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~古都防衛編 第1章~
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[殲滅作戦開始]
「ゴルド様、古都の包囲が完了しました。何時でも攻め込めます。」
斥候として向かっていた兵が帰還し、古都の近くにある丘の上で見下ろしていたゴルドに報告をする。ゴルドが見下ろす丘の下には地上を埋め尽くさんばかりのコーラス・ブリッツが展開されており、雄叫びを上げて古都を威圧していた。
「分かった、引き続き敵の動向を監視しろ。」
斥候は膝をつきながら首を垂れると素早く立ち上がってゴルドの前から姿を消した。ゴルドが静かに周囲を見渡しているとユリシーゼが禍々しい槍を携えて近づいてきた。
「ゴルド。ヨーゼフが海洋封鎖に成功し現在海兵部隊と睨み合っている状況です。」
「私の指示があるまで睨み合ってろと伝えろ。・・・他には何か?」
「ワイバーン騎兵隊も展開完了。指示があれば何時でも。」
ユリシーゼがそう告げるとゴルドは小さく頷き、顔を後ろから前に向ける。ユリシーゼが話を続ける。
「・・・アルレッキーノは?」
「あの人は私達とは別行動だ。」
「ウルフェン様から出発する前に何か言われていたが・・・ゴルドは何か聞いていたりは・・・」
「さぁな、私達が知る所ではない。私達は与えられた役割をこなすのみ・・・余計なことは考える必要は無い。」
ゴルドはユリシーゼの問いに答える事無く、丘の下を見下ろす。
「しかし30万の兵と100隻の船、5万の魔物を古都周辺の平野と海洋へと一気に転送させるとは・・・あの人の底力は計り知れんな。」
「・・・アルレッキーノの事ですか?」
「決まっているだろう。他に誰がいる?」
ゴルドは両手に嵌めている手袋をきつく締める。ユリシーゼがゴルドに再び話しかけた。
「・・・アルレッキーノは元々何処の人なんですか?あの人は私達とは違い、かつて何処に暮らしていたのか全く分からない・・・ゴルド、貴方なら何か・・・」
「今日は珍しく良く喋るな、ユリシーゼ?」
ゴルドがゆっくりとユリシーゼの方を振り返ると腕を鳴らしながらユリシーゼの下へと近づいていく。ユリシーゼは出過ぎた真似をしたとばかりに顔を俯ける。
ゴルドはユリシーゼの目の前にまで接近すると、静かに語り始めた。
「アルレッキーノの過去は・・・私も知らない。知っているのは主席だけだ。」
「・・・」
「だがアルレッキーノの過去などお前が知る必要は無い。・・・仮に知った所で、何も意味はないだろう?・・・私達がお前の出自を知っていても意味が無いのと同じように。」
ゴルドはそう言うと、ユリシーゼに背中を向ける。
「さて、もう無駄話はこの程度で良いだろう。お前も配置につけ・・・間もなく『虐殺』を始める。」
「・・・了解。」
ユリシーゼは返事をし、ワイバーンを呼んで飛び乗ると、上空で隊列を組んで滞空しているワイバーン騎兵隊の先頭に行く。
ゴルドはユリシーゼがワイバーン騎兵隊と合流したのを確認すると、再び丘の上に立ってコーラス・ブリッツを見下ろす。彼らの雄叫びは先程より大きくなっており、戦意が異常に高まっていることを肌で感じた。
ゴルドは殺意で満ち溢れた彼らの感情を目の当たりにし、邪悪な笑みを浮かべると古都を見つめる。古都の周囲に聳える城壁には多くの古都軍の兵士が隊列を組んで構えており、古都の真上にも航空部隊が隊列を組んで迎撃態勢を整えているのが確認できた。
ゴルドは右耳に嵌めている小型の無線機に右手の人差し指を当てると、静かに呟いた。
「それでは始めようか・・・全員、現時刻をもって古都への総攻撃にかかれ。・・・奴らを皆殺しにしてこい。」
ゴルドが無線で指示を出すと、歓喜ともとれる絶叫が古都の周辺に広がる平野を轟かせて一斉に古都への攻撃を始めた。空からもワイバーン騎兵隊が一斉攻撃を始める。古都からも大砲の音や銃声が轟き始める。
