?!違う?俺が知ってる異世界転生物は殆どがそうだった!
早くしろとベッドから立ち上がったアルドが、呆然とする俺の手を引く
その手に引かれるがまま着いていけば、目の前には小さなドア。アルドによって開かれたそのドアの先には、タイル貼りの小さな部屋
「入れば上から湯がでる」
「ど、どういう仕組み…?」
「詳しくは知らねェ。水と火の魔法使える奴雇ってんだろ」
「っぅわ、!ちょ、」
淡々と答えたアルドが、俺のシャツのボタンに手を掛けたので、慌ててその手を押さえ込んだ。
「じ、自分で脱ぐから」
「…おう。タオル出しとく」
「あ、りがとう」
何とも言えない恥ずかしい空気から、いち早く逃げ出したくて、慌てて服を脱ぐ。
なんだよこれ…もう完全にラブホに来たカップルのような流れ…!!!
さっさと脱いだ服を横にあったポールの様な物にかけて、なるべくアルドを見ない様に、見えない様にして、タイル貼りの部屋へと入りドアを閉めた。
ドアを閉めると同時に、天井から降り注ぐ温かいお湯。丁度いい温度だ…
手前側は優しい小雨くらいの湯量で、奥に行けば行くほど降り注ぐ量が増していく
丁度いい量のお湯が降り注ぐ場所辺りで、濡れた頭をゴシゴシと擦った
タイル部屋の中には何も無く、石鹸やシャンプーといった物も見当たらない
出来るだけ汚れを落とそうと、全身を隈なくゴシゴシと擦る
いやしかし、本当なんであるのシャワー…
100年に一度来ると言う、異世界人の置き土産だろうか?
シャワーがあって石鹸が無いってどうなんだ!
でも異世界とは言っても、今までやって来た異世界人が、俺が居た世界と同じ世界から来たとも限らないわけか…
100年前に来た人は何処から来て、いつどのようにしてこの世界で命を終えたのだろうか。
そんな事を考えながら、これから起こる事象をあまり意識しない様にと、この世界の事について想いを巡らせる。
一応、腹は括ったんだけどなぁ……
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