ゴルドはワイバーンを呼ぶと、背中に乗って古都へと向かった。古都の上空では古都軍の航空部隊と激しいドッグファイトが繰り広げられていた。
「ゴルド様、古都の包囲が完了しました。何時でも攻め込めます。」
斥候として向かっていた兵が帰還し、古都の近くにある丘の上で見下ろしていたゴルドに報告をする。ゴルドが見下ろす丘の下には地上を埋め尽くさんばかりのコーラス・ブリッツが展開されており、雄叫びを上げて古都を威圧していた。
「分かった、引き続き敵の動向を監視しろ。」
斥候は膝をつきながら首を垂れると素早く立ち上がってゴルドの前から姿を消した。ゴルドが静かに周囲を見渡しているとユリシーゼが禍々しい槍を携えて近づいてきた。
「ゴルド。ヨーゼフが海洋封鎖に成功し現在海兵部隊と睨み合っている状況です。」
「私の指示があるまで睨み合ってろと伝えろ。・・・他には何か?」
「ワイバーン騎兵隊も展開完了。指示があれば何時でも。」
ユリシーゼがそう告げるとゴルドは小さく頷き、顔を後ろから前に向ける。ユリシーゼが話を続ける。
「・・・アルレッキーノは?」
「あの人は私達とは別行動だ。」
「ウルフェン様から出発する前に何か言われていたが・・・ゴルドは何か聞いていたりは・・・」
「さぁな、私達が知る所ではない。私達は与えられた役割をこなすのみ・・・余計なことは考える必要は無い。」
ゴルドはユリシーゼの問いに答える事無く、丘の下を見下ろす。
「しかし30万の兵と100隻の船、5万の魔物を古都周辺の平野と海洋へと一気に転送させるとは・・・あの人の底力は計り知れんな。」
「・・・アルレッキーノの事ですか?」
「決まっているだろう。他に誰がいる?」
ゴルドは両手に嵌めている手袋をきつく締める。ユリシーゼがゴルドに再び話しかけた。
「・・・アルレッキーノは元々何処の人なんですか?あの人は私達とは違い、かつて何処に暮らしていたのか全く分からない・・・ゴルド、貴方なら何か・・・」
「今日は珍しく良く喋るな、ユリシーゼ?」
ゴルドがゆっくりとユリシーゼの方を振り返ると腕を鳴らしながらユリシーゼの下へと近づいていく。ユリシーゼは出過ぎた真似をしたとばかりに顔を俯ける。
ゴルドはユリシーゼの目の前にまで接近すると、静かに語り始めた。
「アルレッキーノの過去は・・・私も知らない。知っているのは主席だけだ。」
「・・・」
「だがアルレッキーノの過去などお前が知る必要は無い。・・・仮に知った所で、何も意味はないだろう?・・・私達がお前の出自を知っていても意味が無いのと同じように。」
ゴルドはそう言うと、ユリシーゼに背中を向ける。
「さて、もう無駄話はこの程度で良いだろう。お前も配置につけ・・・間もなく『虐殺』を始める。」
「・・・了解。」
ユリシーゼは返事をし、ワイバーンを呼んで飛び乗ると、上空で隊列を組んで滞空しているワイバーン騎兵隊の先頭に行く。
ゴルドはユリシーゼがワイバーン騎兵隊と合流したのを確認すると、再び丘の上に立ってコーラス・ブリッツを見下ろす。彼らの雄叫びは先程より大きくなっており、戦意が異常に高まっていることを肌で感じた。
ゴルドは殺意で満ち溢れた彼らの感情を目の当たりにし、邪悪な笑みを浮かべると古都を見つめる。古都の周囲に聳える城壁には多くの古都軍の兵士が隊列を組んで構えており、古都の真上にも航空部隊が隊列を組んで迎撃態勢を整えているのが確認できた。
ゴルドは右耳に嵌めている小型の無線機に右手の人差し指を当てると、静かに呟いた。
「それでは始めようか・・・全員、現時刻をもって古都への総攻撃にかかれ。・・・奴らを皆殺しにしてこい。」
ゴルドが無線で指示を出すと、歓喜ともとれる絶叫が古都の周辺に広がる平野を轟かせて一斉に古都への攻撃を始めた。空からもワイバーン騎兵隊が一斉攻撃を始める。古都からも大砲の音や銃声が轟き始める。
ゴルドはワイバーンを呼ぶと、背中に乗って古都へと向かった。古都の上空では古都軍の航空部隊と激しいドッグファイトが繰り広げられていた。
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